2012年12月7日金曜日

ブッククラブの歴史


 いまブッククラブの本の最終校正をしているところなのですが、以下は本には書けなかったことです。原稿を書き終わってから、見つけた情報(本)です。

『新・本とつきあう法』(津野海太郎著、中公新書)の163ページに、アメリカ建国の父の一人といわれるベンジャミン・フランクリンが「1731年、当時はまだ20代で、友人たちの蔵書を一か所にあつめて私的な読書クラブを組織した」★のがアメリカにおける公共図書館のはじまりと書いてありました。ちなみに、このベンジャミン・フランクリンはアメリカ史上でもっとも面白い人の一人です。
 『市民結社と民主主義』(ホフマン著、岩波書店)の28~29ページには、読書クラブは18世紀初めにイギリスで誕生したこと、ドイツで最初の読書協会は1760年に成立されたが、30年後の1790年には500以上に達していたことなどが書かれています。
 『江戸の読書会』(前田勉著、平凡社)の8~12ページには、色川大吉が明治の自由民権運動の時代は「学習熱の時代」であったことを指摘していたが、それは江戸時代、全国各地の藩校や私塾で行われていた会読という「定期的に集まって、複数の参加者があらかじめ決めておいた一冊のテキストを、討論しながら読み合う共同読書の方法」の遺産だとあります。
 そして、昨夜読んだ『世界を変えた6つの飲み物』(トム・スタンデージ著、インターシフト)には、「10世紀末の西ヨーロッパの最大の文化都市は、スペイン南部(アラブ・アンダルシア)のコルドバだった。970年ごろに完成した公共図書館には、50万冊近くもの書籍を所蔵していた。ヨーロッパのほとんどの国の蔵書よりも多い書籍数だ。しかも、この都市には図書館がほかに70もあったのである。★★10世紀のドイツの年代記編者ロスビータがコルドバのことを「世界の宝石」と証したのも不思議ではない」(103ページ)とあります。
 そういえば、すでにクレオパトラの時代にエジプトのアレキサンドリアには、(ローマ時代を通じてもっとも)立派な図書館があった記憶もあります。
 コルドバの図書館の中にあった本も、アレキサンドリアの図書館の中にあった本も、グーテンベルクの発明した(15世紀半ば)活版印刷のはるか前のことですから、書庫にあったのは「書き写し」の本でした。

 忘れるところでした。印刷技術はグーテンベルク以前に中国で発明されていたはずです。それは、活版ではなく木版でした。
 それで、中国の図書館事情はどんなものだったのか、とも思いました。

 以上、ブッククラブ関連の歴史的なことに目を向けておもしろいと思ったので、今回は実践からははずれたブッククラブおよび図書館関連情報でした。
ちなみに、書いているブッククラブの本は、いつものように実践的な内容です。
ブッククラブをすることで身につけられる(信じられないぐらい!)たくさんの力や態度についても詳しく解説しました。★★★


★ 当時、アメリカはまだイギリスから独立していなかったわけですが、その本国では、ブッククラブがすでに17世紀には行われていました。その目的は、「仲間づくり、知的成長、自己改善」でした。(Good Books Lately, p.3
★★ 今の日本のどこかのマチよりもはるかにいいサービスを千年以上前に提供していたなんて!!!
★★★ それらのほとんどは、今の日本の「無政府」ならぬ「無政治」状態を改めるのに必要な力やスキルでもあります。

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