2023年5月13日土曜日

著者の声に乗って、著者の名ガイドで本を楽しむ 

 音楽と動物と英語の好きな方は、以下のリンクから、著者(John Lithgow)による、ノリノリの(?)英語の読み聞かせ『Never Play Music Right Next to the Zoo』(Simon & Schuster Books for Young Readers; Book and CD版、2013年)で、楽しいひとときはいかがでしょうか? 俳優でもある著者の「名ガイド」とも言える読み聞かせのおかげで、絵本自体は6分強で、決して短いものではありませんが、私は思わず、最後まで視聴してしまいました。

https://storylineonline.net/books/never-play-music-right-next-to-the-zoo/

  読み聞かせの名手と言われているメム・フォックスは、あるインタビューの中で、彼女が『こんにちは あかちゃん』(主婦の友社、2009年)を書いた時のエピソードを語り、この絵本の一部を、自ら読み聞かせてくれています。絵本の読み聞かせは、英語で2分ぐらいですが、初めて観た時に、その上手さにびっくり。読み方を表面的に真似しようとしても、おそらく、わざとらしくなるだけだと思います。私にはこういう読み聞かせは到底できないだろうと思いました。

 メム・フォックスの読み聞かせを視聴していると、ライティング/リーディング・ワークショップの優れた実践者アトウェルが、授業で詩を読みあげる時に次のように言っていることを思い出します。

「毎朝、詩を紹介し、詩のコピーを配布し、私が音読する時に目で追うように言います。私が読む時にはできる限りのニュアンスが伝わるように、前もって読む練習をします。それは生徒が私の声に乗って詩の世界に入り、その意味するところを私の声から聞き取り、どうやって経験豊かな読み手が詩を理解しているのかを、彼らが観察できるようにしたいからです」(『イン・ザ・ミドル』アトウェル、三省堂、114ページ)。

 私にとっては、著者(あるいは経験豊かな読み手)による読み聞かせは、「こういう読み聞かせができるようになりたい」という「真似をしたい目標」ではありません。むしろ、教師自身がその本の世界を体験するために、著者(あるいは経験豊かな読み手)が招いてくれている入口です。その入り口のドアをあけ、著者の名ガイドでその本を楽しむ。それが、その後、わざとらしくない自分の読み聞かせにつながっていくように考えています。

 今日は、すべて英語による動画ですが、邦訳の出ている本から、著者による読み聞かせのお薦めを、いくつか紹介します。よろしければ隙間時間にどうぞ!

・メム・フォックスによる『ポスおばあちゃんのまほう』(朔北社、2003年)

原題はPossum Magic。https://memfox.com/video-library/から「Mem Fox Book Reading - Possum Magic, Whoever You Are, Ten Little Fingers and Ten Little Toes」をクリックすると、この動画で読まれる最初の本です。3冊目は『こんにちは あかちゃん』。

・メム・フォックスによる『こんにちは あかちゃん』(主婦の友社、2009年)

原題はTen Little Fingers and Ten Little Toes

https://www.readingrockets.org/books/interviews/fox (このインタビューは14部に分かれています。5つ目Three little kissesでこの本を書いた時にエピソードが語られ、14つ目のTen Little Fingers and Ten Little Toes のところが読み聞かせです。あるいは上のサイトの3冊目でも読まれます。

・デボラ・マルセロによる『びんに いれてごらん』(光村教育図書、2022年)

原題は In a jarです。 以下、ライブイベントの中での読み聞かせですので、動画の 10:56あたりから観てください。引っ越しした友達に瓶に入れて送れるものは? 大好きな絵本の1冊です。

https://www.readbrightly.com/brightly-storytime-live-spring-into-stories-together/

・ダグ カンツによる『まいごのねこ: ほんとうにあった、難民のかぞくのおはなし』(岩崎書店、2018年)

原題はLost and found cat

https://www.kidlit.tv/2018/01/read-loud-lost-found-cat-true-story-kunkushs-incredible-journey/

(→ 読み聞かせに加え、以下、著者のインタビューの動画もあります。絵本の読者に説明してくれるような、読者にやさしいインタビューです。)

https://www.kidlit.tv/2018/01/storymakers-doug-kuntz-lost-found-cat/)

・ジョン シェスカによる『三びきのコブタのほんとうの話』(岩波書店、1991年)

原題は The true story of the three little pigs

https://www.kidlit.tv/2017/01/read-loud-true-story-three-little-pigs/

邦訳が出たのが1991年ですから、ロングセラー絵本の1冊です。

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 最近、カーメン・アグラ・ディーディという作家が気になっています。まだ邦訳は2冊しか出ていないようです。『黄色い星: ユダヤ人を守った国王とデンマークの人たちの物語』(ビーエル出版、2021年)と『チェシャーチーズ亭のネコ』(東京創元社、2014年)です。

 この2冊の著者読み聞かせは見つけられませんでした.

 私が、カーメン・アグラ・ディーディに興味を持ったのは、彼女が『Wombat said come in』(Quinlin Books, 2022)を紹介している、以下の動画でした。

https://www.kidlit.tv/2022/09/storymakers-with-carmen-agra-deedy-wombat-said-come-in/

 著者の読み聞かせや紹介の名ガイドは、他の本にもつながっていくようです。




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