『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』の増補版を出すにあたって、数人の過去数年ブッククラブを数多く実施している人に「自分にとってのブッククラブ」というテーマで寄稿してもらいました。
そのうちの二人分を紹介します。
●廣瀬充さん――研究会や学会に勝る優れた学びの方法
中高一貫校の教員です。主に、知り合いの教員同士で教育関係の本を選んでブッククラブを行っています。基本的にはオンラインで行っていますが、ほかの仕事もあるので、極力「通勤時間のみ」と決めてやっています(ほかの人のコメントを見るのが楽しみで、結局、それ以外の時間もちょくちょく開いてしまうのですが……)。スマホに「Googleドキュメント」を入れておけば、通勤電車の中で読んだり書いたりすることができます。
ブッククラブに出合う前は、研究会や学会、フォーラムに参加することが主な勉強の手段でした。これらの場合、その時は「いろいろ勉強したなあ」という感じにはなるものの、どうもイベントチックに終わってしまったり、その場かぎりのものだったりして、なかなか日々の実践が変わったり、継続的な取り組みに発展することにならないという課題意識をもっていました。そんな時にブッククラブという方法に出合い、その有効性を今は十分に感じています。
自然と話題がそれぞれの授業の話にも及ぶことが多いので、わざわざ研究会などに行かずとも、自分の実践を聞いてもらったり、ほかの人の実践を聞いたりすることができます。また、私の場合、一人ではなかなか読む気になれない洋書を読む機会が得られたことは、自らの幅を広げてくれたようにも思います。
人が学び続けるコツは、「誰かと」、「気軽に」、「細く長く」の三つだと思っていますが、オンラインのブッククラブはそれらを満たす最高の方法と言えます。
●小見まいこさん――三つの意義を見いだして、積極的に活用中!
私がブッククラブを続ける意義は三つあります。第一に、「主体的で対話的な深い学び」の機会です。主体的に選書し、仲間を集めて、毎週読み続けること。メールでのやり取りや読書を通して、仲間や自分自身と対話すること。そして、読書で得た知識と実践を往還し、深い理解へと昇華させることです。それは、まさに、今学校に求められている「主体的で対話的な深い学び」を自らの日常で実践していることだと感じています。
第二に、学びにおける実践コミュニティーをつくることです。役割や立場の違う人とブッククラブをすることで、いろいろな視点から教育をとらえ、自分の実践を俯瞰することができます。また、ブッククラブでのやり取りを通して、互いの考えや価値観を共有することができ、信頼関係が深まります。メール上だけでなく、授業の相談に乗ってもらう、互いの授業や研修の参観をするなど、実際の現場におけるかかわりもかなり増えてきました。
第三に、講座のアフターフォローとしての活用です。私は、教育支援NPOという立場で、教育に携わる方を対象にした研修会を定期的に開催しています。1回の講座で終わるのではなく、参加者と学び続ける関係性をつくりたいと講座修了生に働きかけて、ブッククラブをすることがあります。そのなかで、本の内容だけでなく、お互いの近況やオススメの本などを共有しています。続けていくなかで、私自身も含めてですが、困った時のサードプレイスのような居場所や心の拠り所になっている人もいるようです。
ブッククラブを実施する際に工夫していることは、読み終わったあと、実際に集まってダイアログをすることです。本を読んでみて、自分のなかで生まれた問いや変化したことなどを共有し、本で得た学びや収穫を語り合っています。そうすることで、本の「総まとめ」をすることができ、次なる学びに向かう力も湧いてきます。物理的なことが理由で叶わない場合もありますが、その場合はテレビ会議システムなどを活用すれば可能となります。
本には、小学校1年生と6年生の授業での実践も含めて多様な事例や、ブッククラブの歴史やブッククラブを通して得られる様々な力などについて詳しく紹介されています。まだ読まれていない方は、①自分の学びをさらに進化させるためと、②自分が受け持っている生徒/学生たちの学びを拡張するために、ぜひ読んでみてください。「読むこと」は決して一人だけで行うものではない、という大きな意識転換にもなります。(もちろん、ブッククラブ形式で読んだ方が、効果は大きいです!)
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広瀬さん,私も中高一貫校の教員ですのでぜひ広瀬さんのグループに参加させてください.小見さんどこかで名まえを拝見したと思いましたら「みらいず」の代表の方でしたね,もう5,6年前ですが,岐阜の友人の教え子で「みらいず」のメンバーの方が紹介してくれた「自立」にかかわる本,今でも私に大きな影響を与えてくれています.
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