The
Daily Fiveという本で、ぴったりのサイズやスキー靴など用途別の靴を使って、選書のポイントを教えるミニ・レッスンを見つけ、それを自分のクラスで早速試してみました。
「I PICK」(自分にぴったりの本を選ぶ)の頭文字を使って子どもたちに覚えやすくしているのがうまいな~、と思ったのですが、それが日本語で伝わらないのが残念ではあります。
I choose a book.
私は本を選ぶ。
Purpose-Why do I want to read it?
目的 ~ 何のためにそれを読みたいのでしょうか。
Interest-Does it interest me?
興味・関心はありますか。
Comprehend-Am I
understanding what I am reading?
読んでいることを理解できますか。
Know-I know most of the
words.
ほとんどの言葉を知っている。
子どもたちには、KP法(紙芝居プレゼンテーション法)を使って黒板に紙を貼りながら説明しました。KP法を使うのは、パワーポイントなどのプレゼンテーション用のソフトのようにスピードがあって、板書のように情報が黒板に残るからです。
教えるためにいろいろな靴を用意します。サイズがぴったりの靴や理解ができないという意味でぶかぶかの大きな靴などサイズの合わない靴も用意します。
まず頭文字のIは「I choose a book.」のIだと教えてから、頭文字がPの目的のことを話します。The Daily Fiveでは、バックに用意したゴルフシューズ、テニスシューズ、スキー靴、お父さんのとても大きい靴など、様々な靴を置きます。私の場合は、家にあったトレッキングシューズと学校の貸し出し用の小さな上履きを用意しました。子どもたちには靴を示しながら、「靴には目的があるんだよ。自分のやりたいことに合わせてぴったりの靴を選ぶよ。」と話します。「例えば、ゴルフをするときにスキー靴は選ばないよね。このトレッキングシューズは福島県の小野川湖での野外活動のために買ったものですよ。」と続けて、道なき急な山を登ったり崖を下ったりすることなどその野外活動で遭遇する状況についても話しました。さらに「このちっちゃい上履きで行ったら大変なことになるよね。ぴったりの靴を選ばないとね。」という話をして、野外活動ができるようにトレッキングシューズの靴底が滑り難くなっていることや、雨が降っても問題がないように完全防水加工になっていることなども話しました。そして、「本を選ぶ時にも『あるトピックについて知りたい』とか『ただ楽しみたい』とか本を読む目的を私たちはもっているね。例えば『虫について知りたい』という目的をもっているなら、虫についてのノンフィクションの本や虫の図鑑などを選ぶといいよね」などと本を選ぶ時の話に繋げます。
次に頭文字がIの興味・関心の話に移っていきます。用意したバックの中にゴルフシューズがないことを話して、「なぜなら私はゴルフに興味がないからです。でもサッカーは大好きだから…」など、目的の時と同じように本を選ぶ時も同じだねと繋げて話をします。
これまでと同じように、頭文字のCとKについても靴を選ぶことから本を選ぶことに繋げて話をします。サイズが大きすぎるのは本を読む時に難しすぎる、サイズが小さすぎるのは本を読む時に簡単すぎることを表しています。著者は、理解できる言葉、知っている言葉を分けて教えています。
The Daily Fiveを読むと、ページにある「ほとんどの言葉を知っている」べきだとありますが、The Daily Fiveの他のところを読むと、「全部の言葉を知っているべきだ」という違う考えもあるみたいです。しかし、実際には少しでもチャレンジする本を選ぶ時に知らない言葉があるかもしれません。『インクルーシブ教育の実践ーすべての子どものニーズにこたえる学級づくり』という本には一つのページに二つ程度までなら分からない言葉があっても大丈夫だとあります。私は、そのことを参考にして、本を選ぶ時に、一つのページに二つ程度までなら理解できない言葉や知らない言葉があっても大丈夫だよと子どもたちには教えています。
このミニ・レッスンと合わせて、子どもたちの興味・関心や目的・目標などが明らかになるアンケートから、ブックトークやカンファランス、図書コーナーの配置などに繋げていくと子どもたちの選書をより助けられると思います。
出典:
Gail Boushey & Joan Moser, The Daily Five:
Fostering Literacy Independence in the Elementary Grades, Stenhouse
Publishers, 2006, p .30
