2021年8月13日金曜日

WWとRWは、「プロジェクト学習」そのもの!?

 『プロジェクト学習とは』のなかから二つの引用を紹介することによって、ライティングとリーディング・ワークショップ(WWRW)は究極の「プロジェクト学習」であることを示します。

1.

生徒には、各教科内容の知識やスキル★に加えて、①協働すること、②(口頭や書面という言語的な面と、映像などの非言語的な面での)コミュニケーション、③クリティカルな思考と④問題解決、⑤プロジェクトの管理と自己管理、⑥創造性と⑦イノベーション(革新性)、そして、⑦人生と世界の課題に取り組むためのエンパワーメントの感覚などといった「成功のためのスキル」★★★が必要とされています。本書で紹介されているプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL=プロジェクト学習)を経験している生徒たちは、これらのスキルや性質を身につけているということができます」(『プロジェクト学習とは』のiiページより)

★従来の国語の教科書をカバーする一斉授業で、知識とスキルはどの程度子どもたちに定着する形で身についているでしょうか? かなりの部分は、教師が「自分はカバーしました」と言えるだけの教え方にとどまっています。

一般的には「批判的思考」と訳されますが、それが占める割合は四分の一からせいぜい三分の一です。より重要なのは「大切なものとそうでないものを見極める力」です。

★★★あるいは「21世紀スキル」と言われているものです。これらは近年、教科内容の知識やスキルと同じレベルか、それ以上に重要だと言われるようになっています。それらがないと、21世紀を生き抜くことが難しいとされているからです。①~⑦の中で、従来の授業によって、身につけられているスキルや性質はどれでしょうか? (そのいくつかには挑戦できていても、それを評価するところまではいっていないのではないでしょうか? 本書では、それを評価する方法も詳しく紹介されています!http://projectbetterschool.blogspot.com/2021/08/blog-post_8.html

 WWRWは、国語の知識とスキルをほとんどの子どもたちが身につけることはもちろんですが、①~⑦も重視して、常に練習し続けています。

 

2.

プロジェクトが高い質をもつと判断されるために、ある程度当てはまらなければならない「プロジェクト学習」の6つの枠組みに関する基準をご紹介します。

知的な挑戦と成果

 生徒は深く学び、クリティカルに考え、優れたものを目指しています。生徒は、

 ・挑戦的な問いや疑問に対して、長期間にわたって向きあうことができますか?

 ・教科領域や知的分野の中心となる概念、知識、スキルに焦点を当てることができますか?

 ・学習とプロジェクトが成功するために必要な、研究に基づいた指導とサポートを受けることできますか?

 ・最高の質をもっていると言えるような作品を完成させることに全力を尽くすことができますか?

 

本物を扱う

 生徒は、自分たちの文化、生活、将来に関連している、意味のあるプロジェクトに取り組みます。生徒は、

 ・学校外の世界や、個人的な興味・関心につながるような活動ができていますか?

 ・学校外の世界で使われているツール、科学技術、デジタル技術を使うことができますか?

 ・プロジェクトのテーマ、活動、成果物について、選択する権利をもっていますか?

 

成果物を公にする

 生徒の成果物は公開され、議論の対象となり、批評されることになります。生徒は、

 ・自分の成果物を展示できる場があり、教室を超えて、仲間や見てくれる人に対して学習内容を発表できていますか?

 ・成果物を見てくれる人からフィードバックを受けたり、直接対話に参加したりしていますか?

 

協働すること

 生徒は、対面またはオンラインでほかの生徒と協力したり、大人のメンターや専門家からアドバイスを受けたりします。生徒は、

 ・複雑な課題を完了するために、チームで活動をしていますか?

 ・効果的なチームのメンバーやリーダーになるための学びを行っていますか?

 ・大人のメンター、専門家、地域の住民や企業や組織との連携方法について学んでいますか?

 

プロジェクト・マネジメント

 生徒は、プロジェクトの開始から完了まで、効果的に進めるためのプロセスに則っています。生徒は、

 ・多段階のプロジェクトを通して、自分自身とチームを効率的かつ効果的にコントロールすることができますか?

 ・プロジェクトをコントロールするプロセス、ツール、方法を使用することを学んでいますか?

 ・デザイン思考★の視点とプロセスを適切に使用していますか?

授業でデザイン思考がどう活用できるかについては、『あなたの授業が子どもと世界を変える』(とくに第7章)をご覧ください。

 

振り返り

 生徒は、プロジェクトを通して自分の成果物と学習を振り返ることになります。生徒は、

 ・自分自身やほかの生徒の成果物を評価し、改善点を提案することを学べていますか?

 ・学んでいる教科領域の知識、概念、成功するためのスキルについて考えたり、書いたり、話し合ったりしていますか?

 ・自分自身の主体性を高めるためのツールとして、振り返りを行うことを位置づけ、それを使うことができていますか? (以上、『プロジェクト学習とは』のviiixiページより)


〇以上の「6つの枠組み」★★とそれらを可能にするために生徒が実際にしているかを問う質問を読んで、どのような感想をもたれましたか?

〇あなたの授業で、どのくらいが満たせていますか?

〇すでにWWRWに取り組んでいる方は、どのくらい満たせていますか?

 

 ある程度WWRWに精通した教師なら、これらの質問はほぼすべて満たせています。

 まだ実践に踏み切れていない方は、この本(『プロジェクト学習とは』)やhttps://sites.google.com/site/writingworkshopjp/teachers/osusume から興味をもった本を読んでいただき、9月からぜひ実践をスタートさせてください。

今回紹介したことは、同僚や管理職を説得する際の材料として使えるのではないでしょうか。

 

★★この「6つの枠組み」はプロジェクト学習用に考え出されましたが、WWRWはプロジェクト学習として開発されたわけではありませんから、「いい授業がもっている6つの枠組み」としても使えそうです。

 

 

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