2023年2月10日金曜日

とても相性がいいライティング&リーディング・ワークショップとSEL

 以下は、あるライティングとリーディング・ワークショップ(WW/RW)の実践者が書いた文章です(少し読みづらいかもしれませんが、挿入されている数字は無視して読んでください。この文章を図の後に解説する際に必要なので、番号が付けてあります)。

教師として、私は書き手や読み手だけでなく、全人的に育てることにコミットしています。私は、子どもたちが、人間関係や経験を人道的にナビゲートできる、責任感があり思いやりのある大人に成長⑤&⑥してほしいと願っています。望むだけではいけません。私たちは目的と情熱をもって育てなければなりません③&④。(中略)ライティング・ワークショップでは、生徒は自分が書くものを選び、書くプロセスとペースをナビゲートし、自分で選んだ仲間と話し、自分の声と言葉で世界に影響を与える方法を決定します

 この実践をSELの観点から見るとどうなのかを説明したいと思います。使うのは、新刊の『学びは、すべてSEL』で紹介されている切り口(図を参照)です。上記の文章のなかに表示されている数字は、この本のなかの5本の柱が紹介されている章の数字です。

 残念ながら、日本の国語教育には、まだ「書き手や読み手を育てる」こと自体が視野に入っていませんが、これはライティングとリーディング・ワークショップ(作家の時間と読書家の時間)をする際の最大の目標です。これは、図(本)のなかのアイデンティティーとエイジェンシー(第2章)のすべてを最低限扱っているので②を付けましたが、③と④も扱っています(そして⑤と⑥も。すでに2010年にhttps://sites.google.com/site/writingworkshopjp/qa/ww%E3%81%AE%E6%80%9D%E3%82%8F%E3%81%AC%E5%81%89%E5%A4%A7%E3%81%AA%E3%81%8A%E3%81%BE%E3%81%91%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB を書いているぐらいですから)。

しかし、この文章を書いた実践者は、それだけにとどまらず「全人的に育てる」と言い切っているのです。それは、従来の知識やスキルを重視した(アイデンティティーとエイジェンシーの項目のほとんどは態度ですが!)ものではなく、感情・社会性・人間性までを含めたトータルな人間を育てると宣言しているので、②~⑥のすべてを含んでいますから⓪と表示しました。

 その後の「人間関係や経験を人道的にナビゲートできる」もすべてなので⓪にしていますが、あなたならどの番号を付けますか?

 「責任感があり思いやりのある大人に成長」は、⑤と⑥が中心です。

 次の「私たちは目的と情熱をもって育てなければなりません」は、生徒たち対象のSELではなく、教師が実践していなければできない項目としての③と④という意味です。

 ライティング・ワークショップ(およびリーディング・ワークショップ)を実践している教師なら、誰もが「生徒は自分が書くものを選び、書くプロセスとペースをナビゲートし、自分で選んだ仲間と話し合う」実践はすでに展開されている(というかふんだんに子どもたちが練習する機会は提供している)ことと思います。

 しかし最後の、「自分の声と言葉で世界に影響を与える方法を決定します」まで取り組まれている方は、ライティングやリーディング・ワークショップの実践者でもまだほとんどいないと思います。ここでは、を付けましたが、②~⑤も使うので、⓪とした方がよかったかもしれません。

 図の②~⑥の内容は、ひたすら教科書をカバーする従来の国語をしていては、残念ながらほとんど扱うことができません。冒頭の文章にあるように、教師自身が何を目的にその教科を教えるのかによって、扱う内容(知識)、スキル、そして態度が大きく違ってしまうのです。

 『学びは、すべてSEL』では、この図に示されているSELの5本の柱(各章)の項目ごとに、各教科の例を紹介しながらそれぞれの内容が詳細に解説されています。

追記・なお、冒頭の文章を、国語以外の他教科に書き換えることは容易ですし、またそうすることが求められています。ぜひ挑戦してみてください★。

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★国語で、冒頭の文章が押さえられている実践例として、幼~小3対象の実践として『国語の未来は「本づくり」』、中学校対象では『イン・ザ・ミドル』、高校では『一人ひとりを大切にする学校』があります。理科では、『だれもが科学者になれる!』がおすすめです。社会科では、『プロジェクト学習とは』と『歴史をする』が、算数・数学では『教科書では学べない数学的思考』が近づく努力をしているかな、という感じです。

追記・上記のおすすめの本以外に、

・『プロジェクト学習』
・『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』
・『一斉授業をハックする』
・『教育のプロがすすめるイノベーション』
・『教育のプロがすすめる選択する学び』
・『「考える力」はこうしてつける』

などはSELを目的に掲げた本ではありませんが、参考になる部分が多いと思います。

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