2018年8月24日金曜日

評価は、生徒に対してするものではなく、生徒と協力してするもの!


 ライティング・ワークショップ/作家の時間(WW)とリーディング・ワークショップ/読書家の時間(RW)が、評価の観点からも優れた実践であることを証明してくれる本が、近日発刊されます。
 タイトルは、『一人ひとりをいかす評価』(キャロル・トムリンソン他著、北大路書房)です。

 WWRWは、診断的評価、総括的評価、そして成績でももちろん優れているのです★が、今回は「指導と評価の一体化」に最も関係の深い形成的評価に焦点を絞って紹介します。

◆形成的評価の特徴と影響
 『一人ひとりをいかす評価』の中で、形成的評価の特徴と影響について、評価の専門家たちの定義を紹介してくれています。その中の一人でイギリス人の研究者のウィリアムのを下に引用します。

 ディラン・ウィリアムは、「評価は、指導の次のステップを決めるために、教師が生徒のパフォーマンスについての証拠を集め、解釈し、そして使ったときの方が、証拠もなしに決めたときよりもどれだけ好ましいかという程度に応じて、形成的である度合いも決まる」としています。言い換えると、評価は「集めた証拠が、生徒のニーズに見合った指導に使われた場合に」形成的になります。ウィリアムはまた、教師が指導を改善するために評価情報を使うのと同じくらい、生徒たちも自分自身やクラスメイトの学習を改善するために評価情報を使うことが重要なのだと書いています。「力のある学習者たちは、自分の長所と短所(強みや弱み)がわかっているときにこそ、その力を一番よく発揮するのです」。こうした目標に向けて、形成的評価を授業で頻繁に(一つの教科で1週間に2~5回)行うべきです。(引用は、本書第4章の90ページより。この第4章では、形成的評価で使える具体的な方法も紹介されています。)

 この後に2人の他の研究者の定義を紹介した後で、「学力向上と評価を促進する州レベルの協議会(The State Collaborative on Assessment and Student Standards)」が採用し、幅広く引用されている次のような形成的評価の定義を紹介してくれています。それは、「意図された学習目標に向けて生徒の到達度を向上するように、教師による指導と生徒による学習を修正し続けるために継続して行われるフィードバックを提供し、指導/学習の間を通して教師と生徒によって用いられるプロセスである」(本書91ページ)と。そして、著者たちは以下の解説を付けてくれています。

 この定義で重要なのは、次の二つのことが強調されていることです。一つに、形成的評価が、何か特別な評価の種類やタイミングで行われるものではなく、プロセスとして捉えられていることです。もう一つは、そのプロセスが学習ユニットの開始時点で始まり、ユニットが展開するにつれて継続されて行われるということです。ですから、ウィリアムの説明に戻ると、評価を形成的にするのは、手段なのです。つまり、生徒のニーズについての情報を集め、それから学び、そしてそれを使いこなして、生徒の成功に貢献することを約束する指導と学習計画に修正を加えられるようにすること、です。(引用は、本書91ページより。)

 生徒たちがわかる/できるように教えるということは、まさに、こういうふうにすることだと思われませんか?
 WWとRWではこれを、カンファランスを中心に、多様な方法(作家ノートや読書ノート、共有の時間の生徒たちの振り返り、ミニ・レッスン中の生徒たちの発言、生徒たちが学期中を通じてつくり続けるポートフォリオ等も含む)で行われ続けます。

◆形成的評価で生徒が果たす役割
 形成的評価の特徴を考える際に、もう一つ忘れてはならない大事な要素があります。それは、生徒たちが果たす役割です。一般的に「評価」は「教師が生徒たちに対して行うもの」というイメージが強いですが、診断的評価と総括的評価および成績★まで含めて、本来は生徒たちと共に行うべきものです。そうすることによって、評価と成績の価値が何倍にも膨れ上がります。その理由を、『一人ひとりをいかす評価』(99~101ページ)では三つ挙げています。
 一つは、学校の最も重要な目標は「自立した学び手を育てること」★★だからです。
 二つ目は、自立した学び手となるために必要な知識や態度やスキルを生徒たちが身につけられるようにするためには継続的な支援が必要だからです。学びは、イベントではなくて、プロセスです。
 三つ目は、重要な内容に関する目標に向けて自分がどのように成長したかをお互いが評価できるように生徒たちを教えることは、いくつかの点で有益だからです。これによって、生徒たちは自己評価能力や相互評価能力を高めることができます。(つまり、教師に依存しないで自分を評価できる+自己修正・改善能力を高められるようになるのです。)

 これらはまさに、WWRWによる授業が実現していることだと思いませんか?

 ぜひ、形成的評価を含めた3つの評価と成績を、この本を通して自分のものにして、よりよい学びを生徒たちに提供してください。

◆ 特別割引情報
1冊(書店およびネット価格)2376円のところ、特別割引2000円(税・送料込み)となります。
ご希望の方は、冊数、②お名前、 ③郵便番号+住所 ④電話番号を書いて、pro.workshop gmail.com  お申込みください。


★これらの点については、『イン・ザ・ミドル』(特に、第8章)、『成績をハックする』、『読書家の時間』(特に、第8章)に詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください。

★★『一人ひとりをいかす評価』の99ページに、著者たちの「自立した学び手」像が5つ紹介されています。興味のある方は、あなたにとっての「自立した学び手」像をpro.workshopgmail.comに、お送りください。『読書家の時間』の執筆に携わったメンバーが描き出した「自立した学び手」と「自立した読み手」のリストをお送りします。



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