2013年11月5日火曜日

『思考のレッスン』⑭


レッスン6: 書き方のコツ

 いよいよ最後のレッスンです。

226 人はものを考えるとき、意識的にせよ無意識的にせよ、必ず文章の形で考えます。つまり、思考というものは、かなりの程度、文章の形で規定される。だからこそ、ものを考えるときに、文章が非常に重要な問題なってくるんですね。
 口語文は、まだ100年経ったかどうか。私たちは、まだ文章として十分な能力をつけてない文体で、ものを考えることを強制されていると言ってもいい。
227 文章力がないと、考え方も精密さを欠くようになります。大ざっぱになったり、センチメンタルになったり、論理が乱暴になったり、文章力と思考力とはペアになるわけですね。

  以下は、『文章読本』に書かなかったこと
① 頭の中でワン・センテンスを完成させた上で、文字にせよ
       行き詰ったときはどうするか? お茶を飲むとか、散歩に出るとか、いろんな手がありますね。一番手っ取り早いのは、書いたところを読み返す
231 いままで書いてきたエネルギーをもういっぺん吸収し、それを受け継ぐようにして先へ進む。あるいはいままでのところでよくないところを反省して、そこを書き直したり、先で補ったりする。つまり自分の書いた文章を読み直すことは、一種の批評であって、その自己批評によってもう一人の自分との対話をする。そうやって書き続けていくことが大切なんですね。
       前後の論理的なつながり、論理的必然性に注意する
ただここで大事なのは、論理といっても、バカ正直、几帳面、しかつめらしい、堅苦しい、くそ真面目なものでは、困るんです。書くものの種類にもよりますが、論理的必然といっても、遊び心を忘れてはならない。そういう意味で、歌仙というのがとてもよいお手本でしょう。
234 将棋も。最初から駒の運びを覚えていられる。 → 羽生喜治『捨てる力』

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