2019年7月5日金曜日

新刊『教育のプロがすすめるイノベーション』


 この本は、学校改革、授業改革、教育改革がテーマの本でありながら、著者の父親のストーリーではじまり、母親のストーリーで終わるという珍しい本です。
 父親と母親が自分の子どもたちのために少しでもいいものを提供したいという気持ちと、教師を中心に教育関係者が目の前にいる子どもたちのために少しでもいいものを提供したいという思いはまったく違わないと著者は考えているからです。
 そして、その最初と最後のストーリーの間には、たくさんの具体的な学校/授業/教育改革のストーリーが紹介されています。
 著者は、「自分がしていないことは、教師にも、生徒たちにもやるように言うことはできない」という考えの持ち主でもあるので、自分の実践をポートフォリオにする試みとしてブログを書き始めました。そして、それが結果的に、わずか数年の間に16年間(彼の場合は、18年間?)の生徒と学生時代よりも何倍も多くをブログに書くことになり、そして、この本にもなっているのです。★
 ジャーナルではなくて、ブログやツイッターを選択したことが、世界の教育者とオンラインでつながることも可能にし、相互に刺激し合いながら、実践をよくすることはもちろんですが、文章能力もドンドン磨いていくことになりました。書けば書くほど、うまくなるのです!! その際、読み手を意識することがポイントです。相互のやり取りがポイントと言い換えられるかもしれません。それは、まさにライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップをオンラインでやっているようなものです!
 そして、それが教育書としては稀な売れ行きの本を完成させてしまったのです。
 本の内容については、http://www.shinhyoron.co.jp/2814.html を読んでください。

 実は、本書の著者が実践したアプローチをほぼ真似する形でできた本があり(あくまでも、書き方に関して)、それを現在翻訳中です。本書の中では、①従順/服従/忖度する学びから、②生徒が夢中で取り組む学びへ、さらには③生徒たちがエンパワー(人間のもつ本来の能力を最大限にまで引き出すこと)される学びへの移行の必要性が強調されています。(ちなみに、日本で行われている教育は、まだ第二段階へも移行しきれていません。文科省が「アクティブ・ラーニング」を叫ぶぐらいですから。まだ第一段階の「従順/服従/忖度」に浸りきっています!)翻訳中の本は、第三段階に焦点を絞った本です。モデルがいいので、この「続編」的な内容も極めてパワフルです! タイトルは『教育のプロがすすめるエンパワーメント』になるのではないかと思っています。その本のまえがきを、本書の著者のジョージ・クロス氏が書いています。
ここで言いたかったことは、誰もがこの種の本は書こうとさえ思えば、書けてしまう、ということです。本を書くことは、もはや特別な時代ではありません。練習媒体としてのブログ等が整備されていますから。ぜひ、あなたも挑戦してください。★★

 この本の奥付に、「授業改善と学校改善についての最新情報を、25年追いかけ続けています。最初に出したのが2000年の『エンパワーメントの鍵』でした。それ以来、いろいろな本や情報を発信してきましたが、本書ほど多くの教育関係者に読んでほしいと思った本はありません。可能ならブッククラブ(読書会)形式でぜひ読んでください。その方がはるかに広く、かつ深く読めますから 」と書いたぐらいなので、2人以上を誘ってブッククラブで読んでください!

本ブログ読者への割引情報◆ ~ 今回は、3人以上でブッククラブができる設定にしてもらいました。
1冊(書店およびネット価格)2916円のところ、
WWRW便り割引だと   1冊=2500円(送料・税込み)です。
3冊以上の注文は     1冊=2300円(送料・税込み)です。

ご希望の方は、①冊数、②名前、③住所(〒)、④電話番号を 
pro.workshop@gmail.com  にお知らせください。

※ なお、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが出ることがありますので、予めご理解ください。

★ 彼の目的は本を書くことではありませんから、今でも書き続けています。それも、極めて中身の濃い内容のものを頻繁に。https://georgecouros.ca/blog/ で見られます。書くことは考えること、考え続けることです。読んだり、見たり、聞いたり、したりする時(さらには、眠っているときでさえ!)ももちろん考えますが、書くときは次元が違います。それも、公にすることを前提にしたときは。

★★ 実際、アマゾンを探すと、キンドル版やオンディマンドで購入できる教育書を出している教育者がいることが分かります。しかし、そのアプローチは従来型の自費出版をオンラン化したにすぎない気がします。すでに上で触れた大事なポイントの、本をつくる過程のやり取り(執筆者が独りよがりになることを避けるため)と、その過程で読み手意識をどれだけもてるかが欠けているので、残念ながら売れる本にはなりにくいのです(子どもたちが教室で書くときも同じで、これら2つのポイントは、読者に受ける作品を書くのに欠かせないポイントです!)。
一方で、売れている市販の教育書にも「自費出版」のレベルのものが少なくありません。というか「多いです」。大手の教育出版社を含めて、出版社に良し悪しの判断能力が欠けているので、「売れれば内容的には気にしない」という空気が充満しています。これは、日本の学校教育が「選書能力」を身につけさせないという悲劇的な過ちを犯し続けていることと関係があります。ぜひ、自分に合った本や情報を見つけ出す能力を磨いてください。そして、子どもたちにも身につけさせてあげてください。ある意味で、これがすべてのベースですから!
そして、自分に合った本や欲しい本がないと思ったら、書くしかないということになります。今回紹介した本のように!

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