訳者の一人の公立中学校の国語教師の飯村さんが、本の紹介文を書いてくれました(飯村さんは、『私にも言いたいことがあります!』も訳しています)。
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教育業界でときどき耳にする言葉の中に「不易流行」があります。最新のトレンドを追い求める(=流行)だけでなく、これまで先人の培ってきた伝統や教育文化(=不易)を見つめ直し、その良さを次につなげなくてはならない、といったニュアンスで、戒めとして使われることが多いです。
しかし、なぜか、逆の論法で使われることは少ないと思います。つまり、「これまでの伝統や教育文化だけでなく、最新の情報や時代に合わせて変えていかなければならない」という意味です。なぜか、日本における学校という場所は保守的な色合いが強く、変化を避ける傾向があるのです。
現在、働き方改革が叫ばれ、コロナ禍のなかで様々な変化が要求されています。その答えは、ただ現在の状況のように一人一台端末を準備すれば叶うというような単純なものではありません(http://wwletter.blogspot.com/2021/09/blog-post.html)。また、教育に対する政治的なメッセージや世論を忖度し、その意の通りに実践することでもありません。学校のリーダーが自分の学校の実態、生徒・保護者のニーズを把握し、教師の成長を促し、主体的な変化を求める必要があると思います。
本書はその具体的な考え方と手立てが書かれています。こちらの「RW/WW便り」を読まれている方ならきっと共感できると思います。RW/WWは、従来の国語のあり方から転じ、子ども一人ひとりのニーズと、その進み具合に合わせていく方法です。こうした考えを学校経営全体に広げて考えたのが本書であると言えるでしょう。
また、RW/WWを学校の事情でなかなか実践できない方もいると思います。教科書を使い、テストを使う、という学校の枠組みの制限を受けているから、チャレンジできない部分もあるでしょう。学校が変われば、可能性も大きくなるかもしれません。学校リーダーが柔軟になり、教師のチャレンジを推進できるような学校づくりをすることも書かれているのです。もし、自分がそのポジションにある方、あるいはこれから学校リーダーを目指そうという方に読んでいただきたい本です。
「不易流行」は、本来、「不易」も「流行」もどちらも大切で、その良さがあるものです。本書を読むことで、改めて、あなたなりの学校に必要な「不易」と「流行」がきっと見えてくると思います。
本の内容構成(目次)は、以下のようになっています。
はじめに より良い方法
問題 学校はリーダーではなく、管理者によって運営されている。
ハック 1 校長は、もっと教職員の中に分け入り、学び続けるモデルとしての姿を見せよう――学びのフロントラーナーである校長は、誰の目にも明らかである
問題 学校のリーダーは自分の影響力を過小評価している
ハック2 C.U.L.T.U.R.E(文化)をつくりだすー―リーダーが率先してはじめましょう
問題 リーダーは関係構築を意図的に行っていない。
ハック3 関係を構築する――意図的に関係をもとう
問題 知識がなければ、人は自分の中で「真実」をつくろうとしてしまう
ハック4 学校の壁を取り払う—―コミュニティーとパートナーになろう
問題 学校は、後手後手になりがちである
ハック5 生徒の声を利用して拡散しよう—―声を見える化し、周囲の人の支持を高めよう
問題 私たちは、子どものためではなく、大人のために学校をつくっている
ハック6 生徒を学校の中心に据える—―子どものための学校をつくろう
問題 教師不足は現実の問題である
ハック7 スーパー教師を見いだす—―スペシャリストのチームを育てよう
問題 教員には専門性を高めるための時間が必要である
ハック8 大人も情熱を注げるプロジェクトをつくる—―教師を励まして学びと成長を推進しよう
問題:教員には協働して学ぶ機会がほとんどない
ハック9 協働して学ぶ――仲間とともに成長しよう
問題 教師はネガティブ思考に陥りがち
ハック10 マインドセットを変える—―ネガティブ思考をやめよう
おわりに ―水のように
以上から、これまでとは違う可能性が少しは見えてきそうでしょうか?
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