6歳の息子が、ついに本格的に本を読み始めました。あふれんばかりの本棚から次々と本を手に取り、これまで何度も聞いてきた物語を自分で読んでいる姿を見るのは、本当に胸が躍ります。今では、休み時間に友だちを誘って一緒に本を読むために、本を学校へ持って行きたいと言っています。彼いわく、その名前は「読書クラブ」だそうです。
「私も昔、ブッククラブに入っていたことがあるよ」と私(エリーナ・アギラー)は言いました。ブッククラブとは、友だち同士で同じ小説を読んで、夕食を食べながら感想を語り合う会だと説明すると、息子はすっかり気に入り、誰を誘うか、いつ集まるか、何を読むか、そして何を食べるかまで、すぐにアイディアを出し始めました。
けれど、私がすっかり「ノスタルジーの穴」に落ちてしまったのは、教師としてブッククラブを運営していた頃の経験でした。7年生の子どもたちが小さなグループで集まり、読書会をしている教室を歩き回っていたあの感覚を思い出すと、今でも胸が高鳴り、目がうるむような気持ちになります。
登場人物の行動をめぐって白熱した議論を交わしていたこと。
ページの間から飛び出すほど貼られた、メモでいっぱいの付箋。
「もう時間だよ」と声をかけると、「あと数分だけ!」と懇願してきた子どもたち。
ブッククラブの時間、私の教室は学びと情熱と喜びで震えていました。
なぜブッククラブなのか?
これから、ブッククラブの「どうやって」「いつ」「どこで」「何を読むか」といった実践的な情報を紹介していきます。でもその前に、幼稚園から高校までのすべての教室で、何らかの形でブッククラブを取り入れるべき理由をお話しさせてください。
理由その1:ブッククラブは協同的な学びの場になる
ブッククラブは、生徒同士が読んでいる本や文章を理解し合い、意味づけを助け合う場になります。子どもたちは互いを「学びの資源」として活用する方法を身につけ、より自立した学習者へと育っていきます。もちろん、協同的な学びの場として機能させるためには、教師が意図的にそのように育てていく必要があります。適切な助言やモデルの提示、サポートなしに、自然と協働が生まれるわけではありません。
理由その2:ブッククラブは、子どもたちに学びの選択肢を与える
ブッククラブでは、複数の本の中から自分が読みたいものを選ぶ機会が与えられます。また、どのグループで誰と一緒に読むかについても、子どもたち自身が意見をもつことができます。学校では、子どもたちが自分で選ぶ機会が圧倒的に不足しています。選択の機会は、より夢中になれ、自分から読みたくなり、そして「選ぶ力」★を育てる貴重なチャンスにつながります。
理由その3:ブッククラブは楽しい。なぜなら“人とつながる体験”だから。
ブッククラブは、子どもたちにとって楽しい活動です。その理由のひとつは、とても社会的な体験であること。学校生活の多くの時間とは対照的に、ブッククラブではたくさん話し、意見を交わし、時には議論したりもします。自分の経験や気持ちを教室にもち込み、仲間と共有することが歓迎されるのです。読書は、少なくとも“ときどきは”楽しくなければいけません。もし読書の体験を楽しいものにできなければ、子どもたちは私たちの手を離れたあと、その習慣を続けようとはしないでしょう。
さらに、私たちが喜びや楽しさを感じると、その場所やそこにいる人たちとのつながりが強まります。私が中学生を教えていたとき、彼らが学校に“つながり”を感じ、仲間と前向きな学びの関係を築くことは欠かせないことでした。多くの都市部の教育委員会と同じように、カリフォルニア州オークランドでは中退率が非常に高いのですが、研究によれば、子どもたちが学校を離れる主な理由は、その場所やそこにいる人たちとつながりを感じられないことだといいます。
だからこそ私は、ブッククラブのような仕組みが、子どもたちを学校につなぎとめる「居場所」になり得ると考えています。子どもたちが教室にいなければ、学習基準を身につけることも、テストで力を発揮することもできません。ブッククラブは、その「教室にとどまる理由」をつくる手助けになるのです。
理由その4:ブッククラブは、読書が苦手な子にも大きな力を発揮する。
ブッククラブは楽しくて、子どもたちが自分で選べて、しかも協同的に学べる仕組みです。だからこそ、読書が苦手だったり、読むことに抵抗があったりする子どもたちにとって、とても力になる体験になります。ブッククラブは、もともとグループごとに違う本を読み、レベルもテーマもさまざまです。読書が苦手な子は、自分に合ったレベルの本を選ぶことができますし、教師はそのグループに直接サポートをしたり、読み慣れた子を加えたりして支えることもできます。
