2021年9月3日金曜日

新刊『挫折ポイント』

来週出る本に、以下のようなことが書かれています。とくに、GIGAスクールを推進している/させられている方々には参考になるのではないかと思います。


 

 これを読んで、どのような感想をもたれましたか?

 この『挫折ポイント』というタイトルのつけられた本が出たのは、2018年のこと(実践は、少なくともその2~3年前?)ですから、コロナ以前です。日本では、コロナの影響で、GIGAスクール構想が前倒しされ、一人一台の端末整備が急ピッチで進みつつあります。しかし残念ながら、これを読む限りは、GIGAスクール構想で掲げられていることは達成されないことが分かってしまいます。

 この本は、一人一台の端末を活用した方法を紹介するものではありません。そうではなく、すでに、それは試したうえで、一人一台では何の解決にもならなかった、というところをスタートラインにしています(つまり、教育のより本質的な部分に迫ります!)。

 引用の最初にあるように、多くの教師は、すべての生徒を成功に導きたいという気持ちをもっています。同じように、生徒の多くも楽しんで学習に取り組みたいと思っています。しかし、その思いが実現されない状態が長年続いています。いったいどこに問題があるのでしょうか? 

 本書は、やる気、動機づけ、モチベーションをいくら高めようと努力してもうまくいかないなら、逆転の発想に立って、「生徒がつまずいたり、挫折したりする理由は何か? そして、それを回避することはできるだろうか?」という問いを設定して取り組んだ二人の教師の記録です。著者たちは、「挫折ポイント」と名づけた「生徒がやる気をなくした瞬間や努力をしないと決めた瞬間」を研究することで、生徒の学習に対するやる気、無気力・無関心さに対処するための新しい教育方法を見つけるのに役立った、といいます。

 彼らは、「モチベーション(やる気、動機づけ)を、体毛の色、血液型、利き手と同じように一定の要素として感じている人が多い(中略)モチベーションというのは一般的に人が認識しているよりもはるかに範囲が広く、変化するものであることが分かった」(viiページ)と言います。つまり、単に「あるか、ないか」ではなく、本書の各章において「挫折ポイント」の図( 10ページ)や「連続体」(14ページ)や「挫折の方程式(=挫折する諸要因の関係を表した式)」(28ページ)どのようなモチベーションがあるかによって対処法が異なるというのです。(これら3つの図と式を見るだけでも、本書の価値があるかもしれないぐらいです!)本書全体がこのテーマを扱っています。

 このブログの読者が興味のもてる例を挙げると、

 たとえば、本を読むときのモチベーションがどのように変わるのかについて考えてみよう。最初は、出てくるキャラクターや場面などを知らないためにゆっくりと慎重に読みはじめ、次第に読むエネルギーが薄れていくことがあるかもしれない。しかし、クライマックスに近づくにつれ、先を読みたくなるほど興奮する状態になり、夜中まで起きて最後まで読み進めてしまうものだ。つまり、読みはじめたときとは比べものにならないほどのエネルギーを注ぐことになる。このように、モチベーションには山もあれば谷もあるのだ。これらの山と谷を見いだすというのが、「挫折ポイント」における理論の基本となる。(viiページ)

 さらに、

誰にでも、エネルギーが出てこないために、やらなければならないことを先延ばしにしてしまうという瞬間があるし、もっと努力したり、集中力を高めたりする必要のあるときがある。たとえば、あなたも試験の採点しなければならないときや家事をしなければならないときなどは、「先延ばしする」という気分になるのではないだろうか。モチベーションや努力というのは、蛇口を簡単にひねったりするようなものではない。やる気を出し、ベストを尽くすためには、数の多い要因が影響しているのだ。(先の「挫折の方程式(=挫折する諸要因の関係を表した式)」(28ページ)で、これらの要因を明らかにしてくれています。)

 学習に対するモチベーションや努力を、簡単に「オン・オフ」が切り替えられるものとして捉えるのではなく、身体のコンディションや習慣といった何らかの結果からもたらされるものとして解釈することで、「挫折ポイント」の考え方が理解しやすくなる。「挫折ポイント」とは、突然、集中が切れ、エネルギーがなくなり、継続的に努力をすることができない状況に陥ったときの反応である。(viiiページ)

 本書のパート2では、挫折ポイントを回避するための様々な方法が紹介されています。その中には、次のテーマが含まれています。

  一人ひとりをいかす教え方による挫折の抑制 ~ 『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』と関連する内容です。

  評価方法の転換 ~ 『一人ひとりをいかす評価』『成績をハックする』『ピア・フィードバック』等と関連する内容です。

  生徒をエンパワーするのは教室の文化と雰囲気 ~ 『「おさるのジョージ」を教室で実現』『静かな子どもも大切にする』『教育のプロがすすめる選択する学び』『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』『歴史をする』『あなたの授業が子どもと世界を変える』等と関連する内容です。

  学びが中心の学校文化に転換する ~ ここの中心テーマは「ICTを活用して挫折を回避する方法」です。


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