2015年8月14日金曜日

手紙という効果的な学びの媒体



いま、手紙を教え方・学び方の効果的な媒体と捉える本(The Best-Kept Teaching Secret, by Harvey “Smokey” Daniels & Elaine Daniels)をメールでのブッククラブで読もうというので、読み始めています。

昔から、子どもたちは授業中に(先生が黒板に書いている間)、手紙を書いて、回していました。いまは、携帯やスマホでやりとりしています。

それほど、魅力があるというか、止められることではないのなら、それをカリキュラムを押さえるのに活用してしまおう、というわけです。

日本の生活綴り方や「先生、あのね」の実践は、まさにそれを実現していたと言えるかもしれません。(生活作文や詩づくり以外に、すべての教科で効果的に使えてしまいます!!)

しかも、教師と生徒の個別のやり取り以上に、生徒相互のやり取りの方がはるかに価値があります。その方が、教師を起点にしたやり取りよりも、量的に何十倍にもなりますし、質的にも子どもたちが学ぶものは教師とのやり取りよりも刺激的なものが多くあります。

子どもたちと、口頭でのやり取りと文章(手紙)でのやりとりの特徴をベン図で出してみるといいでしょう。(ベン図とは、下の図のようなものです。左側の円がフィクション、右側の円がノンフィクションに固有の特徴を表わしており、重なっているところがどちらにも共通する特徴をあらわしています。)

この図から、手紙のやりとりの価値は鮮明になりますが、本の18~19ページには、手紙がいかに教え方のツールとして効果的かを紹介してくれています。

・楽しい ~ 自分が表現できる! 書き手が考えている以上に、その人を表わしてしまう。
・対象が鮮明
・目的が明快
・非公開 ~ 秘密の要素
・文字以外を使ってアピールすることができる
・それなりのフォーマット/習慣はある
・振り返り ~ よく考え(分析し、解釈し、意味をつくり出し)、それを記録に残す

以上は、半分です。(リストが長いので、残り半分 ~よりインパクトのある効果~ はまたの機会に!)

ここまでは書くこと中心の紹介になっていましたが、手紙は当然のことながら双方向のやり取りですから、読む力もつけてくれます。(さらには、「聞く」と「話す」の下地づくりにもなる、とても効果的な媒体です!)

この本の中では、効果的とは言えない教師が一方的に話す時間や、少数のいつも発言する数人に独占されるクラス全体の話し合いの時間は極力減らして、クラスの子どもたち全員が参加できる(考えて、発言できる)クラス内での手紙交換会のような方法を増やすことを提案しています。★

本は、これからクラス内にできる交信者たちのコミュニティづくり(第2章)、メモの交換(第3章)、交換ジャーナル(第4章=『考える力はこうしてつける』でも扱っていました!)、グループで書いたものを回す(第5章)、第2~5章をメールやブログなどのネット媒体で行う(第6章)を、たくさんの写真と実践例を踏まえながら詳しく紹介してくれています。著者たちは、これは教師用の専門書ではなく「絵本」と言った方が正しいんじゃない、と書いています。★★


★ 教師の役割が、「話す人」や「話し合いをコントロールする人」「全体しか見ない人」から、「見守る人」「必要に応じてサポートする人」「個別の生徒のニーズや興味関心やこだわりが見える人」に転換することがお分かりいただけると思います。どちらの方が、生徒たちの学びは質と量の両面で得られると思いますか? どちらの方が、教師は本来の意味で教えるという真の役割を果たしていると思いますか?

★★ 著者たちと出版社は、教師用の専門書の概念自体を転換させたいような気がします。日本の教育出版社には、ぜひチェックしてほしいです!(それにしても、日本の教育書で読めるものが少なすぎるのはなぜでしょうか? 実践と比例関係にあるということだとは思いますが・・・ あまりにも教科書に引っ張られすぎている? 研究者が書くものは、あまりにも抽象的すぎる?)

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