評価には、①「学びのための評価(assessment for learning)」②「学びとしての評価(assessment
as learning)」そして③「学んだ結果の評価(assessment of learning)」の3種類があります。
『一人ひとりをいかす評価』の中で(90ページ)、①「学びのための評価」を教師が「受け持っている生徒や内容や学習環境に関する知識を組み立てたり、使ったりして、生徒の多様なニーズを確かめたり、確かめたニーズを次の学習段階での指導で使ったりする」評価と捉えています。つまり、「指導のための評価」とも言い切れます。そうなのです、評価は生徒の成績を出すために行われるだけでなく、(生徒の学びを促進するために)教師の教え方を常に改善し続けるためにも存在するのです! これこそが、形成的評価と言えます。ライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップで行われるカンファランスは、その最適の方法と言えると思います。(診断的評価も、これに含めて間違いないと思いますが、中心は形成的評価です。)
②「学びとしての評価」については、評価と学びをつなぐコネクター(接続)役としての生徒の存在が強調されています。「生徒たちは単に評価の情報を提供する者なのではなくて、評価情報の意味づけに積極的の取り組むことができる者にならなければならいのです。その際には、明確に定義された学習目標と、自分が理解したことを関連づけたり、フィードバックしてもらったことを自分自身の学習を振り返るために使ったりして、知識や理解やスキルを伸ばしていくのに必要な修正や改善をしていくことができるようになるのです」((90~91ページ)と説明されています。つまり、生徒たちを自己が評価でき、その情報を自分の学びの修正・改善に活かせる者として捉えているのです。それは、「指導としての評価」とも言うことができ、ポートフォリオ、パフォーマンス評価(プロジェクト学習)、ジャーナルなどがその典型的な方法です。(これらは、総括的評価の方法と呼べるもので、たくさんの作品を書いたり、たくさんの本について感想等を口頭や紙面でやり取りをしたりすることなどを通して、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップでもこれらを使っています。)
最後に、③「学んだ結果の評価」ないし「指導した結果の評価」は、テストに代表されるものです。評価というよりは、「成績」と言ってしまった方がスッキリするぐらいかもしれません。日本の評価は、基本的にこれが中心であり続けていますが、提供してくれる情報は最低限であり、上記の①と②の機能をもっていないので、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップではほとんど使われていないといっても過言ではありません。これと、よりよい書き手やよりよい読み手に育てることとの相性が極めて悪いです。もちろん、テストのために(年間を通して)教えるという無駄なこともしません。テストだけでなく、成績を出すことに労力を費やしても、残念ながら生徒の学びの質と量を向上することも、教師の指導力の向上にも寄与していないことは明らかですから。★
以上のように、評価について理解できると、教え方をドラスチックに改善できる糸口が見えてきます。★★
さらには、文科省が長年にわたって切望している「指導と評価の一体化」の実態も見えてきます。力点を置くべきは、③ではなくて、①と②です!!
★ この点に特化した本が『成績をハックする』で、本の内容は今回の書き込みとかなりオーバーラップするが多いです。事例として使われているのがライティング・ワークショップをベースにしたものが多いのがその理由です。
★★ 『イン・ザ・ミドル』の第8章からも、それははっきり見えてきますので、合わせて読んでみてください。(このブログの8月24日号では、評価の別な側面に焦点を当てて紹介しています。http://wwletter.blogspot.com/2018/08/blog-post_24.html)
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