その1
前回、この本は、小学2年生のジャミカという女の子が、カンファランス中に著者に発した質問「理解する/わかるってどういうことよ?」に答えるための本でした、と書きました。
第1章で、その時の様子が克明に描かれており、本の最後の数ページで、7年後に(当然、小学2年生だったジャミカは高校生になっているのですが)その質問に対するとてもわかりやすい回答が書かれています。これなら、小学2年生でも十分にわかる内容で。(本の最初と最後の長~~い間は、著者が自分なりの答えを導き出すための<もがき>が克明に紹介されています。極めてわかりやすく、説得力があり、学びも多い形で。)
しかも、著者は自分がそれなりに納得のいく答えを提供できただけで満足していません。「本書の読者に私が望むのは、自分の教えている子どもたちに寄り添いながら、ジャミカの質問に対する自分の答えを考えていただきたいということです」と記して、著者自分が書いたことを鵜呑みにせず、自分なりの答えを導き出してください、とお願いしています。
さらに、「ジャミカ(とジャミカと同じような質問をしたくても、まだしていない多くの子どもたちに対して)、あなたが理解するのを手助けするために、私たちは問いかけるだけでなく、しっかり聞くことを約束します」を本の最後の文章にしています。著者の覚悟が伝わってきます。というか、何が一番大切なのかが。
おまけ
著者は、「まえがき」で「ハウツー」本は書きたくなかったと明言しています。
そうではなく、「子どもたちが学ぶということはどういうことなのかということについて、(私が指し示すのではなく)読者が自ら考える豊かな機会となるような本を書きたかったのです。私自身が教えるというよりもむしろ学ぶ本、そのなかに大きな問いを提示することができるような本を書きたかったのです(確かに、そのような大きな問いが満載の本です! 質問だけで索引が必要なぐらいに)。その過程で、知的な意味で自分自身に挑戦するような本を書きたかったのです(当然、読者にも挑戦する本になっています)。考えを実地に試して、興奮を覚え、役立つであろうような本です(ハウツー本でなしに、これをするというのは、そう容易なことではないと思いますが、この本はそれを達成しています。)学ぶために書く本です(だから、ジャミカの問いからキーボードをおくまでに7年間を要したのだと思います。これほど読み応えのある本、刺激を受ける本、学びの多い本はそうないと思います!)。」(viiiページ)と宣言しています。
その2
ジャミカの質問に答えるために、そしてそれを可能にする教え方を実現するために、著者は4つの質問を設定しました。それは、
1 理解するとはどういうことか?
2 高いレベルの期待と高いレベルの理解をどのように捉え、そして教えていくか?
3 読み・書きを学ぶときもっとも大切なことは何か?
4 子どもたちや同僚たちの知的で好奇心あふれたモデルになるために、私たちは日々の生活をどんな形で送ることができるのか?
で、これが第3章から第9章のすべてで、異なる角度から答えられる構成になっています。従って、各章の1だけ、2だけ、3だけ、そして4だけを読める構成になっている、一風ふうがわりな本でもあります。もちろん、普通の本のように、最初から最後まで通して読んでもおかしくありません。
それら第3~9章で扱われているテーマは、以下の通りです。それらは、著者が現時点で発見した7つの理解の種類=私たちが生活のなかで経験すること、です。
以上の2つだけをとっても、作家の技(特に、構成という点で)のとてもいい見本になります。
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