今週のRWWW便りも、引き続き、作家クラブについてです。
ここしばらく、「作家クラブ」と「ピア・カンファランス」の違いと共通点を考えています。まだ考え始めたばかりのことですので、フィードバックで違う視点などをいただけると、とても嬉しいです。
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いいピア・カンファランスの条件は、いい作家クラブの必要条件だと思います。
「書き手の助けとなるフィードバックができるか」あるいは「そうでないフィードバックしかできないのか」、この違いは、ピア・カンファランスにおいても、作家クラブにおいても、成否の大きな要件になりそうですから、これは大きな共通点のはずです。
では違いはなんでしょうか?
1)(共通の)書くテーマ???
→ 先週のRWWW便りで紹介された表によると、作家クラブでは「グループ内で合意を形成して書くテーマを決め、テーマをどのように書くかは各自が決める」となっています。
ただ「グループのメンバーがそれぞれに違うテーマで書く」という作家クラブも現実には多いと思いますし、私自身は、それぞれに違うテーマで書くという作家クラブにも、興味をもっています。となると、「共通の書くテーマが決まっているかどうか」は、ピア・カンファランスと作家クラブの決定的な違いにはならないように思います。
2)メンバー???
→ 同じ表には、「一定期間、つくられたグループ内で合意をもとに書くテーマを決める」ともあります。ただ、ピア・カンファランスでも、メンバーをある程度固定して行う(複数回、同じメンバーでピア・カンファランスをする)ことも行われています。ですから、これも、ピア・カンファランスと作家クラブとの決定的な違いにはならないように思います。
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おそらく、実際にある作家クラブの中には、「固定メンバーでのピア・カンファランス」に近いものもあると思いますし、それはそれで素晴らしい価値があるとは思います。
しかし、ブッククラブの実践を読んだり、聞いたりしていると、個人ではつくりだせないもの、ピア・カンファランスだけではつくりだせないもの、つまり、チームでしかつくりだせないもの、が創造されているのも感じます。
それは作家クラブでも同じはずです。
ピア・カンファランスだけでは達成しにくいものとしては、以下があるのかなと、現時点では考えています。
○ 目標を共有する
→ たとえ、違うテーマで書いていても、学ぶ仲間と「次回までにここまで書く」、「次回に集まったときは***を行う」という目標がつくれるので、それに向けて頑張れる。
(「次回集まったときは***を行う」の***のところは、学年やクラブによって異なると思います。例えば低学年や詩を書いているときであれば、作家クラブで集まったその場で他の人が書いたものを読めるので、「読んで話し合う」ことを行うことになります。しかし、高学年になって長いものを書いているときには、「集まる前に原稿を渡して、仲間の原稿に対してどういう作業をしてくるのかを決めて、それを行う」、ということもあるように思います。)
○ 一緒にチームとしての(あるいは書き手としての)問題を乗り越える
→ 作家クラブで行われていることの中の一つで面白いと思うのが、「筆が進まなくなるスランプ」への対処(あるいはスラスラ書き続ける練習)です。書き手として、多くの人が、多かれ少なかれぶつかる壁も、作家クラブという場をつかって乗り越えていくこともできそうです。
また、ブッククラブ同様、チームとして問題があるときは、それも一緒に乗り越えていくというチャレンジもあります。
○ 話し合いを通して、(他の書き手から自分と違う視点を学ぶだけではなくて)、チームで新たな考えを創造する。
→ 上のことはブッククラブの醍醐味だと思います。同様に、(ピア・カンファランスのパートナーとしてではなくて)「作家クラブの一員」として話し合うなかで、考えてもなかった新たな考えも創造できるのではないでしょうか。
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前回のRWWW便りで紹介されたボパット氏の作家クラブについての本★には、「先生の作家クラブをつくる」というセクションもあります。
オンラインで、同じ学校で、違う学校の人とで、同じ学年で等々、作り方や集まり方も様々に考えられるようです。
そして、ボパット氏は、「作家クラブに参加することで、多くの先生たちは、書き手としての自分、そして書くことを教える教師としての自分への見方が変わる。書くことを他の人に共有することの大切さを(再)確認し、書くことの楽しさを再認識し、作家クラブの体験から自分の教え方の振り返りができる」と述べています。
もし、ご自分の周囲で作家クラブをつくられた方がいらっしゃれば、また、そこから得たことなどを教えていただけると嬉しいです。
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★ ボパット氏の本情報は以下で、「先生が作家クラブをつくる」ことについては、その169−171ページ、上で引用した文は171ページにあります。
Jim Vopat, Writing Circles, Heinemann, 2009.
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