2025年5月23日金曜日

書かない子・書けない子への対応の仕方(再考)

 作家の時間(ライティング・ワークショップ)に取り組み始める年度当初には、すぐに長文をスラスラ書き始める子たちがいる一方で、なかなか鉛筆が(キーボードも?)動かない子たちもいます。

 これまでにも何度か、「書かない子」https://wwletter.blogspot.com/search?q=%E6%9B%B8%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90 や「書けない子」https://wwletter.blogspot.com/search?q=%E6%9B%B8%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90 への対応法については書いてきました。

 思うに、ベースの部分には、

の問題が横たわっている気がします。この図の出典は、『教育のプロがすすめるイノベーション』(ジョージ・クーロス著)です。

 教師は、「夢中に」があるかないかは別にして、とにかく生徒に「取り組」んでもらいたいと思っています。それは図の上の部分の、教師サイドがよかれと思って考えている学習内容やカリキュラムや、教師の興味関心(ないし、教師が役立つと思う生徒の興味関心)の枠のなかで。

 別な言葉でいうと、生徒が本当に書きたいと思うか否かは別にして、他のみんなは書いているのだから、なんとか遅れないように、書かせたいという焦りを抱えているということかと思います。それで、いろいろと提案しますが、なかなか「書かない子・書けない子」とは接点がもてずに(教師も、子どもも)苦しみます。

 図の下の部分には、「子どもの情熱、興味関心、未来」を中心に据える転換が示されています。そのためには、カンファランス★が効果的です。その子の情熱、興味関心、未来(したいと思っていることや、するのが好きなこと)について聞き出せますから。その中には、その子が書きたいことや、他の子たちに教えたいことや知ってほしいことが含まれているかもしれません。

 教師の側から提案してしまうと、図の上のアプローチになってしまいかねない危険をはらんでいますが、「子どもの情熱、興味関心、未来」を聞き出して、リストをつくり、その中から子ども自身が書きたい/書けると思うテーマを選ぶと、図の下のアプローチと言えます。

 

 以上は、書かない・書けない子への対応について考えましたが、同じことは、読まない・読めない(読むことに気が進まない)子たちへの対応にも応用できるでしょうか?

 さらには、算数・数学、理科、社会、英語、音楽、体育、図工・美術でも?

 カリキュラム(日本では、ほぼイコール教科書)とはいったい何ぞや、とも考えさせられます。

 

 カリキュラムは、間違っても上から与えられるものではありません。文科省も、それは学校レベルの判断であると言い切っています(さらに、教科書は、あくまでも、主たる教材でしかないとも)!

 カリキュラムを考えてつくる際に参考になるのは、『いい学校の選び方』の155ページで紹介されている、次のような13の項目です。

 教科書ベースの授業をしてしまうことは、⑪の中の一つでしかない教科書を、殊の外、重視してしまって、他の12項目を軽視ないし無視してしまう可能性があります。それは、必然的に生徒たちがよく学べない状態をつくり出してしまっていることを意味します。

 

★このブログでは、この言葉を当たり前のように使っていますし、これまでに何度もそのやり方については書いてきています。一言でいうと、「教師と生徒が行う、一対一の会話・やり取り」のことです。

 ChatGPTは、カンファランスで行われることについて、以下の5項目★★を出してくれました。

・子どもの思考や選択について聞く

・今どこでつまずいているのかを探る

・子ども自身の「書く/読むこと」へのメタ認知(考え方)を育てる

・次のステップへの具体的なサポートを行う

・子どもに「声をかける」のではなく、「声を聞く」ことに重点をおく

 これらは、教育のいう名で行う行為にとってとても大事なものであると同時に、欠かせないものばかりではないでしょうか? それ(個別のニーズに合った会話・やり取り)を一斉授業ですることは不可能なので、「一対一」を大事にするのがライティングとリーディング・ワークショップ(作家の時間と読書家の時間)なわけです。別名を「カンファランス・アプローチ」と呼ばれることもあるぐらいです(このブログの左上に「カンファランス」を入力して検索すると、大量の情報が得られます!)。

 

★★5つ以外、他に考えられるでしょうか? 付け足せるのは(というか、これらを総合する形で)、教師の子どもの見取りと子ども理解です。見取りと子ども理解の方法として、おそらくカンファランスよりも優れた方法はないと思いますが、残念ながらまだ日本ではそれがほとんど知られていませんし、行われていません。見取りと子ども理解を踏まえた授業をしたい先生には、うってつけの方法です。カンファランスを通じて、教師は子どものことをよく知れるだけでなく、子どもも教師のことがよく知れます。それこそが、よりよく教えられるために最も大切な情報であり、関係のはずです。

 この見取りによって、何人かの子どもたちが共通のニーズや課題を抱えていることを把握した場合は、その人数に応じて(数人の子を対象にして行う)「ガイド書きやガイド読み」(これらについても、左上に入力して情報を得てください!)か、(クラス全体に対して行う)ミニ・レッスンの必要性も教師は判断できます。個別に同じことを情報提供し/教え続けるのは、効率的ではありませんから。

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