2012年8月10日金曜日

一人で読んでいない


 前回のRWWW便りジェーン・オースティンの読書会』」に登場したアーシュラ・ル・グィンの『闇の左手』(The Left Hand of Darknessは、以前、私の授業をとっていた一人が強く薦めてくれた本です。今まで読んだことのないタイプの本で、強く薦めてもらわないと、おそらく手にとることはなかったと思います。薦めてもらったおかげで、苦労しつつも読めましたが、読んでよかったです。また、映画「ジェーン・オースティンの読書会」は、検索してみると、同じ題の本が図書館にあるようなので、予約しました。

 72日のRWWW便りの「レイ・ブラッドベリ2」では、「一晩に一篇のエッセイを読むことを千夜続ける。また、一晩一篇の詩を千夜。一晩一篇のストーリーを千夜。そうすれば千夜で三千のメタフォーが頭の中にある」(『ブラッドベリ自作を語る』285ページ)という文に影響されて、毎日、必ず英語の詩(←私は英語を教えているので、英語だと授業にも何かと役立つので、続きやすいです)を最低一つよもうと思いました。そして机の隅に詩の本を置いていて、出勤したら1篇読み、仕事が疲れてきたら、また一篇読んで小休憩することもあります。またこのことが紹介されていた『ブラッドベリ自作を語る』も読んでみたくなり、この英語版を注文しました。

 上のことから分かるように、「本は実は一人で読んでいない」のです。そのことを、はっきり意識させてくれたのは、『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著、新評論、2010年)の73ページの以下の文(紫字の部分)です。

今日はどんな本を読みましたか?」と尋ねてみてください。そして、「その本は、他の人となんらかのかかわりがありますか? 例えば、誰かがすすめてくれた本ですか? 誰かと の話の中で出てきた本ですか?」と続けてください。そうすると、私たちが「一人で読む」と考えていることは、実は「一人で読んでいない」ことに気付くはずです。

 もちろん、書評や、ある本の中で登場して、その本を読んでみたくなることもよくあります。私は長めの書評を読んで、次はどの本を読もうかと考えるのは大好きです。この場合は、書評などを書いた人が関わっていることになります。
 
 しかし、振り返ってみると、自分があまり読まないジャンルやタイプの本は、知っている人に直接、薦められて初めて手にとることが多いです。馴染みのないジャンルやタイプの本は、書評自体にもあまり目がいかないからかもしれませんし、直接、薦められると、そのときに、いろいろ質問したり、対話したりできることも大きいのかもしれません。また、後日会える人だと、「分からなくなったら尋ねられる」と思うのも大きいように思います。

 新学期、子どもたちの読むジャンルが広がるように、「先生がこの夏に読んで、ぜひそれについて紹介したい本」や「それぞれがこの夏に読んだ本」を、お互いにたくさん紹介したいものです。

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蛇足(1)

2012年の23日のRWWW便り「子どもが自分でできるようになっていなければ?」で、私が過去のブログなどにリンクがはれないことを書いています。

 この時のブログに書いたように、「先生がはっきりやってみせる」→ 「先生のサポートの中で自分が練習」 → 「自分一人で行う」のステップどおりに、ついに教えてもらう機会がありました!

 ということで、今日のRWWW便りは、「自分一人で行う」ができるように、リンクをたくさんはってみました。

 また、そのときにラベルの付け方も教えてもらったので、今日のブログには「本を紹介することの価値」という、前回と同じラベルを付けました。

蛇足(2)
 本の紹介というラベルをつけたので、私が昨夜、読んだヤングアダルト向けの本を紹介したいと思います。Avi著のThe True Confessions of Charlotte Doyleです。以前、同じ著者のNothing but the Truth: A Documentary Novel を読んだときに、今までにあまり読んだことのないタイプの本で、強く印象に残っていたからです。どちらも邦訳が出ていて、どちらも、アメリカの児童文学賞である、ニューベリー章のオナーを受賞しています。『星条旗よ永遠なれ』は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は一読の価値があると思いました。「似たようなことはありうる」と思えるのですが、誰か被害者なのか等、考えるポイントもいくつかあります。私としては、『星条旗よ永遠なれ』が☆5つ、『シャーロット・ドイルの告白』は☆4つという感じですが、この2冊を読んで、この作家、もう少し読んでみたくなっています。どちらの本も、後半に入ってしまうと、途中で読むのをやめるのが難しかったです

        アヴィ『星条旗よ永遠なれ』くもん出版 ★★★★★
        アヴィ『シャーロット・ドイルの告白』偕成社 ★★★★☆

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