2016年5月27日金曜日

「熟読の呪縛」を解くために、授業でできそうなこと

 「熟読の呪縛」という言葉は前回のRWWW便り(5月20日)で紹介された本★の中に登場し、ちょうど私が気になっていた問題と重なり、共感した言葉です。

 私の中では、「読み書きのブレーキになっている、一字一句症候群」と勝手に名前をつけていたのですが、前回のRWWW便りを読んでいて、まさに「呪縛」だと思いました。

 熟読の呪縛から逃れるために、私なりに、授業でどういうサポートができるのかを考えてみました。

✍ 前回のRWWW便りで書かれていたように、先生が効果的な読み方を紹介しながら、先生自身は、熟読の呪縛から逃れて、効果的な読み方を行っていることを、折りにふれて、実例やお手本で示す。← これはとても効果的だと思います。

✍ 呪縛を解くようなスローガン(?)を示す。 ペナック先生の「読者の権利10箇条」を教室の壁に貼るのもいいかもしれません。ちなみに第2条は「飛ばし読みする権利」、第8条は「あちこち拾い読みする権利」ですが、他の権利もとてもいいです。「読者の権利10箇条」は、ブログ版のRWWW便り2012年11月17日でも紹介されていますので、ぜひご覧ください。大好きな権利です。

⇒ 先生自身が読むときには、この10箇条の権利を享受(?)していることを、折りに触れてミニ・レッスンで伝えるのもよいと思います。

✍ 飛ばし読みとは逆に、時には「読み返す」楽しさを強調する。読み返すときは、読み返したい箇所を「飛ばし見」して選ぶので、少なくともその時間は呪縛から離れられるには? と思います。

✍ 「早く読める本」を準備する。2015年7月25日のRWWW便りにも書いていますが、読めない子どもは時間がかかることで、ますます分からなくなります。

✍ 対話的な読み聞かせを上手く使う。「途中で時々止めるから、その時には心に浮かんだこと、一番心に残ったことを、お隣の人に教えてね」等、熟読ではなくて、「自分が大切だと思ったこと」に集中できるような読み方を体験させる。

✍ 「作家ノート」「読書ノート」等に、気に入った言葉や文を引用するのもいいよ、と伝える。

➡ 前回のRWWW便りに書かれていた「引用する」ことの価値とも関連するように思いますし、大切なことを探す練習にもなります。

➡ 重要だと思った概念や文をノートに蓄積することで、本の紹介をするときに、「引用文」を入れる、こともできるかもしれませんし、読み書きのつながりもでてきます。

他にもありそうなので、また考えてみたいです。

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★    前回のRWWW便りで紹介されていた本は、 『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』です。詳しくは5月20日のRWWW便りをご覧ください。

★ 英語を読むときにも、一字一句を母語にしようとする人がいます。「熟読の呪縛」を外国語で行っているような印象です。こういう読み方は、母語で読むとき同様、「理解して楽しむ」点から考えると、労多くして得ることが極めて少ないように感じています。

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