先日のことです。「それなら、ブッククラブで読めば?」という発言に、一瞬、「え??」という感じで、会話が止まりました。
これは英作文の教科書で、「比較と対照」とか「時間順に並べる」等の、段落構成方法の説明が複数出てくるので、その説明を授業でカバーしていると時間がなくなる、と一人の人が話したことへの助言でした。「それなら、ブッククラブで読めば?」と言った人の説明は以下の通りでした。
「今、自分の授業では、テキストを使って、スピーチとプレゼンを教えているが、その説明は学校では行わない。自宅で読んできてもらって、学校では、読んできたものについて、ブッククラブをして、それから、そこで学んだことを使ってスピーチとプレゼンの練習やカンファランスをしている。ブッククラブで出てきたことを聞いていると、こちらが要点としてまとめようと思っていることが、すべて出てきている。そうであれば、教師が一方的に、教えるポイントをまとめたり、決めたりして、教えなくていいのでは?」
面白いと思いました。というのは、「ミニ・レッスン」のバリエーションとして、ブッククラブを使っていると思ったからです。ミニ・レッスンのトピックを決めて、ミニ・レッスンで教える代わりに、ミニ・レッスンの題材を学習者に渡してしまっているようにも感じました。低学年には難しいかもしれませんが、学習者の年代や教える内容(やそのためのテキスト)によっては、応用可能な方法のように思います。
その人と話していると、ブッククラブを、日常的に、かなりいろいろな方法で使っていることが分かりました。
そこで、他教科にもいろいろ応用可能だと思ったので、「『RWWW便り』で紹介したいので、例を出してください」、とお願いしたところ、上以外に、現在進行形で使っているブッククラブとして、以下を教えてくれました。
1 (自分の)大人の学びの場としてのブッククラブ
オフ会とも連携して、同じ仕事の人とブッククラブを楽しみ、スキルアップ。同時に専門的な知識も楽しく深める。
2 リーディング・ワークショップ(英語の授業)でのブッククラブ
「実に楽しげ、笑いあり、涙ありの充実した時間で、学生たちは皆この時間が好き」だそうです。
3 共通のテキストを使う英語の授業でのブッククラブ
これには二つのパターンがあるそうです
1)一つは上で紹介した、スピーチやプレゼンの例です。つまり、ある特定の伸ばしたいスキルがあり、そのパフォーマンスを高めるために、参考とするために読み、ブッククラブをします。
2)もう一つは、RWでよく行われているブッククラブと少し主眼の置き方が異なる、「外国語学習」に特化したブッククラブです。
このブッククラブの場合、「読んできて学んだ言語を使うことが、随所に織り込まれて」いるようです。このブッククラブは、学んでいる外国語で再話することから始まりますし、読みやすいような準備シートも作っているそうです。
またブッククラブの要約と報告を授業内で行い、そこから出てきたポイントをクラス全体で行う、この一連の作業を学んでいる外国語で行えるようにサポートしています。
(⇒ ガイド読みならぬ、ガイド・ブッククラブ、みたい、と私は思いました。)
ある意味、「教科書のブッククラブ的使用」と言えるかもしれませんが、大きく違うところは、与えられた教科書を使ってブッククラブをしているのではありません。
話を聞いていると、上のようなガイドいっぱいのブッククラブに適したテキストで、かつ内容(コンテンツ)がブッククラブのネタになるものを、かなり注意深く選択しています。
いろいろな活用を教えてくれたこの人は、日常的に自分で複数のブッククラブを行っていて、その魅力を体感しているからこそ、「ブッククラブ活用」を、いろいろな場面で応用・模索しているように思いました。
そういえば、先日、英語の先生の集まりで、ピーター・レイノルズの『っぽい』の英語版のブッククラブで大いに盛り上がったのですが、ブッククラブで他の人と学ぶ楽しさを一度体験すると、教室で再現したくなるのかもしれません。
★ブッククラブの楽しさを知らない方は、ぜひ、一度、ブッククラブ体験を! 『読書がさらに楽しくなるブッククラブ~読書会より面白く、人とつながる学びの深さ』吉田新一郎著、新評論、2013年を見ると、具体的にイメージしやすいです。