2012年9月21日金曜日

アンケートの回答


国立の中高一貫校で国語を教えているSさんからのアンケートの回答(青字)を紹介します。

1)読み・書き、聞く・話すのご自分の実践で自慢できることを、ぜひ教えてください。
 6
月に子どもの臓器移植がありましたので、これを題材にして、中2の生徒と新聞記事を読んだり映像を観たりしながら、考えたことを話したり書いたりする、という授業を行いました。 → 死とは何かの話に直結しますから、いろいろな考え方がでてきたでしょうね。

2)WW&RW絡みで解決したい課題がありましたら、お知らせください。
 「わかったつもり」や、「できているつもり」、の人達に対し、問題点を指摘しつつ「その気」にさせるにはどうしたらよいか、を考えています。地道に一人ずつ対応していくのが一番なのかな、とも思いつつ。 →  量が多いので、下をお読みください。

3)前回まで「WW&RW便り」でおもしろかった/参考になったものがありましたら、教えてください。
 本物に浸る(その2)のインタビュー記事を授業に使うというプランは面白かったです。「日本版」があったらいいのにと思います。「聞き書き」のレッスンをどこかでしたいな、という気持ちもありますがなかなかよい素材を見つけられていません。 → アメリカの中・高レベルの最高峰の「聞き書き」の実践として、アパラチア山脈の中で40年以上展開しているTheFoxfireがあります。地域の老人たちの聞き書きを集めたものです。調べてみたら、なんと、日本ですでに応用版がありました!! その名も、「聞き書き甲子園」。好きですね、このアプローチ。求められているのは、年間を通した積み重ねなのですが・・・。要するには、地元の老人たちで十分だと思います。また、テーマによっては老人たちに限定する必要もないわけで。

4)他の学校の先生と一緒にやってみたい読み書きについてのプロジェクトがあったら教えてください。
 さきほど書いた「子どもの臓器移植」など、ある一つのトピックをもとに意見を交換しあう(ディベートではなく)とか「読み」を交換しあうとかいうような、プロジェクトができたら面白いと思います。異学年でも同学年でもどちらでやってみてもおもしろいのでは。。。 → 自分たちだけでなく、親や地域まで巻き込めたら面白いかも。The Foxfireは大切なものを記録に残して、発信するという活動なのですが、こちらは情報を作り出して発信するというか、考えるきっかけを自分たちの周りにも提供する活動として。

5)本について教えてください。
 最近読んで面白かった児童文学の本
 『ギヴァー』も『てん』もですが、面白かったというより突き刺さってきた感じです。反省なしには読めませんでした。 → それは、失礼しました。両方とも私にとっては「これ以上元気にしてくれる本はない」ということで紹介していますが、受け取り方というか解釈は様々ですね。
最近読んで面白かった読み書きに関する本
 貧弱な読書量で恐縮ですが『読む力はこうしてつける』は、非常に興味深く、自分の授業に導入するつもりで読んでいます。
 教室の中でつかってみて、とてもうまくいった本
 藤嶋昭著『時代を変えた科学者の名言』(東京書籍)から、科学者の名言をいくつか紹介して解釈させたところ、なかなか面白いものを書いてくる生徒がいました。 → 早速、借りてきて読みました。大人が読んでも面白いと思いました。書いたものを紹介し合うことは、したのですか? 結構、読む人の知識や体験で解釈は多様になり得るな~、と思いました。
今、クラスで人気のある作家たち
 ごめんなさい、現在はわかりません。担任している高3の生徒達は、ようやく受験参考書を開いたところです。7月中旬までは卒業研究があり、各々のテーマに関連する本を読んでいました。勤務校ではもともと自分の好みにしたがって読みたい本を読んでいる生徒が比較的多いように思います。図書館や国語からの宣伝不足もあるように思いますが。


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2)WW&RW絡みで解決したい課題がありましたら、お知らせください。

