2020年7月11日土曜日

絵本の紹介 〜邦訳の出ている絵本を中心に、英語読み聞かせリストより

 私は英語を教えていることもあり、英語の絵本の読み聞かせサイトから、今まで知らなかった作家や作品に、数多く出会ってきました。先日、読み聞かせサイトのかなり包括的なリストを見つけました。今日は、そのリストの一部から、面白かった絵本で、邦訳のあるものを中心に紹介します。

 まず、その包括的なリストは以下です。これだけ網羅してくれているのは、私にはとてもありがたいです。

 上記のリストに含まれているいくつかのサイトから、以下、お薦め絵本の紹介です。英語ですが、以下のサイトで内容も確認できるので、便利です。

▶︎ Brightly storytime 

  リストの最初に出てくるのが、Brightly storytimeというサイトで。ここで読み聞かせをする女性が掲げている本(710日現在)は、ジャクリーン・ウッドソン著の名作『みんなとちがうきみだけど』汐文社)です。英語の題は The day you begin. 新しいところ、新しいクラスメートなどに向かって踏み出す時に、そっと背中を押してくるような本です。

  関連テーマの本として、スーザン・カウフマン『ようこそ! ここはみんなのがっこうだよ』鈴木出版)も、同じサイト(Brightly storytime)にあります。英語の題は All are welcome で、英語の絵本ではこの繰り返しが効果的に使われています。

 あとは、同じサイトからマイケル・レックス
『おれ、ピートくいたい』(評論社)
→ これは、びっくりの展開で、ちょっと怖いかも? こういう本は好き嫌いが分かれるかもしれません。

▶︎ Kid Lit TV 

 リストの3つ目のサイト Kid Lit TV には、著者自身が読み聞かせているものも多いです。2020年2月14日の投稿の最後の方で紹介したトッド・パール『しっぱい!とおもったけど』解放出版社)の、著者自身による、楽しい英語読み聞かせもここにあります。

 著者が読み聞かせていて、「あ、これ、好き」と私と波長があった本は、Patricia Lakin 著の Beach day です。これは邦訳がありませんが、ほとんど単語を並べているだけ、という感じです。それでも、十分に意味が通じ、かつクスッと笑ったり、楽しめたりできます★。 また、
こちらも、邦訳は見つけられませんでしたが、Tish Rabe著の Love you, hug you, read to you.「読んであげる(read to)」ということが、lovehug と同列に並んでいることがいいなと思います。また、この著者でしかできない読み聞かせ(歌いつつ。。。)も印象に残りました。

 邦訳があるものとしては、以下のような懐かしい本を何冊か見つけました。

 バーバラ・クーニー著の『ルピナスさん』(ほるぷ出版)。静かに語りかけてくる絵本です。

 ジョン・シェスカのオオカミ視点でオオカミが語る『三びきのコブタのほんとうの話』(岩波書店)。パロディを導入するときに、よく登場するのではないかと思います。

 そういえば、このサイトにはありませんが、パロディでは、ユージーン・トリビアス『3びきのかわいいオオカミ』冨山房)とセットがいいかもしれません。

▶︎ The Screen Actor's Guild -- Storyline Online 

 リストの4番目です。このサイトでは、読み聞かせをしている人の多くが、映画スターのため、さすがに読み聞かせが上手です。そして、邦訳されている本も数多くあります。ざっと見るだけでも、『ストライプ』『にじいろのさかな』『ありがとうフォルカーせんせい』『おとうさんのちず』『ロバのシルベスターとまほうの小石』『ゆうかんなアイリーン』『どろんこハリー』など、よく知られた作品が揃っています。

 上記ほど有名でないかもしれませんが、私は以下も大好きです。

・アヒルに育てられたワニのグジグジの物語。チェン・チーユエン『ぼく、グジグジ』(朔北社)。かわいくて勇敢なグジグジは、読み聞かせでも人気者になれそうです。テーマは深いものがある、と私は思います。これはかなり広い学年での読み聞かせに使えると思います。

・『ぼく、グジグジ』とテーマでは重なる部分もありますが、『ぼく、グジグジ』と比較して読んでみても面白いのが、ジャネル・キャノン『ともだち、なんだもん!』(ブックローン出版)。こちらは映画アイ・アム・サムの中でも使われていた本です。

・記憶を失った?高齢者の話であるメム・フォックス『おばあちゃんのきおく』(講談社)。

・ある出来事をきっかけに変わるハッチさんの変貌ぶりがユーモラスな、アイリーン・スピネリ『だいすきだよ、ハッチさん』(徳間書店)。

・図書館長さんも、出てくる子どもたちも、いい味を出しているミシェル・ヌードセン『としょかんライオン』(岩崎書店)。

・初めて学校に行くことになるアライグマの子どもとお母さんの愛情を描くオードリー・ペン著の『キスのおまじない』(アシェット婦人画報社)。

・ビル・マーティン Jr とジョン・アーシャンボルト著の『青い馬の少年』(アスラン書房)。目の見えない少年とおじいさんの思い、一見地味に見える絵本かもしれませんが、ゆっくり落ち着いて読みたい絵本です。

 (このサイトは、それほど冊数がないので、私は全部視聴しました。残念ながら、おそらく一番好きな本、The tooth は邦訳が見つけられませんでした。5分ぐらいですが、終わり方が見事ですので、英語の好きな方はぜひ楽しんでください。なお、抜けた歯を枕の下に置くと、翌日、歯の妖精がお金を枕の下に入れてくれる、という歯の妖精についての知識が必要です。)

▶︎ Brightly Storytime Flip-Along

 リスト6番目、実際にページをめくりながら読んでくれるサイトです。


 長く読み続けられている絵本を何冊か見つけました。

 ルドウィッヒ・ベーメルマンス著の『げんきなマドレーヌ』(福音館書店)。日本語のアマゾンのページに、「マドレーヌシリーズは2014年で刊行75周年を迎えました」と書かれていたので、びっくりです。

  ロバート・マックロスキー著の『かもさんおとおり(福音館書店)。こちらもロングセラーですね。日本語の出版年が1965年です。でも、今でもありそうな風景です。

 (『スター・ウオーズ』『秘密の花園』を簡単にしたものもあります。後者は私はとても好きな作品なので、こうやって短くしてしまうことには、やや複雑な気持ちもあります。)

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 今日は、私がこれまでよく観てきたサイトから紹介しました。懐かしい絵本にも再会し、長く読み継がれている絵本も多いことを、改めて思いました。絵本リストはまだまだありますので、また日を改めて、紹介できればと思います。

 他にも良いリストや良い本があれば、教えていただければ、嬉しいです。

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★ 上に記載したPatricia Lakin 著の Beach day に、私が「波長があった?」と感じた理由の一つに、英語のライティング・ワークショップに使えないかな?と思ったこともあります。
 「まず、文法と単語力をしっかり』学習させないと、英語で書くことを教えるのは無理でしょう」という人もいらっしゃいます。でも、こういう本をみていると、外国語でも、比較的早い時期に「表現したいことを表現することを教えていく」のも十分可能なのでは?と思います。
 母語でのライティング・ワークショップでも、補助的に絵を使ったりもしつつ、早い時期から、自分の表現したいことを表現することができると思うと、外国語のライティング・ワークショップでもいろいろ工夫はできそうに思います。

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