2012年7月2日月曜日

レイ・ブラッドベリ 2


『ブラッドベリ、自作を語る』の続きです。この本は、ブラッドベリ研究者のサム・ウェラーが亡くなる前の作家をインタビューする形式を取っています。(数字は、ページ数)

●2人作家クラブ
ウェラー・ 作家修業の上で、最も重要な役割を演じてくれたと言ってもいいリイ・ブラケットについてお願いします。
ブラッドベリ・ 日曜日ごとにヴェニス(ロスアンジェルス郊外)であって、僕のへたなストーリーを読んでもらって、彼女のうまいストーリーを読ませてもらった。(283)

●書く題材はどこから?
ウェラー・ もし若い作家にアドバイスするとしたら、オリジナルの人物やストーリーを思いつくために、どんなことをしたらよいとお考えでしょうか?
ブラッドベリ・ アンテナを張りめぐらすんだね。とにかく読みなさい、というのが処方箋だ。一晩に一篇のエッセイを読むことを千夜続ける。また、一晩一篇の詩を千夜。一晩一篇のストーリーを千夜。そうすれば千夜で三千のメタフォーが頭の中にある。それがアンテナになる。それだけアイディアがつかまえやすくなる。そうやって出てくるもんなんだ。まず自分の人生があって、自分に取り込んだメタフォーが加わって、栄養たっぷりのミックスが頭の中にできあがる。そういうことをしなかったら、頭の中に何がある? もともとの経験しかないじゃないか。それじゃ足りない。実体験を持ってなんかいられないさ。自分で作る気にならないと。
ウェラー・ いまの処方箋ですが ~千の詩、千のエッセイ、千のストーリーという、それだけあればアイディアが湧いて出るようになりますか?
ブラッドベリ・ 保証はしないよ。かならず火花が散るとはかぎらない。頭の中にたまったガラクタに反応していく能力を、僕は神様にもらったと思ってる。ただ、いろんなものを貯め込んで、おもしろがっていなさい、ということだけは人に向かっても言える。(285)
◆ ちなみに、ブラッドベリは高校卒業後27歳までの約10年間、ロスアンジェルスのダウンタウンの中央図書館で週に2,3回、夜に行っていたそうです。「図書館さえあれば、それだけで教育になる」と言い切っています。★


★ ブラッドベリ・ 小学校から高校までの時代にも図書館には行っていた。夏には昼間ずっと入り浸っていた。よく雑誌を勝手に持ち出して、読んで、また勝手に棚へ戻した。・・・学校へ行くよりはるかにおもしろいさ。自分で読みたいもののリストを作って、誰に何を言われるのでもないんだ。うちの子どもたちが宿題として読まされる本を見ていると、こんなことで成績をつけられるのか、そういう本が好きじゃない子はどうなるんだ、なんてね。
パリス・レヴュー・ それが大事だということですね。自分の好き嫌いで決めてよい。
ブラッドベリ・ そうだよ、それがすべて。(368)

1 件のコメント:

  1. ブラッドベリの共有ありがとうございます!
    深く共感してうなづけることがとても多いです。

    最後の
    「そうだよ、それがすべて。」
    は高校のころを思い出して、
    深く納得します。
    自分の国語の力を伸ばしたのは
    ほとんど読みたい本を読んだことのおかげだと思います。

    そのことをよく思い出して考えて
    学校の教育についても考えます。

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