2019年1月4日金曜日

あなたが教える際にもっとも大切にしていることは?

あなたが教える際に、特に「読み・書き・聞く・話す」を教える際に大切にしていることは何ですか?
私がこの質問に出合ったのは、80年代の半ばでした。カナダの先生たちに対して行われたアンケートで見ました。
そして、カナダの先生たちの答えには、さらに驚きました。
なんと、「クリティカル・シンキング」という答えがもっとも多かったからです。
当時の私は、それを聞いたことさえありませんでしたから。(30年経ったいまも、この日本では多くの教師が聞いたことがない状態が続いているかもしれません。)
それ以来、私のクリティカル・シンキングの30年以上の付き合いが続いています。
最初は、「批判的だが、建設的な思考力」というように訳していました。同じように、90年代初頭に知った「critical friend」というアプローチは、最初は「批判的な友だち」や「批判的に、しかし温かく接する」などと紹介していましたが、ピンとこなかったと思います。★
2000年以降は、「批判的思考力」と訳され本などでも見かけるようになりましたが、日本人は表立って批判することがあまり好きではないのか、その中身と効果に気づけないまま、いまに至っていると思います。
より最近では「21世紀スキル」の中にも「批判的思考」として含まれていますが(論理的思考は含まれていないのに!! ある意味では、問題解決、意思決定と同じと言えますから論理的思考も含まれていると言えます)、ピンと来ている方は少ないと思います。
カナダやアメリカ等の教師たちが30年も前から、もっとも大切なものと位置づけているものに、いまだかつてその重要性に気づけない状態が続いているのです。

 『イン・ザ・ミドル』の中にこういう一節があります。
秀逸な文は偶然の産物ではありません。選択をする、拒否する、他のものを使ってみる、はっきりさせる等の方法を駆使して、紙の上で考え続けた結果なのです。」★★(163ページ)

 私は、これを読んだとき、クリティカル・シンキングそのもと、と思いました。
 この中には、「批判的」の一言も含まれていませんが、これならクリティカル・シンキングの中身を理解していただけるのではないでしょうか? そして、これは、書くときはもちろん、読むときも、聞くときも、話すときも、見るときも・・・考えるときは常に使う必要があるし、実際かなりのレベルで使っているのではないかと思います。(この辺についてさらに詳しくは、『「読む力」はこうしてつける』の「まえがき」をご覧ください。)

 これがないと、よりよい文章も、よりよい文章解釈も、よりよい話し合いやプレゼンも、よりよい選択も、よりよい目標達成も、よりよい問題解決も・・・・できないのですから、カナダやアメリカの先生たちが「何よりも大切」と言い続けていることをご理解いただけたでしょうか? スマホ時代になった今、教科書の内容を覚えることなど、何の役にも立ちません!

 繰り返しますが、選択をする、拒否する、他のものを使ってみる、はっきりさせる等★★★こそが書くときはもちろん、読むとき、聞くとき、話すとき、学ぶとき、考えるとき・・・に大切なのです。そして、それが国語の時間は当然ですが、すべての教科で。すべての学びの場で。これ抜きでは、学ぶ/教えるという行為自体が存在しないぐらいに。


  これについては、
https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E5%8F%8B%E3%81%A0%E3%81%A1 をご覧ください。名称を変えるだけで、子どもたちも進んでやってくれるようになります。

★★ この本には、読んですぐにわかるいいアイディアやヒントもたくさんありますが、このように気をつけていないと通り過ぎてしまうような文章もたくさんあります。見逃さないようにするために、ブッククラブ形式で2~4人で読むことをおすすめします。

★★★「等」とありますが、あなたはこれら4つ以外に何か考えられますか?
   これらを使った作文指導をされた経験がありますか?
   ライティング・ワークショップ/作家の時間は、これらを練習するためにあるようなものです。
   ちなみに、①センターや教育委員会が行う教員研修、②各学校で行われる授業研究や校内研修、③読む書きの力が落ちている(少なくとも向上していない)のに同じように行われ続ける読解教育と作文教育など、ここに書かれている4つが行われていないので、効果的ではないとみんなが分かっているものを続けざるを得ない(要するには、クリティカル・シンキングがまったくない)状態が長年続いています。(←私が強調して言いたかったことは、この部分だったような気がします。)それほどクリティカル・シンキングは大切なもので、21世紀スキルに含まれている理由でもあります。

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