今日、発売になる本の紹介をします。
●「訳者まえがき」より
この本について、訳者として、四つのことをお伝えしたいと思います。
まず、この本は、私の質問や「問いかけ」へ長年のこだわりの産物だということです。
その出発点は、『ワールド・スタディーズ』(サイモン・フィッシャー&デイヴィッド・ヒックス著、国際理解教育センター編訳、1991年)と出合った1986年にさかのぼります。その中に、「教育の鍵は、知識よりむしろ『問いかけること』です・・・(中略)・・・ワールド・スタディーズが目指すのは、学びかたを学ぶ力、問題を解決する力、自分の価値観を自覚する力、自分で選択できる力です。これは、ひとえに『問いかけ』に、単に質問するだけでなく、子どもたちが自分で疑問点を洗いだし、答を見つけていけるようにすることにかかっています。『問いかけ』は、情報が目まぐるしく移り変わる今日の世界では、私たち教師が子どもたちに提供できる最良のものと言えましょう」(15ページ)と書いてありました。
今でもそこに書いてある大切さは薄れていないと思いますし、そのままこの本に流れている考え方でもあると思います。
『ワールド・スタディーズ』を読んでから、研修等で一方的に知識を伝える従来型の講義が私はできなくなってしまいました。代わりに、「問いかけ」を中心に据えた方法に転換したのです。
その後も、『「考える力」はこうしてつける』や『「読む力」はこうしてつける』(共に、新評論)の中で、それぞれ質問の章を設ける形で、こだわり続けてきました。
ここ10年ぐらいは、「質問」「質問力」「質問する力」「問いかけ」等をキーワードにした本が日本でもたくさん出ていますが、私の興味を満足してくれたものに出合えることはありませんでした。
(中略)
そんな物足りなさを感じて、自分で書くしかないかと思い始めたときに出合ったのが、この本だったわけです。これまでは、指導者がいかにいい質問を投げかけるかが大切だと思っていたのですが(それがいいファシリテーターの条件であり、教育の世界ではそれを「発問」と言います)、頭をガツーンとハンマーで叩かれた気がしました。なんと、この本では教師や指導者は質問をしてはいけないのです。
(二番目と三番目もとても大切なのですが、省略)
四番目のポイントは、質問づくりがとても簡単で、その効果は絶大であることです。(それが第1章から第10章にかけて詳しく書かれています。)
日本で典型的に行われている授業は図1のようになると思います。
それに対して、誰もが求めている授業は図2です。
ちなみに、上の2つの図の「授業」を「仕事」や「プロジェクト」などに置き換えると、すべての組織や社会活動に応用できることが理解していただけると思います。自分が成長していると実感させてくれる組織は、なかなか多くないのが実態ですから。
質問づくりだけが、この転換を実現してくれる唯一の方法ではありませんが、少なくとも確実に転換させてくれます。しかも極めて容易に。
各人が主役ですから、できのいい生徒たちは、自分でハードルを上げることで、さらなる高見に容易に行けます。そして従来の知識(暗記)重視の一斉授業では輝けなかった生徒たちも、自分なりの質問を設定することで、たとえば207~211ページで紹介されているケヴィンのように、本人もそして教師も書けるとは思っていなかったスピーチの原稿を書いてしまうのです。(以下、省略)
●カバーと帯より
書名 『たった一つを変えるだけ――クラスも教師も自立する「質問づくり」』
オリジナル・タイトル: Make Just
One Change
著者 ダン・ロスステイン,ルース・サンタナ
訳者 吉田新一郎
四六版 並製 312ページ
本体価格 2400円
ISBN978-4-7948-1016-8
帯とカバーで使われているキャッチ・コピー
(大)多くを問う者は、多くを学び、多くを保持する
(小)民主主義を実践するためのスキルとして、これほどインパクトの大きいものはない
教師に指示されているかぎり、僕らは何も学んでいない 【カバーの折り返し】
◆
私を通すと、書店やアマゾン等で購入する時の価格=2592円に対して、著者(訳者)割引でお手元に届きます。それも、税・送料共込みで2200円です。
ご希望の方は、名前と住所と電話番号を pro.workshop@gmail.com にお知らせください。
ご希望の方は、名前と住所と電話番号を pro.workshop@gmail.com にお知らせください。
お近くの図書館でリクエストを出して読んでいただくという方法もありますので、ぜひ。
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