2017年2月10日金曜日

中学校でのRWの実践紹介


中学校でのリーディング・ワークショップ(RW)の実践報告を、新潟の吉澤先生が送ってくれましたので紹介します。
(この報告から分かるように、すべては教師の選択です。そうなんです、教師は選択をもっています!)

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RWって本当にすごい! 本の力ってすごいなあと思いました。
この先、どうやってRWを進めていこうかとわくわくしています。

研究授業の要項を作っているとき、RWの定義として、「読書家になる体験を通して読むことを学ぶ」というのがそれほどしっくりこなかったのですが、やってみて、子どもたちが読書家になっていくのを見ていたら、このことか! と体験することで理解できました。

それから、「反応を基にした読み」がすごくよかったです。
例えば、付箋をつけながら読むよといっても実際やったら、どういうふうに書いたらいいかわからなかった。
それを振り返りに書くと、こんなふうにうまく書いていた人がいるよと次のミニ・レッスンで教える。
そうすると、あー、そうかと思って、次にはうまく書ける人が増えていく。
さらに、共有が今ひとつという状況があると、うまくやっていた班の方法を次のミニ・レッスンで紹介する。
実際、やっていた方法、付箋のページを開いてみんなに見える形で本を広げる。
そして次の付箋のページを開いて次の人に本を渡す。
それを見せてやると、共有の時間にちゃんとそれをやっている班が増えていく。
子どもの反応に対して教師が教える内容が変わっていく。
でも、それは生徒にとって今必要なことだから、ちゃんと聞こうとする。
うまくいくとほめられる、のいいサイクルができあがる。
だから、生徒も教師も楽しくなっていくんですね。

私たちのRWは絵本(4時間)から始まって、ミニ・レッスンは
○本を読むとどんないいことがあるか。
○先生の読書のオススメ・アイテム(読む場所や読書アプリなど)。
○付箋はこんなふうに書く。
○共有の時間はどうしたらいいか。
○いい話し合いとは?
などを生徒の振り返りを紹介しながらやりました。

『読書家の時間』では、導入を10時間位でやっていて、やはり軌道に乗るまではそのくらいが必要だなと思いました。
ところが、私たちは教師側の都合で詩の授業をやらなければならなかったので、生徒はもっと絵本を読みたかったのに、詩に切り替えたので、生徒の抵抗が高くなってしまいました。
読みたいものを読ませるのがRWなのにと思いながら、どうしようかと焦りました。
でも、振り返りを読んでみるとかなり読んでいる子たちは詩も新鮮でおもしろかったというのがあったんです。
そこで、絵本と詩の紹介文を書くというのをやってみたのです。
紹介文を書くときに前半には、内容を簡単に紹介するのと、後半には「質問する」と「推測する」の言い回しを入れるという形でモデルを示してやってみたところ、生徒たちが非常に上手に書いてくれました。
それを色画用紙に詩と共に貼って、展覧会みたいにしたところ、詩は絵本と違って何を言いたいのかよくわからないと言っていた子たちもいろいろな詩を見始めたんです。
その詩の展覧会の中から班ごとに読みたい詩を探して、「質問する」と「推測する」で読んでみるというのを公開授業でやりました。

まず、班ごとに読みたい詩を探すときにどんな詩に決まるのかが結構心配だったんですが、何も心配する必要がありませんでした。
かなり読みごたえのある詩を選んできたのです。

—  1班 「くり返す」 谷川俊太郎
—  2班 「あなたがあなたである限り」  にらさわあきこ
—  3班 「短い人生もある」 日野原重明
—  4班 「オランウータン」 やなせたかし
—  5班 「ロボット」 よづき
—  6班 「地雷のあしあと」
—  7班 「オランウータン」 やなせたかし
—  8班 「くり返す」 谷川俊太郎

谷川俊太郎とやなせたかしの詩を2つの班が選んできました。

公開授業のときは、生徒たちもがんばっていたのだと思いますが、前の時間に班ごとに読みの工夫を考えて、発表しただけなのに「質問する」「推測する」だけで相当読めていました。
よく考えた付箋がたくさん貼られました。
こんなに子どもたちの力だけで読めるのだから、教師が余計な説明なんてする必要がないなと思いました。

この時間の生徒の振り返りを紹介します。

○今日は、「くり返す」について、意見を出し合った。他の班の意見は良いものから不思議なものまでいろいろあり、おもしろかった。私もがんばって意見を出したけど、もっとすごい意見を出している人がたくさんいて、すごいと思った。
○今日の授業では、また前回の授業と同じくらい、いや、それ以上のいろいろな人の考えを知ることができた。ただ詩を読むだけで、私が感じた感想や想像でいつもは終わってしまうのに、今日は自分の想像のあとにいろいろな人の想像が見れてそういう考えもあるのか!と思ったりした。とくに7班の人の考え方は私の考え方とはまるでちがっていて、質問や推測を見るのが楽しかった。
○今日はおもしろかった。詩でこんなにも質問や推測が思い浮かぶなんてびっくりした。
○今回の授業では、詩の質問と推測を考えたことにより、詩のおもしろさが伝わりました。他にもこの質問と推測を考えているうちに自分も夢中になったので、またしたいです。


以上は、11月21日に、吉澤さんが書いてくれていた報告でした。
公開の授業研究でやらなければいけないという矛盾を克服しながらの実践でした。
さらに、追伸を10日ほど前にもらいました。

実は、先週からまたRWをスタートしました。
教科書でやらなければならないのは、あと小説を一つくらいになったので、週1でやることにしました。
久しぶりにやるので、生徒3人の本の紹介からやりました。
振り返りにそれぞれの紹介のいいところやどんな話し方が伝わりやすいかを書いた子どもが多かったので、2時間目のミニ・レッスンは、どんな話し方が伝わりやすいかを生徒の振り返りから出てきた、声の大きさ・間の取り方を話題にしました。
振り返りを基に次のミニ・レッスンが決まってくる感じが、体験に理論をつけていく形で、いいなあと思っています。

また楽しくなりそうです。

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