2016年12月2日金曜日

教室内の図書コーナーの大切さ


 大分、古い話になりますが・・・50年以上前の小学校にも、学校図書館は存在し、図書の時間もありました。
 そして、小・中学校時代を通じて、私も「図書館に行って本を読むことは大切なこと」というのは分かっていました。しかし、それを実行しようと教室を出て廊下を歩きはじめると、運動場からにぎやかな声が聞こえてきて、私の身体は自然にそちらの方に引き寄せられ、図書館にたどり着いたためしが一度もありませんでした。

それが、教室の中に充実した図書コーナーがあったら、どうなるでしょうか?★
教師が読ませたい本だけでなく、生徒たちが読みたくなる多様なジャンルやテーマの本が一杯の。★★
教室を出る必要がないのです(そして、数歩でそれらの本を手にできるのです)から、私のような人間でさえ(少なく見積もっても、図書館にたどり着けない子どもたちは、半分はいます!)、学校時代に読む習慣がついたと思いますし、選書能力の練習もできたと思います。そして、友だちとの本の紹介のしあいっこもできたでしょう。

 前号で紹介した『読み方指導の本質』の第5章は「教室内の図書コーナー」に特化した章ですが、その中で、「単なるクラスの図書コーナーではダメで、とても充実したのが必要」としています。
 前章(http://wwletter.blogspot.jp/2016/11/blog-post_25.html)の中で、著者が特に重視している5つの方法の一つに含まれていますし、

 もちろん、充実した教室内の図書コーナーがリーディング・ワークショップ=RW=読書家の時間を実践するネックになってしまってはまずいですし、多様なジャンルの本をすでに抱えている学校図書館の存在は否定しませんが、少なくとも欧米で実践している先生たちは、教室内の図書コーナーを必需品と位置づけています。それなしの読みの指導はあり得ない、と。~ しかし、日本はこの「教室内の図書コーナー」なしで読む教育をやろうというのですから、最初から「読むことが好きで、読む力をもった子どもたちを育てる」という目標を設定しているとは思えません。それではいったい何を目標に設定して国語の時間は行われているのでしょうか?

 図書コーナーへの本の揃え方については、『読書家の時間』(プロジェクト・ワークショップ編著)の第2章「読書環境をつくろう」で詳しく説明されていますので参考にしてください。★★★


★ 私の小・中学校時代は、いまと同じ教室の中に50人弱の生徒たちがひしめいていましたから、たとえ図書コーナーという発想はあったとして、そのスペースをつくるのは困難でした。熱心な先生は設けていたかもしれませんが、スペースがないので、せいぜい数十冊というところではなかったでしょうか?
★★ よりたくさんのジャンルやテーマの本がある図書館と、教室内の図書コーナーの違いは、教師の目を通過しているか否かです。この違いは、大分前のマスターカードの宣伝にあった”priceless”です。教師が、その本について何かを語れるものがあるかないかの。(要するには、本という物よりも人から人へ手渡される部分の方が比重は大きいと言うことだと思います。それを司書が肩代われるか? あなたはどう思いますか? この辺になると、読書家の時間の核にあるカンファランスの話になってきます。)いずれにしても、最低でも数百冊は必要になります。
★★★ 教師ががんばって教えることよりも、子どもたちが主体的に読み続けられる環境を提供することの方が、「読むことが好きで、読む力をもった子どもたちを育てる」にははるかに効果的なのを長年の経験から導き出していると言えます。

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