2020年5月8日金曜日

読むことに夢中になる7つの原則 ~ 読ませるのではなくて、生徒が主体的に読みたくなる条件を提供する


 あなたの授業や学校では、これらの原則ないし条件のどれだけが押さえられていますか?

1. 自分にとって関係があると思える課題や活動なら、読みたがる。
 自分の暮らしとの関連ということでは、http://wwletter.blogspot.com/2020/04/blog-post_24.htmlは究極のつながり、といえるかもしれません。あの事例では、読むことはほんの一部で、見ることや聞くことの方が中心かもしれませんが、基本的に使っているスキルは同じです(『「読む力」はこうしてつける』を参照)。これに対して、教科書(教材)を扱うことは、子どもにとってはほとんど何の必然性もありません。教師が必然性を感じられるようにアレンジしない限りは、教科書教材を扱う時間自体が、ほとんどの子どもにとっては無意味ないしお付き合いの時間になるだけです。それは、夢中で取り組むのとは極にある状態ですから、何としても避けなければなりません。

2. 多様な読み物が提供されて選べる時に、夢中になれる。
 すでに上で書きましたが、教師にとっては一つの教材ないし少ない選択肢の方が楽ですが、子どもにとっては、それこそが自分との接点が見出せない理由です。あなたには選択があります。自分が楽なほうを取るか、それとも、生徒たちが夢中で取り組むほうを取るか? 答えは明らかだと思うのですが・・・これを実現するための方法については、『教育のプロがすすめる選択する学び』をはじめ、https://sites.google.com/site/writingworkshopjp/teachers/osusumeのリストが参考になります。

3. 継続的に読める時間が提供されると、生徒は夢中で読むようになる。
 この前提で行われているのが、リーディング・ワークショップ(読書家の時間)の「ひたすら読む」です。少なくとも、20~30分の時間を確保しています。それも、頻繁に。その意味では、朝の読書の時間の10分程度というのは短すぎます。そもそも、あれは読むことが目的ではなく、気持ちを落ち着かせることが目的でした!

4. 読む選択と読んだことを表現する選択がある時、より夢中で読める。
 これは、選書の大事さと、読んだ結果をどういうふうに表現できるかの選択があることを意味します。画一なやり方は、教室の中には存在しない「平均」に合わせたやり方なので、結果的にごく少数の生徒にしか合わない方法です。http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/04/blog-post_19.html
 一人ひとりの興味関心等を把握し、それを選書に結びつけるなどのサポートが欠かせません。http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/04/blog-post.html

5. 生徒たちは自分が読んでいる内容をクラスメイト他の誰かと共有できると、より夢中で読める。
 読むことは、一人で行うものと捉えられがちですが、それはすでに読むことが好きな者にとっていえることで、まだそこに至っていない圧倒的多数の子たちにとっては、この共有し合うことが、読むことに取り組めたり、好きになれたりする大切な手段です。その意味で、レターエッセイ、読んだことを記す交換ジャーナル、ブックトーク、ブッククラブ、ビブリオバトルのような共有することを目的にした活動は、生徒たちの動機づけとして役立ちます。いい本を読んだら、誰もが紹介したいのです!(しかし、読書感想文は「やらされ感」が大き過ぎるので、やめましょう! フィードバックがないものは共有とはいえませんから。)

6. 自分にはちょっと難しいと思える本や文章に挑戦したり、読めたりすると、さらに読みたくなる。
 これは、教師サイドの「ZPD=誰かの助けで学べる領域=発達の最近接領域」を理解が必要です。https://wwletter.blogspot.com/search?q=ZPD
 本を読むことに限らず、学ぶということは、常にこれの繰り返しといえるのではないでしょうか? そして、教師にとってのチャレンジ/楽しみは、ZPDは一人ひとりの生徒毎に違うということです!

7. クラス(ないし学校)が読むことに与えている価値が、生徒の読みに大きく影響する。その中でも、教師がどのようなフィードバックをするかが決定的な要因になる。
 これは、http://wwletter.blogspot.com/2019/08/blog-post_9.htmlhttp://wwletter.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.htmlと関係します。また、近刊予定の『好奇心に満ちた教室のつくり方(仮題)』の第7章で「アフォーダンス」という言葉をわかりやすく説明しながら、主にハード面の環境の学びへの絶大なる影響を論じていますが、ソフト面でも同じことがいえると思います。
生徒は、トータルな環境に影響されながら学んでいます。そして、もっとも大きな要因は教師からのフィードバックでしょう。リーディング・ワークショップ(読書家の時間)のカンファランスは、それを見事に満たしている方法といえます。

この記事の著者は、教室の図書コーナーは、教師のクローゼット・ワードローブと似ていると言います。自分が着たい衣服で常に満たしておかないと困るように、教室の図書コーナーも古くなった本では、なかなか読みたがらないということです。

出典: “Seven Rules of Engagement: What’s Most Important to Know About Motivation to Read,”

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