コンスタンス・マクグラス (著)、川合紀宗 (翻訳)、『インクルーシブ教育の実践ーすべての子どものニーズにこたえる学級づくり』、2010年 、p.76
「I PICK」の日本語バージョンを考えてみました。いくつか考えてみたのですが、皆さんもいいアイディアが思い浮かんだら、ぜひ教えてください。
返信削除まずブレーンストーミングで選書の各ポイントから思い浮かぶ言葉を出してみました。
①私は選ぶ・選ぶ・選択・決める・ピック・絞り込む・吟味する
②目的・何のため・なぜ・使える(用途別)・望み・ニーズ・使う目的
③興味・関心・好み・好き・嗜好・大好き・心を引かれる
④理解・苦にならない(レベル)・たやすい・無理がない・(筋道が)追える ・ (頭が)ついていく ・ (気持ちがよく)分かる
⑤知っている・知識・聞いたことがある・存知
その後に文字の組み合わせをいろいろ考えてみました。
選書のポイントだから①は省略可能で、⑤の知っているは④の理解にまとめて省略可能と考えました。だから外せない②③④で3文字がいいかもしれないと思いました。しかし、省略しないで5文字でもいいと思うし、4文字でもいいと思いました。
はじめに考えたのが「もきり」です。
も…目的
き…興味・関心
り…理解
「もきり」は意味が不明です。意味が不明ですが太宰治の「トカトントン」みたいに音の感じはいいかもしれないです。それに避難訓練の「おかしも」も意味が不明なのでありかもしれないと思いました。
目標設定の「SMART」とか、選書の「IPICK」みたいにスマートにできないものかと考えて、最後のほうに出てきたのが「ぴったし」です。
ぴ…ピック(選ぶ)
つ…使う目的
た…たやすさ
し…嗜好(興味・関心)
「ぴったし」は、選書のポイントの言葉が少し難しいかもしれないです。しかし、「ぴったし」という言葉が、自分にぴったりの本を選ぶという選書の目標を表しているのがいいと思いました。「ぴったり」という言葉でもチャレンジしたのですが、うまくできませんでした。
他にも以下の文字の組み合わせを考えてみました。
すっきり
す…好き
つ…使う目的
き…決める
り…理解
ぴっこり
ぴ…ピック
つ…使う目的
こ…好み
り…理解
いいアイディアが出なければ、最初から本を選ぶ時に、「目的」「興味・関心」「理解」この3つのことを考えるといいよと教えるのもいいかもしれないです。
また、いきなり「目的」まで考えるのは難しいだろうから、最初に「興味・関心」「理解」を教えて、後で「目的」を教えるなど、相手や時期から選書のポイントを分けて教えるのもいいかもしれないです。
あるいは、この3つの大切さを話したあとで、どうすればこの3つを、いつも心に留めて本を選べるかを、クラスのみんなに考えてもらうこともできます。教室の図書コーナーに選書のポイントを書いたメモを貼ることもできます。
様々な可能性が考えられますが、工夫を重ねていって、子どもたちの選書を助けていきたいです。
ここまでこだわれることが素晴らしいです。
返信削除最後の提案が、またいい!!!
shinlearnさん
返信削除ありがとうございます!!
かなりいい加減なところがあるので、いろいろ丁寧にこだわってやりたいです。
今新しいIPICKの日本語バージョンを思いつきました。
返信削除なすわ
なんのため
すき
わかる
三つのそれぞれの類義語
目的 なんのため
好き 大好き 興味 関心 好み
わかる 理解する
類義語でも意味が違いが大きくなるとよくないと思いますが
この三つのそれぞれの類義語を広げていって、
さらにはいい組み合わせがないのかなあと思います。
「なすわ」って違和感がある。「なすは」だったら避難訓練の「おかしも」みたいでいいかもしれないと思いました。4文字もいいかも。
今年は英語+日本語訳で教えてしまっていますが、
日本語バージョンの3文字でいいのができると使いやすいだろうなと思います。来年度は日本語バージョンにチャレンジしたいです。
もう一つ考えました。
返信削除なおり
なんのため?
おもしろそう?
理解できる?
考え続けること(こだわり続けること)の大切さを
返信削除再確認させてもらいました。
そうして、少しずついいものができていくことも。
選書を教えるときに、私はついつい「理解して読めるもの」を強調しがちなのですが、上のミニ・レッスンは、「目的」が入っていることが、とてもいいと思いました。
返信削除靴は身近なうえに、いろいろな用途があるので、目的を教えるのにとても適していると思いました。
学期が進むにつれ、「目的をもって選ぶ、目的に応じて読み方を変える」等、目的の部分を取り上げて教えていくことの大切さを、改めて考えます。
I PICK の 日本語版は、少し考えてみましたが、なかなか難しく、いいものが浮かびません。でも、上のコメントにあるように、考え続けることの大切さも思います。