ライティング・ワークショップを最初に紹介しはじめたとき(約15年前)から、ずっとやりたいと思っていたプロジェクトです。
作家ノートは、ライティング・ワークショップ/作家の時間の「核」です。
生徒一人ひとりが作家ノートを持つ形で、授業中以外も、書く題材集め、下書き、修正等を作家ノートに書き溜め続けます。ある意味では「常に」書き続けるというか、書くことについて考え続けることを意味します。★(それは、自分の人生およびその周辺について考え続けることを意味します!)
本物の作家、詩人、俳人、歌人は、持っている人が多いです。ノンフィクション・ライターやジャーナリストは、取材ノートの名称で持っています。それがなければ、仕事にならないぐらいです。
本物の書き手がしていることを同じように体験するのが、ライティング・ワークショップ/作家の時間ですから、作家ノート/取材ノートが「核」なのは当然です。
すでに、4人のメンバーでスタートしていますが、あなたも参加できます。子どもたちに作家(取材)ノートを持ってもらい、そして書く題材集め、その中からの選んだ題材の下書きを書き出し、それをブラッシアップした修正文などをドンドン書き続けてもらうのです。★★ もちろん、子どもに自らの作家(取材)ノートのより効果的な使い方を開発してもらうのもOKです。そして、その中で本人(プラスあなた)がいいと思ったものをプロジェクト宛(pro.workshop@gmail.com)にお送りください。
ちなみに、『A Writer’s Notebook(作家ノート)』という本を、『ライティング・ワークショップ』の著者のラルフ・フレッチャー氏が書いています。小学生も含めた子どもたちを対象にした本です。(対象が広いので、こちらの本の方が教師向けの『ライティング・ワークショップ』よりもはるかに売れています!)最初に読んだときから、「こんな本をぜひ出したい!」と思わせる内容でしたが、訳すことは最初から考えられませんでした。その本の中に登場しているような、日本の子どもたちの実践例を使わないと、日本の子どもたちには(そして、先生たちにも)インパクトがありませんから。
そのフレッチャー氏のオリジナルの『作家ノート』の目次に含まれているのは、次のような内容です。
・「作家ノート」って、いったい何?
・忘れられない物語
・大いなる驚き(不思議)
・小さく書く
・たくさんのネタ
・頭に浮かぶ映像
・会話の一部
・リスト化する
・記憶
・元気にする文章
・読み直す ~ 宝石をさがし出す
・書くことについて書く
これらは、フレッチャー氏が集まった子どもたちの作品をもとに構成した感じがします。なので、日本語版でもあらかじめ章立てを考えて、それを満たす作品を集めるのではなくて、集まった作品から本の構成(=章立て)を考えますので、みなさん(というよりは、子どもたち!)の参加をお待ちしています。
可能なら、コロナウィルスの影響で、今年は短縮されている夏休みの期間中も是非フルに活用してください。
「作家ノート」(普通のノートでOK)を渡すことと、あとはその使い方を簡単に説明するだけでOKです。たとえば、
【どんなノート?】
・作家、詩人、ジャーナリスト、ノンフィクション・ライターが作品を書くために使うノート
・書くことを楽しくするノート
・落書きでもいい!!(他人に見せたくないなら、それもOK)
【何を書く?】
・自分がいちばん書きたいこと
・ふと頭に浮かんだこと
・生活の中での気づき
・何気ない生活の一コマ
・心が動いた瞬間のこと
・問いと答え(問いについての自分の考え)
・生活の中で出会った言葉を書き留める。(テレビ、マンガ、本、友だち、先生、親・きょうだいの名言)
・何かを思い出すきっかけになりそうなことを記録する。
教師も自分の「作家ノート」を持つことをおすすめします。教師が率先してモデルを示すことができれば、子どもたちも前のめりで取り組むことができると思います。
もちろん、これは夏休みの期間限定ではなく、残りの年度めいっぱい使ってください。そして、年度末に子どもの作家ノートの一部を送ってください。(その間の疑問・質問はpro.workshop@gmail.comにお送りください。「作家ノート」プロジェクトのメンバーがお答えします。)
★ なので、自立した書き手になるための「核」というか、生涯を通して書き続ける人になるための「核」といえます。これはまた、教えられなくてもいいことを意味するかもしれません。一人ひとりの子どもが、自分で学び続けられることを意味するからです。
★★ もちろん、その中の光るものは、しっかり校正をし、清書して、出版し、フィードバックが得られるようにしてあげてください。これによって「作家のサイクル」が完成しますから。https://wwletter.blogspot.com/2012/01/blog-post_28.html サイクルを回せるようにすることこそ、書くことの指導でもっとも大切なことです。それ以上大切なものはありませんから、教師の役割の焦点もそこに当てるべきです(それは、上に書いたモデルで示すことを含めた、子どもたちみんなが書きたくなる雰囲気づくりと言い換えられるかもしれません。間違っても、添削などではありません! いくらホワイトボードを使って教えたり、添削にがんばったりしても、自立した書き手は育ちませんから、無駄な時間は割かないでください)。
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