「知り合いの先生から創造力を育むためのいい本はありませんか?」と尋ねられたので、しばらくぶりに『ライフロング・キンダーガーテン』(ミッチェル・レズニック著、日経BP社)を読み直してみました。
この本の中心は、サブタイトルの「創造的思考力を育む4つの原則」(=プロジェクト、情熱、仲間、遊び)を第2~第5章で詳しく解説していますが、第6章は「創造的な社会」をつくり出すために、4つの貴重な情報(以下の4つの●)が提供されています。
それらのほとんどが、ライティングとリーディング・ワークショップ(作家の時間と読書家の時間)の実践とオーバーラップするのではないかと思ったので、そのまま紹介します(ということは、ライティングとリーディング・ワークショップはほとんど創造的思考力を育む4つの原則を押さえる形で行われている学びの形態と言える?? それに対して、教科書をカバーする形で行われる通常の授業は、下に紹介する項目をルーブリック/評価基準として使うと、どのように評価できるでしょうか?)。
●100の言葉 ~ https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/100kotoba/で読めます
●学習者のための10のヒント
1.シンプルに始めること
2.好きなものに取り組むこと
3.何をすべきかがわからないときは、とにかくいじりまわすこと
4.実験することを恐れないこと
5.共に働き、アイディアを分かち合う友人を見つけること
6.(自分のアイディアを加えるために)他のものをコピーしてもOK
7.あなたのアイディアをスケッチブック(ジャーナル)に残すこと
8.構築し、分解し、再構築すること
9、こだわりすぎると、うまくいかないかもしれない ~ 適度の「いい加減さ」が大切!
10.自分自身の学びのヒント(戦略)を作ること!
●親と教師のための10のヒント
1.発想: アイディアを喚起する例(見本/モデル)を見せる
2.発想: 材料をいじくり回す(手を使う)ことを奨励する
3.創作: 幅広い種類の材料を提供する
4.制作: あらゆる種類の作り方を受け入れる
5.遊び: 作品そのものではなく、プロセスを強調する。
6.遊び: プロジェクトの時間をたっぷりとる
7.共有: マッチメイカー(仲介人)の役割を果たす
8.共有: コラボレーターとして参加する
9.振り返り: (本気の)質問をする
10.振り返り: あなた自身の振り返りを共有する
1回きりでなく、このスパイラル(サイクル)★を回し続けられるようにする!
●デザイナーと開発者のための10のヒント
1.デザイナーの(子どもたちがデザインする=子どもたちが創作、表現、振り返り、共有する機会)ためにデザインする
2.低い床(簡単に始められるもの)と高い天井(複雑な作品の制作)をサポートする
3.壁を広げる =アクティビティーの集まりではなく、探究可能な空間の提供 ~
https://digitalcast.jp/v/12178/
4.子どもたちの関心とアイディアの両方につなげる
5.シンプルであることを優先する
6.デザインを使う人々を(深く)理解する
7.自分自身が使いたいものを発明する
8.学際的デザインを可能にする小さなチームをまとめる(5人前後)
9.大勢の意見を取入れつつ、デザインを制御する
10.繰り返し、繰り返し、そしてさらに繰り返す
最後の「デザイナーと開発者のための10のヒント」は、ライティングとリーディング・ワークショップ(作家の時間と読書家の時間)と関連づけるのが難しい項目があるかもしれませんが、よく考えてみてください(そこにこそ、創造力の種がありますから)。
なお、これらの「ヒント集」は幼稚園のために書かれたものではありません、幼稚園以上すべての学びの場のために書かれています。それには、教師の学びも含まれています。現状の教員研修は、これらの提案のどれほどが実現できているでしょうか(ほぼ皆無)?
◆
年度初めには、書くことや読むことについてのアンケートをお忘れなく! その際は、
https://docs.google.com/document/d/1hwgyEsSHdC2bFKnuMDFr_4BQy6U7leijOIpj2pZGIr8/edit?tab=t.0 を参考にしてください。
★ここで言っているスパイラル(サイクル)は、本の35~36ページで紹介されている、下の図のことです。
これ自体、https://wwletter.blogspot.com/2012/01/blog-post_28.htmlと似ているというか、同じと言えませんか?!