2020年9月11日金曜日

フィードバック・フォームを使った学校(授業)改善法

   学校にも、教室や授業にも、改善を要する点は「山のように」とは言わないまでも、結構たくさんあります。日々そこで仕事をしている人は、それらに気づくものですが、それを活かして改善する仕組みが学校にも、教室/授業にもないのが現状です。(もし、効果的な方法をすでにお使いでしたら、pro.workshop@gmail.com宛にぜひ教えてください。)

以下は、ある校長が学校の問題を解決/改善するために取り組んでいる例です。もちろん、教室/授業レベルでも応用できます。(さらには、保護者の学校への参加にも使えます!)

 フィードバックは、だんだん病みつきになります。私たちは、それが生徒にとってどれだけ効果的か、よく知っています。特に、WWやRWのカンファランスで提供されるフィードバックのインパクトには大きいものがあります。しかし一般的に、フィードバックはそれを受け取(って、うまく活用す)るよりも、提供する方がはるかに容易です。物事をよくするためのフィードバックを提供したり、受け取ったりするためには、いい仕組みと多くの練習が必要です。(カンファランスと「大切な友だち」https://projectbetterschool.blogspot.com/2012/08/blog-post_19.htmlを多用してください! 効果的なやり取りによって、物事は確実に改善していきます。効果的でないと、時間を無駄にしますし、よくもなっていきません。)

 職員会議や学年会議、教科会議、校務分掌の会議等は、まさにそのための場のはずですが、どれも改善のための機会として機能しているとは言い難い状況です。いつも発言する人や声の大きい人が、言いたいこと(それは、物事をよくすることに結びつかない方が多い!?そもそも熟考しておらず、思い付きレベルだから?)を言う場になっていることをみんな気づいています。校長としては、全員(職員だけでなく、生徒)の声も聴きたいところです。そんなふうに思っている時に知ったのが、「自分の気になること」を次のような体裁で発信できる用紙を提出してもらうことにしました。


 ・名前、日付:

 ・問題の深刻度(1~5の段階で。5が最も深刻!):

 ・私が気になる(問題と思う)のは:

 ・それに対する、私の提案は:

  気になること/提案のある人は、この用紙に記入して、校長の秘書に渡します。秘書は名前を除いて、それをオンライン・ドキュメントにアップします。(校長およびこの用紙の発案者は、この匿名性こそが大事だと考えているからです! そうすることで、誰が言ったかによって内容が判断されないからです。)

過去1年間に、9つの気がかりな点/提案を受け取ったそうです。当然のことながら、深刻度はすべて4か5でした。扱われていた内容は、どれも大切なことばかりでした。基本的に、個人にとって(この用紙を書きたくなるぐらい)の気がかりは、学校にとっての気がかり/問題ですから。

 たとえば、運動場で使う用具(たとえば、サッカーボールなど)の置き場所の問題は、読み書きとは関係ないと思われがちですが、そんなことはありません。もし、読み書きや授業以外のことで、教師が問題を抱えていたら、そちらに大切な時間と焦点を奪われてしまい、本来優先順位が高いことがおろそかにされてしまうからです。(ちなみに、運動用具の置き場所は、校舎の出入り口のすぐそばに置くことで解決でした。そこに行くまでに音がうるさくて問題だったのです!)

 そしてもちろん何よりもセンシティブなのは人間関係にまつわる気がかり/問題です。この点については、ここでは詳しく説明しませんが、あと3~4か月で出版される「関係修復のアプローチ」を紹介している『生徒指導をハックする』を参考にしてください。主には、教師が生徒たちの問題行動に対処する方法が描かれていますが、教師間、管理職と教師、さらには教師と生徒の間でも基本的には同じです。

 気がかりなこと/問題へのフィードバックを提供できる用紙を埋める機会を提供することで、学校関係者は「声」をもつことができたと、この取り組みを紹介してくれている校長は言います。そして、その書くチャンスは、いろいろな場面で発言することに確実につながったとも。(みんなが、書くことが得意なわけではなく、口頭で発言する選択肢を選ぶ人もいるわけです!)そして、みんながエンパワーされました。

 ある時、教師二人の衝突があった時、校長は両者の考えを聞いた上で、両者にお互いのやり取りを記録したり、それについて自分の考えを書いたりするように勧めたところ、自分自身に対してフィードバックができるようになったことで、問題の解消につながったそうです。まさに、学ぶために書くことが軽視/無視されていることを、教師がモデルで示していたわけです(http://wwletter.blogspot.com/2019/08/blog-post_9.html)が、ノートに記録し始めると書くことでより熟考しますし、振り返りますし、改善案まで考えますから、問題解決につながる可能性がはるかに高くなるわけです。

 書く文化を、学校レベルで、そして教室/授業で、さらには保護者とも、今まで以上にとってください。そうすることで、みんながよりよく考えられ、学校や教室/授業の課題が確実に解決/改善するようになります!

 

出典: https://choiceliteracy.com/article/using-concern-forms-for-feedback/


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