2014年11月15日土曜日

テストというジャンル(の中の詩)


 テストを避けて通れないとすれば、どうするのか?

「テスト作成者は、僕が、彼らが作った質問を理解できているのかどうかを見たいんだね。僕が(テスト問題として出されている)詩を理解しているかどうかでなくて」

 上の文は、今読んでいる本のなかで、でてきた小学校4年生の男の子のセリフです。

面白い分析だと思いませんか?

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 ジャンルの特徴を知り、その特徴を踏まえて読む、つまり読み方を変える。これは優れた読者が行っていることの一つだと思います。また読む目的によって、読み方を変える、これも、同じく優れた読者が行っていることの一つだと思います。★★

 テストも、避けて通れないのであれば、「その特徴と目的を踏まえて、読み方を変える、つまり、テストを一つの(特異な?)ジャンルとしてアプローチする」、そんなことを耳にしたことがあり、「なるほどね」と思いました。

 冒頭で紹介したセリフは、RW(読書家の時間)で、詩というユニットを経験した子どもたちが、「共通テストで出題される詩」について、その特徴を押さえようする過程で出てきたものです。

 具体的にこういう方法もあるのだ、と思ったので、以下、紹介します。

 先生は、子どもたちに共通テストの問題(今回は詩についての問題)を配布して、その特徴を考えられるようにしています。

 (これを読んでいると、子どもたちは、すでにRWでどっぷり詩に浸ったあとなので、テストに登場する詩の設問との落差も大きくて、その特徴を見つけやすいように、感じました。)

 先生は、「世界の中にある詩」と「テストの中の詩」と書いたベン図を準備しておきます。

 子どもたちは、まず付箋をもって、テストに登場する詩とその問題を見て、気付いたことを書き込んでいきます。

 先生は子どもたちにカンファランスをしながら、付箋に書かれたことを確認したり、それを深めるような問いかけをしたりします。

 最終的には子どもたちから出たことを、ベン図に書き込みながら、「世界の中にある詩」と「テストの中の詩」の、違う点と共通点を、クラスで深めていきます。

 子どもたちは、テストで詩が出る場合、普段の詩の読み方と、自分のアプローチを変えないといけないことにも気付いていますし、「え? これが小学校4年生の分析?」と思うぐらい、鋭い分析がでています。

 もちろん、この方法は、詩以外のジャンルでも有効だと思います。

   上で紹介した子どもの言葉は、以下の本の32ページにでてきます。このときの授業の様子は3033ページです。
Put Thinking to the Test (Lori L. Conrad, Missy Matthews, Cheryl Zimmerman, Patrick A. Allen著、Stenhouse, 2008).

★★ この点については、Conferring: The Keystone of Reader’s Workshop (Patrick A. Allen, Stenhouse, 2009)66ページに、とても明確な図があります。

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