ここから少し細かい話になりますが、大事なポイントがひとつあります。子どもたちには、さまざまなジャンルの本を選べるようにすることが必要です。「ブッククラブ」といっても、フィクション(物語)だけを読むという意味ではありません。私のクラスでは、読書が苦手な子(特に男の子たち)は、むしろノンフィクションを好むことが多くありました。(このテーマについて深く掘り下げた本として、Reading Don't Fix No Chevys: Literacy in the Lives of Young Men ★★があります。)
ブッククラブの「誰が・何を・いつ・どこで」を明らかにするための情報源
もちろん、ブッククラブを「楽しく、協同的に学べる場」にするためには、教師がやるべきことがたくさんあります。ありがたいことに、質の高いブッククラブを運営するための情報源はたくさんあります。
まずは、次のようなものを参考にしてみてください。
- 何年か前に(何と、2006年!です)、私自身がブッククラブについてのウェブサイトを作りました。網羅的なガイドではありませんが、始めるためのアイディアはいくつか載せています。
- おすすめの本は、Harvey Daniels の古典的名著
Literature Circles です★★★。
読者のみなさんへ:
みなさんのクラスでのブッククラブの経験をぜひ聞かせてください。
なぜ、どのようにしてブッククラブを始めたのか。
どんなことが起きたのか。
どんな課題があったのか。
このテーマについては、まだまだ語りたいことがたくさんあります(もしかしたら、また別のブログ記事で書くかもしれません)。
その間に、私は息子の初めてのブッククラブのために「緑色のスープ」を作りに行ってきます。彼らが最初に読むのは、あのドクター・スースの名作『みどりのたまごとハム』(松岡享子訳、偕成社、1979年)。息子は「動物を食べることの倫理」について議論するつもりらしいのです。廊下に隠れてこっそり聞くのが今から楽しみです。
★これは、「何は大切で、何は大切でないかを見極め、その判断のもとに行動する力」としてのクリティカル・シンキングの核心部分につながる。「批判的」や「複眼的」な部分は主要な部分ではないと理解していた方がいいでしょう。
★★この本、とてもいい本です! 邦訳がないのが残念!! 紹介者自身が、小学校~大学院とまったくと言っていいほど本を読まなかったので、このような本の必要性を痛感します。男子生徒の多くは、読むこととは関係のない世界の住人とさえ言える部分があります。そして、国語の教科書や国語の授業で生涯にわたって読める人はつくり出せません(そのことは、最初から目的に設定されていませんし!)。
★★★残念ながら邦訳がないので、『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』が読めます。パート2では、多様なブッククラブの事例が具体的に紹介されており、パート3では、ブッククラブの5W1Hに答えています。(また、なぜ「ブッククラブ」の名称にこだわったのかも。基本的に、教師と生徒が一番ピンとくる名前を使ってください。)
なお、この投稿は、ブッククラブではなく「リテラチャー・サークル」で書かれていますが、紹介者の判断で「ブッククラブ」に変更しています。理由は、構成メンバーに役割をもって読ませるのがリテラチャー・サークルの最大の特徴ですが、それは「理解のための方法」を学んでいる最中の小学生レベル(それも、低学年)なら許されるかもしれませんが、中学年以上で役割に固執して読ませるのはかわいそう、としか言いようがないからです。ちなみに、『読者がさらに楽しくなるブッククラブ』では小学1年生ですらブッククラブでやれてしまうことが紹介されています。
なお、この記事(https://www.edutopia.org/blog/literature-circles-how-to-and-reasons-why-elena-aguilar)の執筆者は『教師のためのアート・オブ・コーチング』の著者のエリーナ・アギラーさんです。この記事からも分かるように、彼女はコーチになる前の約15年間は国語の教師をしていました。実のところ、アメリカ等でコーチ職についている人のほとんどは国語出身です。その理由は、授業でライティングやリーディング・ワークショップで生徒をサポートしていることと、教師や管理職にコーチングを通してサポートすることはほぼ同じと言えるからです。日本にはまだ「コーチ」という職種はありませんが、数(十?)年後には当たり前になります! その時に職種変更を可能にするためにも、いまからライティングやリーディング・ワークショップに取り組み始めた方がいいかもしれません。もちろん、職種変更を考えなくても、子どもたちのためにはもちろん、自分のためにも従来の国語の授業をやり続けるよりも、ライティングやリーディング・ワークショップをしたほうが何倍も得るものがあります(そう言いきれる理由には、どんなものが含まれるか想像できますか?)。
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