「たかが板書、されどアンカー・チャート」
これ以下を読むと、なぜ「たかが板書、されど板書」ではなく、「されどアンカー・チャート」なのかがわかります。
アンカー・チャートとは、授業中に子どもたちと一緒にまとめる「学びの手がかりポスター」です。学習の「よりどころ(anchor)」となる考え方や手順、ポイントを、教師と子どもが話し合いながら視覚的にまとめていくものです。
もう少し具体的に説明すると、
・授業(ミニ・レッスン)の中で一緒に作るのが特徴。教師が一方的に書く板書や掲示物と違い、子どもたちと意見を出し合いながら模造紙にまとめていきます。
・後から見返せる。掲示しておくことで、次の学習や活動のときに思い出す手がかりになります。
・思考の見える化。考え方や手順、気づきを可視化して、学びを共有するためのツールです。
たとえば国語の授業で「説明文」の単元なら、子どもたちの発言をもとに次のように模造紙に書きます。
説明文の構成
- 最初にテーマを書く
- 次にくわしく(理由・仕組み・特徴・具体例★などを)説明する
- 最後にまとめる
ミニ・レッスンの後にこれを作家コーナーの壁に貼っておけば、子どもたちが実際に説明文を書くときの「学びのアンカー(よりどころ)」になります。これは、ミニ・レッスンのときに子どもたちと一緒につくりますが、カンファランスのときに子どもによっては、アンカー・チャートを示したり、これをつくる過程で話し合ったことを思い出させたりすればいいわけです。子どもによっては、再度説明する必要もあるかもしれません。
板書との違いは、板書がその授業時間の理解を助ける(説明・整理のため)に書かれるのに対して、アンカー・チャートは「授業を超えて次にもつながる学びのよりどころ」として残す点が大きな違いです。
アンカー・チャートの本質は、教師が板書やハンドアウトなど子どもたちに一方的に示す説明資料ではなく、子どもと一緒に作る「作品/生成物」です。完成形は、子どもとの対話の積み重ねそのものと言えます。アンカー・チャートを活用する際のポイントは、次のように整理できます。
・授業中、黒板や模造紙に子どもの意見をメモしながらまとめていく。
・より具体的には、子どもたちに「この言葉も入れた方がいい?」「どんな順番にすると分かりやすいかな?」「どうしてそう思う?」「「あ、たいてい最初にテーマがあるね!」「理由を言って、さいごにまとめるから!」などやり取りをしながら、模造紙にまとめていく。
・子どもたちの発見や気づきで形ができていく。
・完成後に、「これ、次の時間にも使えるように貼っておこう」と教師が意図的に残す。
・単元の途中で、子どもたちの気づきや考えを足していく。
・単元末に、子どもが自分たちの学びを振り返る材料として使う。
近年、日本の授業改善では「学びの見える化」「振り返り」★★などが重視されています。アンカー・チャートはその実践にぴったり合うだけでなく、「教師主導の指導やまとめ」から「子どもとつくる学びと思考の記録」への転換が図れるすぐれた媒体です。
板書との違いを整理すると、次の表のようになります。
あなたは、このなかで特に何が大切なポイントだと思いましたか?
★ 学年が上がると、次のようなものも使うようになります。
- 原因と結果(Cause and Effect)
- 順序・過程(Sequence /
Process)
- 比較と対比(Compare and
Contrast)
- 分類・タイプ分け(Classification)
- 問題と解決(Problem and
Solution)
※「意見文」のアンカー・チャートの書き方を示す動画 https://www.facebook.com/watch/?v=10155814818798708 をご覧ください。
★★市販の振り返りシートを使うのは、弊害の方が大きいので、早くやめたいものです!
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