学年が上がるにしたがって、読む量は低下するというのは万国共通です。
この状態から脱して、読む量を飛躍的に増やすには、一人二人の教師の努力ではどうにもなりません。それこそ、学校ぐるみの取り組みが不可欠です。
ある学校が取り組んだ10の方法を紹介します。
1.
読むことを公にする。
具体的な方法としては、教師が自分の読んだ本のリストを教室に貼ったりすることです。これには、生徒たちも参加できますし、「読みたい本のリスト」や「おすすめの本のリスト」などの形でも可能です。(これ以外の紹介の仕方が、『読書家の時間』の133~138ページに紹介されています。)
2.
各教室に図書コーナーを設置する。
図書コーナーに学年は関係ありません。すべての学年、すべての教科で、あらゆるジャンルで、生徒たちが読みたがる本(教師や大人が読ませたい本は、本の一部!!)が身近にありさえすれば、生徒たちは読むようになります。
3.
言葉を探究する掲示板を設置する。
教科で必要な語彙や社会的な事件等で出てきた言葉を、わかりやすく解説する情報およびそれにまつわる本や記事の紹介は、読む文化づくりに大いに貢献します。
4.
教師が創造的に協力し合える時間を提供する。
教師が協力して授業を計画する時間をもつことで、教科書にはないたくさんのアイディアが生まれます。その時間が確保できないと、退屈な時間を約束することになります。
5.
生徒たちに本(読んだこと)について話す機会をふんだんに提供する。
自分たちが読んだことや書いたことについて話し合うことは、もっとも効果的な学びのチャンスを活かしきることです。話さない限りは、読んだことや書いたことに興奮できません!!(詳しくは、『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』をご覧ください。)
6.
すべての教科で学ぶために読むことと書くことを重視する。
読み・書きは国語の教師だけが教えるのではなくて、すべての教師が教えるものというメッセージが生徒たちに伝わるだけでなく、生徒たちは本当に読んだり書いたりすると、よりよく学べるようにもなります。
7.
各教科に固有の読み・書きを大切にする。
各教科には特有の読み方や書き方があるので、それをしっかり尊重するということです。しかし、一方で、読むことや書くことと関係のない教科は、たとえ体育や家庭科でさえあり得ません。よく読んだり書いたりすることで確実に学習目標は達成できます。
8.
本当に書く体験を提供する。
現状では、生徒が書いたものを読むのは教師のみというのがほとんどです。単に教師に書くのではなく、生徒が「これは本当に書いているんだ!」と思える場面設定で書くように工夫します。それは、読者対象を具体的に設定して、意味のあるフィードバックが戻ってくる状況設定と言い換えられます。
9.
できるだけ多くの本に触れられる機会をつくる。
図書館にあるたくさんの本棚から背表紙だけで自分が読みたい本を選べる人は、あまりいません。できるだけ表紙が見えるような設定で選んだり、さらには、中身まで(1~2分で)眺められるようにする機会を設けましょう。
10. 振り返りと目標設定を大事にする。
何冊読んだとか、難しい内容を読めたり、書けたりするとか、テストでいい点を取ったとかより大切なことは、次に読む本は決まっているのか、あるいは次に書く題材は決まっているのか、ということです。振り返りと目標設定については、『イン・ザ・ミドル』の第8章に詳しく書いてありますので、参照ください。
生徒たちがどうしても読みたくなったり、書きたくなる状況をつくらない限りは、「学校ごっこ」が続くだけで、生徒たちは最低限のお付き合いをし、「自立した読み手や書き手」からは遠ざかります。そうしないためには、教師たちの(可能なら協力して取り組むための)準備が欠かせません。その時間を確保するにはこの件についての、管理職を中心に、教師たちの優先順位を高くする必要があります。
0 件のコメント:
コメントを投稿