2010年12月10日金曜日

低学年のWWでの絵の役割 (絵を使う理由)

 今朝、通勤途中で読んでいた絵本ですが、かなり創造的な絵本でした。

 最初は、多くの絵本と同じように、(普通に?)絵と字があります。

 でも、本の途中から、それぞれのページの真ん中に、絵が一つ書いてあります。そ
してそれぞれのページに、その一つの絵をはさむように、横書きで絵の上と下に文が
書いてあります。

 上の文は、なんと文字の上下が逆なので、上の文を読むためには、本の上下を逆にしないと読めま
せん。

 そして本の上下を逆にしたとたん、絵は、逆から見ると違う絵に見えることに気
付きました(ただし、ページによっては、上下の文を読まないと、なかなか違う絵に
は気づけないページもありました)。

 そんなページが20ページぐらい続くのです。

 面白い! と思いました。

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 創造的なつくりかたの本を見ると、「いつかWWで紹介するときの1冊にしよう」と
思います。

 この本の場合は、その創造性は絵を抜きにしては語れない本でした。

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 この本のおかげで、「WWでの絵の役割とは?、なぜ絵を使って描くこともよく行うの?」と考えました。

 『ライティング・ワークショップ』を読んでいると、幼稚園から小学校1年生の教室
では、絵を使う(絵を書き足したり、絵に単語を付け加えたりすること(72ページ
参照)が書かれています。

 また5~7歳ぐらいの子どものための事例が中心のライティング・ワークショップの
本, 『
About the Authors』 でも、子どもたちが(絵)本をつくる話が紹介されていて、自分の取り組み中の作品に絵を描 くことでできるいろいろな可能性に子どもたちが気づくことも教えています。

 例えば、ある本の絵を描くときには、まずどの部分を絵にするのか、そして絵にする部分をどのように描くのか、絵本の絵を描く人は、いろいろな「選択」をします。

 絵本から、絵を描いた人が「どんな選択をして書いているのか」ということを、子
どもたちと話し、絵を描いた人が行った選択のリストをつくったりしながら、考えて
いきます。

 こうすることで、子どもたちは、自分の作品につかえるかもしれない、さまざまな
選択肢を学んでいきます。

 まだ文字や文だけでは十分に表現できない子どもたちも、絵ができることを学ぶこ
とで、まさに「作家が表現したいことを、よりよく表現するために、いろいろな表現方法の選択肢を自分のレパートリーに加え、そしていい選択を していく」という、ある意味WWの中核にあることを、絵も使って、学んでいるのだなと思いました。

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 上の本、『About the Authors 』の著者は、絵本を見て、子どもたちにしてみる一般的な
質問をいくつか挙げてくれていますので、そこから少し紹介します。

 例えば。。。

 「レイアウトはずっと同じなのか、あるいは途中で変わるのか? そのことの意味は?」

 (→ 冒頭の絵本の場合、上のようなレイアウトは本の途中からの真ん中の20ページです。この20ページは、一つの状況下での人々を描いています。最初と最後のレイアウトは、普通の?本です)

 「文字と絵との関係は?、レイアウトの特徴は?」

 (→ 冒頭の絵本の場合、文字を見ないと、2種類の絵を見分けにくいページもあ ります。また、絵の上の文字が上下逆なので、本の上下をひっくりかえすことになります)

 「色の使いかたで意味を伝えていることはあるか?」

 「どのような角度から見ているのか、また、近くから見たり、遠くから見たりしているのか? このような見方は、本が伝えたいこととどのように関連しているの?」

 「文字では伝えていない情報を、絵で伝えているか?」

 「絵だけの箇所があるか。その場合、言葉なしでどのように情報を伝えているのか?」

 (これは絵ではないのかもしれませんが)「文字の大きさ、色、フォントなどを意識して使っているところはあるのか? その効果・意味は?」

(出典: Katie Wood Ray著、About the Authors  (Heinemann, 2004) 183-187ページ

 ☆ なお、冒頭で紹介した絵本ですが、検索してみたのですが邦訳は見つけられ
ませんでした。題名はThe Turnaround Wind で著者がArnold Lobel, 1988年に
HarperCollins より出版されています。私は名古屋市の図書館で偶然、出会いました。もし、邦訳をご存知でしたら教えてください。



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