2010年12月17日金曜日

書かない子をどうサポートするか (4)

今回は、Reclaiming Reluctant Writers (by Kellie Buis from Stenhouse)の第2章と第4章から中心に紹介します。

⑪ 読み聞かせの有効活用

著者のBuisは、「読み聞かせをどれだけするかと、書かない子どもたちが書けるようになるかは相関関係にある」と言っています。
もちろん読み聞かせする本は、絵本に限定されません。普通の本でもいいし、雑誌、新聞、カタログ、旅行のチラシなども可能です。何を選ぶかは、目の前の子どもたち(特に、書かない子たち)を念頭においた教師の選択にかかっています。

読み聞かせを「書き手の視点から振り返るためのシート」の案も提供してくれています。たとえば、以下のような項目が考えられます。(48~49ページ)
・ 読み聞かせはよかった/よくなかった? その理由は?
・ 作品で特に印象に残ったことは、
・ 特に興味のあった「作家の技」は、
・ 書く題材(テーマ)として思いついたのは、
・ 書き手の声/主張は聞こえてきたか?
・ 作品の構成や文の流れで気づいたことは、
・ 言葉の選択で気に入ったのは、

これらについて読み聞かせの後に書けるようになると、作家の目で読んでいることになるわけで、読み聞かせは、自分で読む(黙読する)よりも、作家の耳で聞ける/判断できるようになるために効果的です。

単に読んで理解するのと、書くのに役立てられるように聞く(=作家の視点で読める)ことは別物なので、いかに後者を念頭において教師が読み聞かせられるかは重要なポイントにもなります(47ページ)。
その際の注意点として、作家のスタイル(構成の仕方、主張、感情面の描き方など)や作家の技などについては指摘することも躊躇せずに、場合によっては黒板や模造紙に記録することも含めて、子どもたちが使えるように手助けしていくことが大切です。

書かない/書けない子どもたちには、詩の読み聞かせ(および10月22日12月3日に紹介した書き聞かせ)を繰り返すことで、特に助けになるとも書かれています。(57ページ)文章が短く、言葉も選りすぐられている分、インパクトも大きいのだと思います。また、短いのでそのことについて話し合うことができるのも、大きな助けになります。

以上の他に、読み聞かせは、クラスの中に「作家たちのコミュニティ」を作り出すのにも役立ちますし、読み聞かせする本を、メンター・テキストにしていくという教師側の意図にそって選ぶことで、一石二鳥の使い方もできます。もちろん、子どもたちは本から刺激を受けますから、書く際にたくさんの題材のヒントを得ることにもなります。(38ページ)

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