2012年7月6日金曜日

本物に浸る


 「本物」のパワーは、すごいです。
 「ようこそ先輩」や「オーサー・ビジット」が好まれるはずです。

 しかし、なかなか有名人をクラスに招くのは大変です。

 そこで、まずは身近にいる作家、詩人、俳人、大学教授(だいたいは論文を書いている)、ジャーナリストなどを地域の図書館や役所の文化担当などに聞いて教えてもらい、教室に来てもらうのです。近場の人なら、ボランティアのお母さんたちと同じ感じで来てくれるかもしれません。しかも、有名人の「ようこそ先輩」や「オーサー・ビジット」と違って、繰り返し来てくれる可能性すら高いです。

 本物の人が得られない場合のセカンド・ベストは何でしょうか?★
 その人の動画と本をセットにしたものは、どうでしょうか?
 単に本だけよりは、いいのではないでしょうか?

 私たちは、言葉や、野球やサッカーや、碁や将棋や、料理や裁縫など、ほとんどのものを身につけるときにすることは、その中に「浸る」ことです。しかも、自分が真似したいと思えるものの中に。
 読み・書きを含めて、学校の教科指導の中でまさに欠けているものが、この真似したくなるものに「浸る」という行為です。従って、身につきません。(暗記して、テストの後には忘れる、という悲しいパターンを続けています。)

 教科書が「本物」の代用になるかというと、残念ながら無理です。「偽物」ですから。
 本物が容易に使える場合は、そちらを使うべきです。それだけで、まったく効果が違いますから。
 たとえば、小学校の2年生★★の「スイーミー」を教科書を使って学ぶのと、実際に絵本の『スイーミー』を読む場合のインパクトの違いを考えてみてください。絵本なら、レオ・レオーニの他のたくさんの絵本も一緒に子どもたちに見せて、浸ってもらえます。(しかし、少なくとも私には教科書に「浸る」という感覚はイメージできません。)

 レオ・レオーニについては、他にいろいろ探してみるといいかもしれません。
 日本語ではなかなかいい情報が見つかりませんでしたが◆、英語ではレオーニの略歴が紹介されているサイトもありました彼をインタビューした動画もあります。(英語ですが、わずか1分20秒ですし★★★、わかりやすい言葉を使っているので、小学生相手でも十分に使えると思います。ちなみに、本人が一番好きな動物=絵本は何だと思いますか?)

もちろん、答えを見せてしまう前に、子どもたちに「浸って」もらって、自分たちが選ぶレオ・レオーニのベスト5を選ぶほうがいいと思います。(たとえば、各自がベスト3を出し合って、それを集計する形で。)そんなことができたら、他のクラスや保護者たちにも、レオ・レオーニの作品に「浸って」もらえるチャンスを提供することになるでしょう。
 そこまでいったら、間違いなくレオ・レオーニのスタイルで作品を書く子がたくさん表れることも請けあいます。

 ぜひ、「本物に浸る」形で、読み・書きに取り組んでください。


★ 極めて個人的な体験ですが、私にとっては「本物」であるはずの当人よりも、その人が書いた本のほうがはるかにおもしろかった体験があります。著名な日本の中世史家の場合です。何冊か読んでいたので、講演会を楽しみにしていたのですが、退屈で聞いていられませんでした。人によっては、本だけにしておいたほうが、いいイメージが壊れなくていいという場合もあるということです。その意味では、誰かを教室に招く際には、事前に会って、(子どもを対象に)それなりに面白い話をしてくれるのかどうかは確認した方がいいということです。

★★ 小学校高学年~高校だったら、たとえば星野道夫のたくさんの本に浸ることができます。星野さんの場合も、動機づけに動画を探してもいいかもしれませんが、彼の本には動画で見られるすべてが含まれています。いい写真です。



★★★ この短さが大事です。映像を長く見せるのは、教育の観点からは効果的とは言えませんから。

● レイ・ブラッドベリのサイトで、彼の動画も見られます。

1 件のコメント:

  1. リーディング・プロジェクトをしたときに、何人かは、私が何も言わないのに、作家たちのインタビューをインターネットで探して聞いていました。学習者から、そういう手段があることを、私は逆に教えてもらって、その後、私も自分の好きな作家のインタビューを探すようになりました。英語だと、たくさんあるのに驚いていますし、楽しいです。
     レイ・ブラッドベリはDandelion Wineが届きました。楽しみです。

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