2018年1月12日金曜日

リーディング・ワークショップで学ぶ理由?

年末・年始も、まったくそんな気分にはならないかのように、ナンシー・アトウェル著の『In the Middle』★1の翻訳をブラッシアップする作業は続いていました。
彼女は、自分のクラスでリーディング・ワークショップ(RW)を体験した生徒たち(中学生)に「リーディング・ワークショップで学ぶ理由」を尋ねました。生徒たちが出した理由は以下のようなものでした。

リーディング・ワークショップで学ぶ理由

・本物の、成熟した読み手としてふるまうため
・選書の仕方を学ぶため
・大好きな本をみつけるため
・大好きな作家をみつけるため
・お気に入りのジャンルを見つけ出すため
・新しい本、作家、ジャンルに挑戦するため
・合わない本をどのように、いつやめるのかを学ぶため
・新しい言葉や知識を学ぶため
・今までとは異なるタイプの登場人物や人々に出会うため
・他の書き手たちから、どうやって上手に書くのかを学ぶため
・本、作家、ジャンルについてクラスメイトから学ぶため
・どんな人になりたいかを見つけていくヒントを得るため
・現実世界ではできない経験をしたり、感情をもったりするため
・本の世界に逃避するため
・学ぶため (出典: 原書169~170ページ)

 なかなかのリストというか、すごいリストです。★2

 このリストに、RWを教える教師として、アトウェルさんは次の一つを追加しています。

・ひたすら読む、読む、読む。頻繁にたくさん読み、読む経験やそれを通じて得られる他の人たちの経験を積み重ね、それを長期記憶に蓄え、生涯にわたる読み手としての習慣を培うため

 はたして、このリストのどれだけが国語の授業で得られていますか?★3
 獲得する必要はないのでしょうか?
 国語はまったく異なる目的のためにしているとしか、言いようがありません。
 いったい、国語をやり続けている目的とは何なのでしょうか?

 国語の時間を使って、上のリストを実現する方法として、RWがあります。
 国語とは別の時間にするものではなく。

 RWをやり始めると、生涯にわたる読み手として育つことはもちろんのこと、学習指導要領に書かれていることのほとんどをヤスヤスと押さえます。(上のリストをすべて押さえますから、「はるかに超えて」押さえます。学習指導要領に書かれているレベルでは、子どもたちに対して、失礼とさえ言えます! あまりにも、子どもたちのことを見くびっているというか、過小評価した前提で書かれているのが学習指導要領なのです!)
そうなんです、アトウェルさん自身も発見したように ~ それは、かなり痛い発見でした!その点に関しては、本の第1章で詳しく紹介されています ~ 教師主導で全員に決まったことを教える指導案をベースにした一斉指導では、教師は教えた気になれ、生徒たちは教師へのお付き合いをしているだけで、上のリストのほとんどが得られない授業を続けることを意味してしまうのです。★4

 アトウェルさんは、いまではまったく違ったビジョンの元に授業をつくり、そして実践しています。その詳しい内容までは紹介しきれないので、ぜひ翻訳本をお読みください。

 ところで、朝の読書の時間や図書の時間で得られているのは、上のリストのどれでしょうか?
 それらの時間は、どう改善したらいいでしょうか?


★1 このタイトルの日本語訳に苦戦しています! 何かいいタイトルが浮かんだ方は、ぜひ教えてください。

★2 日本人の教師や子どもたちが出した似たリストが、『増補版「読む力」はこうしてつける』の第1章に複数掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。

★3 「国語を通して得られるもの」をテーマに、ぜひ生徒たちに出してもらって、その結果をぜひ教えてください。小学校中学年以上なら、間違いなく出せます。

で紹介されている『授業の見方』の中の授業のことです。


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