2019年11月1日金曜日

生徒も!教師も!RWが育む「自分への期待」


 新潟の公立中学校の先生の佐藤可奈子さんがリーディング・ワークショップ(以下、RWと略す)の実践記録を送ってくれたので、そのダイジェスト版をこのブログ用に書いてもらいましたので紹介します。

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 2019年度、中学3年生の国語科カリキュラムにRWを設定してみました。2期に分けて、1期につき13時間程度、年合計26~30時間を目途に4クラスに対して行います。前期末にRW1期を終了しました。RWの時間は、教科書教材を取り扱う時間をぎゅっと圧縮して生み出します。教科書教材「を」教えようとしなければ可能だと思います。

 今回は、同じ学年を担当する同僚とRWに挑戦しました。以下は同僚の声です。
RWは、とてもよくできた仕組みだと思った。自分は『イン・ザ・ミドル』を読んでいないが、日常の中で授業を見たり、RW実践経験者と一緒に授業をすることで、生徒がどんどん読めるようになり、書けるようになることが実感できた。一部の読みの困難な生徒について、初めてのことなのでお互いにうまくいくようにはできなかった。第2期への課題だ。また、授業の空気感は重要だ。図書館に自由に放牧するのではなく、目的意識を明確にして授業の見通しを生徒に示すことがRWのキモだと感じた。日常の授業で「教科書を」教えるのではなく、「教科書で」スキルや知識を扱うようにしておかないと、生徒が、このRWを理解出来ないと思った。今の2年生にはそうした取組がされていないので、来年度、RWは無理かもしれない。また、自分だけで実践する自信がない。私のような、ありきたりな教師をもっと使ってもらい、いろいろ実験してもらいたい。実験体になりたい。生徒への声かけや対応について、どうすればいいの?と思ったとき、佐藤から『イン・ザ・ミドル』の一部を見せてもらった。言葉がけの内容まで公開しているナンシーさんに驚いた。」

 同僚は、2期への課題を自分で発見しています。また、これまでの教科書「を」教える授業の問題にも気づき、体験的に学びたいと考えています。
 生徒も同様の反応が多く見られました。1期終了後、Googleフォームを通して「1期の振り返りと2期への期待」のコメントを集めました。この振り返りには、第2期での「自分への期待」が多く綴られ、前向きな意欲とエネルギーを感じました。生徒のレジュメの厚さが日に日に増していくのが、私自身うれしかったし、生徒の自信につながると思いました。

 習った知識やスキルを使う機会があり、それをやり直す機会もあることで、学びのサイクルが回るのだと実感しました。教科書を教える授業の意味のなさ、ドリル学習の意味のなさ、勉強嫌いを生産するシステムを変えて行くには、どうしたらいいのか、RWの実践を通して、その答えを得た思いがしました。

 第2期は受験期に実施することになります。そのため、各自で自分のRWスケジュールを決めてもらおうかと思案中。RWの期間に、週1時間だけ「テストというジャンル」の学習を認めようと考えています。学びのハンドルを生徒の手に持たせることが2期の目標です。

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 生徒たちの振り返りを読んでみたい方は、pro.workshop@gmail.com宛にメールをください。お送りしますので。また、第1期と第2期用のカリキュラム概要は以下の通りです。
この表から佐藤さんたちが達成しようとしていることが明らかになると思います。なお、佐藤さんにとってRWの実践は今回が2回目です。昨年度2年生2クラスで約1か月(13時間)程度行っていました。

2 件のコメント:

  1. 私立中学校の国語教師です。今年に入ってから著書、訳書、ブログを拝読し、勉強させていただいております。
    RWは1年まるまるやらなくても、部分的にやる方法もあるんですね。なんとか導入したいと思っている私にとって朗報です。これからもいろんな先生方の実践例をご紹介いただけると嬉しいです。

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  2. (佐藤記)うーん。そうですね…。
    部分的にやれればいいという受け止めだと、怖い気がします。
    教科書をカバーするのではなくて、むしろRWが中心になるようにしないと。
    最初は一部の期間だけでも、その期間を限りなくのばすカリキュラムを組む姿勢は絶対必要。
    公立より、私立の方が素早くできそう…。
    カリキュラムの中心をRW /WWにおいて授業編成し、振り返りを充実して調整する感じです。

    高校では国語の枠組みが変わって
    文学国語 論理国語 古典国語 からの選択になりました。
    文学国語と論理国語はRWやWWでやれそうな気がします。

    どの道、教科書にこだわる方との戦い方を考えないといけないのですが。

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