「わかったつもり」や、「できているつもり」、の人達に対し、問題点を指摘しつつ「その気」にさせるにはどうしたらよいか。

3人の「WW&RW便り」執筆者による3通りの回答です。

→ ① graphy
難問です。同じような問題をもっている子が多ければ、もちろんミニ・レッスンで扱えるとは思うのですが、そうでなければ、同じ問題をもっている学習者を集めてのグループ・カンファランスか、地道にひとり一人対応していく個人カンファランスになるようには思います。
 しかし、1クラスの人数の多い場合、これは本当に困難です。私も人数の多いクラスではできていません。
 そうなると、「気になっている子の問題点に焦点を当てつつ、クラスの多くの子が必要としているようなトピックもいれたミニ・レッスンを考える」、という選択肢も考えないといけないのかもしれません。
 あとは共有の時間でしょうか。先生から見て、この問題点を解決するようないい例をいくつか紹介するとか???
 ただ、大人でも、それぞれに分かったつもりになっていて、実はそうではないことが多いので、ミニ・レッスンや共有の時間を使った全体へのアプローチの場合、やはり効果は低いのかもしれませんし、いかにその個別例をうまくおさえられるか、がポイントになるようには思います。
 なお  参考になるかどうか分かりませんが、少し前に、小学校の低学年のカンファランスの例を聞いて、なるほど、と思ったことがあります。
 そのカンファランス例からは、「できているつもり」の人は、決して、悪気も何もなく、その方法しか知らないことが、よくわかりました。
 それに対して、先生が問題点を指摘するようなこともありませんでした。
 とはいえ、その問題点にそれとなく気付かせるような投げかけをしつつ、「もっといい方法を教えるというカンファランス」で、本当に見事だと思いました。

→ ② てる
読むことに関しては、レター・エッセイ(読んだ本について手紙に書く)などの自分の読みについて書く課題を与えると、読めていないと書けないので、読めているつもりになれないのかもと思いました。
書く課題を与える際に、自分の考えに理由を書くこと(テキストを書き抜いたり、コピーしたものを貼るなど自分の考えの根拠を提示させる)など課題の指針を明確に与えておくと、よりわかったりつもりとか、できるているつもりとか、読んだふりとか予防できるのではないかと思いました。ナンシー・アトウェルもレター・エッセイの課題では、自分の考えには理由を書くことだと指針を生徒に与えています。
「テキスト+自分の考え」が読むことであると読むことの定義を明確にするなどもいいと思います。その上でレター・エッセイの課題をやれば、テキストがない自分の考えだけでは読めたことになりませんし、逆にテキストから自分の考えや意味が出てこなければそれも読めたことにならないと自分で自分を評価できるのでないでしょうか。
レター・エッセイは先生に書く場合と、クラスメイトに書く場合があり、読んでいる相手がいるので、その気になりやすいかもしれないです。

書くことで思い出したのは、一枚文集という実践です。子どものよく出来ている作品一つをとりあげて印刷して読み合う実践です。
ミニ・レッスンなどで扱った内容でよくできているもの選んで、読み合います。いいと思ったところに線をひかせたりします。ひかせないこともあると思います。どこかよかったかなど問いかけて作文を共有します。
引用からはじまる書き出しがよかったとか、五感を効果的に使って書けているとか、いろいろ な意見が出てくると思います。
モデルに勝る教育はなさそうですし、とても効果的ではないかと思っています。意欲の面でもクラスの子の作品を使うのは効果があると思っています。
生活綴り方などの流れの先生がよくされている実践です。

→ ③ shinlearn
単純に、その子たちに聞いてみる/問いかけてみるというアプローチはいかがでしょうか?
人数によりますが、口頭で聞いてもいいし、アンケート的な形で書いてもらってもいいし。そこからやり取りがスタートです。
さらに単純で効果的なのは、ペアないし三人で話し合ってもらう方法かもしれません。




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