前回のテーマは、「書くことについて、たった一つのことしか教えられないとしたら?」でした。
あなたは何を教えますか?
私も考えました。
そして、断然、「選題(書く題材)」についてだと思いました。
すでに、「読み直すこと」と「読者意識」が先週紹介されていますから、これで3つ目です。
ぜひ、あなたの選択を教えてください。
「多様さ」こそが、WWのいいところです。
作文教育には、この多様さがあるでしょうか?
自分が何を大切にするかを明確にすることは、とても重要です!
さらに、私は考えました。
先週の質問を「読むこと」に置き換えたらどうなるかな、と。
私の答えは同じでした。「選書」についてです。
選書と選題抜きでは、自立した読み手にも、自立した書き手にもなれないと思うからです。それがなければ、読むこと/書くこと自体も存在しませんし、読み続ける/書き続ける可能性も限りなくゼロに近くなってしまいます。
(ひょっとしたら、日本の読解教育と作文教育は、それをやり続けている??)
前回も登場していたNancie Atwellという先生は、WWとRWの実践者で、それらの普及にアメリカで(というか英語圏で)火をつけた人の一人です。
彼女が、読むことを教える際に大切な3つのことをまとめてくれています。★
① 教室内にあるたくさんの本 ~ 教室のある充実した図書コーナーはRWの必需品です。その前提として、学校図書館が充実していることも。
② 子どもたちに読むものの選択を提供すること ~ 選択を提供しなければ、夢中で読みふける状態は得られません。夢中で読めれば、読解力も、読むことの面白さも、そして成績も自然についてきます。
③ 子どもたちを鼓舞する教師/教え方 ~ 日本のあちらこちらに充実した図書館はすでにありますが、子どもたちの読書量や読む力が向上しているという話はなかなか聞きません。(どちらかというと、それらが落ちているという話は聞きます。)
そこで、欠かせないのが読むことに情熱をもった教師の存在です。教え方で、いまあるベストはRWです。それは、上記の①も②も含んだ教え方ですから(その意味では、教科書中心の教え方は、すでに無理なことを意味しています。選択を提供していませんから)。
アットウェルさんは、マイクという中学校1年生の男の子の例を紹介してくれています。彼は、読むことにまったくの関心がなく、アットウェルさんの学校に入学してくる前の年は一冊も本を読まなかったし、読みのレベルも学年よりはるかに低いことがわかっていました。しかし、アットウェルさんはマイクの興味関心(スポーツ、コンピューター・ゲーム、ファンタジーなど)に応える形で、彼が自分にピッタリの本を選べるようにすることで(読みのレベルも乗り越えて)年間に36冊もの本を読めるようにしてしまったのです。それによって、彼の思考力、一般的な知識、共感能力等は伸び、誰もが認めるいい生徒にも、いい人間にもなったということです。
国語の授業で教師ががんばって「言語の技術」を教え続けることで、③に書いたようなことのどれだけが得られているでしょうか? (教えているはずの「言語の技術」のどれだけが、身についているのかも検証が必要かもしれません。上で書いたように①を踏まえた②なしでは、身につかないことがわかっているからです。)★★
それほど、選書(そして、書く場合は選題)が大切なのです。
そして、その後に書く場合は、「読み直すこと」や「読者意識」やその他のことが。
読む場合の、選書以外に大切なことは何でしょうか?
★★ ①~③について、詳しくは『リーディング・ワークショップ』と『読書家の時間』を参考にしてください。①と②については、上記の両方の本の第2章に、本の集め方なども含めて詳しく書いてあります。
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