2015年6月5日金曜日

一人ひとりの子どもを大切にするアプローチ



「年度の終わりまでに、子どもたちにどのような読み手(書き手)になってほしいか?」 を年度当初に考えたことはありますか?
 それを設定するかどうかで、実践も自ずと変わります。(具体例は、下をご覧ください。)
 必ずしも教科書を順番にこなしていくことで、それが達成できないことがあり得ますから。
 教室には多様な子どもたちがいます。
 教科書のレベルをはるかに超えた子から、まだそれに到達できていない子たちまで。
 そうした多様な子たちに対応できる教え方が、リーディング・ワークショップ(ライティング・ワークショップ)です。まさに、今回紹介する本のOne Child at Time, by Patricia Johnson (Stenhouse)のタイトルにあるように(左側の数字は、本のページ数。 ~の後は、吉田のコメント)、一人ひとりの子どもを大切にするアプローチです。

第1章 読むことに困難を抱えている子たちを教える際の枠組み
2 困難を抱えた子ほど、その子にとってオーダーメイドの教え方をされた方が、よく学べる。 ~ できる子は、それなりに自分であわせることができるが、できない子はそれが難しい。(もちろん、誰にとってもZPD=誰かのサポートでできるようになるところで教えてもらうのがベスト!!)その意味で、一斉授業でない、カンファランスやガイド読みは効果的。より詳しくは、『読書家の時間』の第10章を参照ください。

4 読みのシステム(枠組み)を自ら構築できていない子どもたち
  そのためには、優れた読み手がどう読みのシステムを構築したのかを知っている必要がある。

5 here’s what, so what, now what, then what ~ 一人の子どもとの関りかたの枠組み(4段階モデル)

6 Here’s what は、子どもができること、できないこと、もう少しでできることを把握する過程。子どもについて知る段階。 そのためには、優れた読み手のシステムを知っていないといけない。それに照らし合わせて把握するから。

7 So whatは、優れた読み手のシステムに照らし合わせて、しっかり確認する段階。

9 Now whatは、実際に教える段階。方法は5つ。
     modeling  モデルを示す
     scaffolding = doing it with him/her 一緒にする
     prompting  きっかけと提示する
     backing off  子どもがするのを観察する
     reinforcing  改善点を補強する

10 対象は、方法(頭の中で起こっていること)か行為(見えたり、聞こえたりすること)

  Then whatは、教えたことが身についているか/使われているか確認/観察する段階。

第2章 基盤を築く
14 情報源: ①意味(関連づけすべて)meaning、②言葉の構造(文法)syntax、③見えたり・聞こえるものgraphophonics を統合して解釈することが読むこと ~ この部分について、より詳しくは『理解するってどういうこと?』の第5章を参照してください。
15 優れた読み手は、これら3つを複合的に、柔軟に活用して、意味を作り出している。

17 方法といったら、理解のための方法のこと。 ~ 「理解のための方法」について詳しくは、『「読む力」はこうしてつける』を参照してください。(以下の、「責任の移行」も、同書の65~68ページに説明してあります。)

20 読み書きに適した環境の大切さ ~ 教室内の図書コーナーや読みたくなるような教室のレイアウトなど(詳しくは、『読書家の時間』の第2章を参照ください。)

21 Balanced Literacy Approach ~ 「責任の移行」を実現している教室
  上は、教師がする   (読み)      (書き)
                              Read-aloud            Writing Demonstration
                              Shared reading        Shared and interactive writing
                              Guided reading             Guided writing
                              Independent reading    Independent writing
  下は、子どもたちがする
 ※教え方のバランスが鍵!!!


第3章 主体的な参加
27 「年度の終わりまでに、子どもたちにどのような読み手になってほしいか?」 ~ 日本の国語教育や図書教育では、この問いを大切にしていますか??

     読むことが好き
     学校でも家でも自分で主体的に読む
     多様なジャンルの本を読む
     滑らかに読める
     読んでいるものを理解できる
     読んでいるものに集中できる
     自分の読みを修正できる
     わからない単語や文章を克服できる = 問題を解決できる読み手

28 主体的な(自立的な)読み手は、いろいろな方法を使って問題解決ができる。

  読む際の流れのようなものを学び手/読み手の頭の中に押し込むことはできないので、一人ひとりが多様な方法を自分で使いこなせるようになる必要がある。
  教師の役割は、それらの方法をモデルで示したり、きっかけを提供したり、サポートしたり、そしてできるようになったら引き下がること。
  読んだ振りをしている子どもたちは少なくない。 ~ 特に、朝読の時間や図書の時間に多い? 国語の時間は、理解している振り?
  受動的/受け身的な子どもには、主体的/自立的な読み手になってもらうためのサポートが大切。「意味をつくり出すプロセス」と捉えられる「読む」という行為に必要な方法を身につけ、そして使いこなしてもらうために。

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