ちょうど、1週前に出席した、長年の教師仲間たちとの研究会で、ブックトークの時間があり、付箋をいっぱい貼った『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』(河野哲也、河出書房新社、2018年)という本を持ってきた人がいました。
「どうして、この本なんですか」と聞くと、「忖度のない、先生が喜ぶことの「あてっこゲーム」ではない対話を体験しておくことの大切さを、最近、よく考えるから。そして、そういう対話ができることが、多くの学びの基本にあるような気がしているから」という返事が返ってきました。
対話・話すことの価値は、『リーディング・ワークショップ』の著者、カルキンズも以下のように力説しています。
「学校教育において話すという活動は、大きな価値があると見なされることもありますし、まったく無視されることもあります。... しかしながら、読み書きと同じように、話すことは知性の発達を促す原動力であり、この原動力は極めて大切なことなのです」
(『リーディング・ワークショップ』新評論、2010年、141ページ)
『リーディング・ワークショップ』の中には、子どもたちが「読むこと」を通して、話すことを学んでいく様子がたくさんでてきます。特に第9章「話すことを読むことに活かす」(139~167ページ)は、子どもたちが段階を追って、うまく話せるようになる具体例が豊富です。
私が印象に残ったのは、本についての話し合いで、ほかの子どもの意見を聞かずに話したり、会話の主導権を握ろうとして争ったり、大声をだしたり、また、一度も発言できない子どもがでてきたときの先生の対応でした。
「どうして、この本なんですか」と聞くと、「忖度のない、先生が喜ぶことの「あてっこゲーム」ではない対話を体験しておくことの大切さを、最近、よく考えるから。そして、そういう対話ができることが、多くの学びの基本にあるような気がしているから」という返事が返ってきました。
対話・話すことの価値は、『リーディング・ワークショップ』の著者、カルキンズも以下のように力説しています。
「学校教育において話すという活動は、大きな価値があると見なされることもありますし、まったく無視されることもあります。... しかしながら、読み書きと同じように、話すことは知性の発達を促す原動力であり、この原動力は極めて大切なことなのです」
(『リーディング・ワークショップ』新評論、2010年、141ページ)
『リーディング・ワークショップ』の中には、子どもたちが「読むこと」を通して、話すことを学んでいく様子がたくさんでてきます。特に第9章「話すことを読むことに活かす」(139~167ページ)は、子どもたちが段階を追って、うまく話せるようになる具体例が豊富です。
私が印象に残ったのは、本についての話し合いで、ほかの子どもの意見を聞かずに話したり、会話の主導権を握ろうとして争ったり、大声をだしたり、また、一度も発言できない子どもがでてきたときの先生の対応でした。
すぐに仲裁に入り、問題点を指摘するのではなく、「どうすれば、もっとみんなの助けになれる、いい参加者になれるだろうか」を、子どもたちが考えられるように助けています(155-161ページ)。
「問題が深く大きくはっきりしていればいるほど、子どもたち自身が改善しやすいからです」(156ページ)という文を読んだときは、子どもにとってこういう話し合いを体験すること自体、大きな財産だと思いました。また、教師が、問題に対して、このような対応を、安心してできるようになるまでの、道のりの長さも思いました。
もちろん、新学期にいきなり「話し合い」をさせ、仲裁にも入らず、問題を認識させることは、マイナス面の方がはるかに大きいと思います。
カルキンズは「話すことのカリキュラム」と呼んでいますが、「読むこと」の中に「話すこと」を、簡単なことから段階を追って、織り込んでいます。
最初は、クラス全体への読み聞かせからスタートです。
子どもたちは読み聞かせの時間に読んでもらった本について、話し、教師は、子どもたちがうまく話せるようになるため、その足場となる土台づくりができるようにサポートします。学年にもよると思いますが、読み聞かせを2~3ページごとに中断して話すというところから、スタートです。最初の段階では、話すテーマを絞るわけでもありません。
時間の経過とともに、子どもたちは、読み聞かせで読んでもらった本ではなくて、自分で読んだ本について、主体的に話し合いを行うようになっていきます。また、まとまった量を読んでから話したり、一つか二つのテーマを中心に話したりします。
(詳しくは『リーディング・ワークショップ』142ページの「最初は」と「時間の経過とともに」の表を参照してください)
これが、ブッククラブの学びにもつながっていきます(「ブッククラブの成功ために」229-239ページに、詳しく載っています)。
カルキンズの場合、カンファランスのために観察したあとに、次のような方向のどれかで、ブッククラブをサポートすることが多いそうです(236-238ページ)。あくまでのブッククラブの事例ですが、具体例を変えることで、他の科目にも応用可能な部分もありそうです。
1)子どもたちの話し合いを違うやり方でもう一度やってみるように言う。
2)ある効果的な方法を試してみるように提案する。
3)子どもたちが直面している問題を明らかにして、自分たちで改善策を考えて、解決できるようにする。
4)誰かがすでにしていること(あるいは、ほぼできていること)を指摘し、ほかの子どもたちにそれをやってみるように言う。
5)話し合いの中で、特定の子どもにささやく形でアドバイスをする。
*****
このような学びの価値をカルキンズは以下のように締めくくっています。
「… 子どもたちはほかの子どもと一緒に考えたことについて語り、自分の考えを変え、意見をしっかりともち、人の話を聞き、学ぶことができるという人生を歩んでいくのです。今日の社会では、このようなことを学ぶことに大きな価値があるのです」(239ページ)
最初は、クラス全体への読み聞かせからスタートです。
子どもたちは読み聞かせの時間に読んでもらった本について、話し、教師は、子どもたちがうまく話せるようになるため、その足場となる土台づくりができるようにサポートします。学年にもよると思いますが、読み聞かせを2~3ページごとに中断して話すというところから、スタートです。最初の段階では、話すテーマを絞るわけでもありません。
時間の経過とともに、子どもたちは、読み聞かせで読んでもらった本ではなくて、自分で読んだ本について、主体的に話し合いを行うようになっていきます。また、まとまった量を読んでから話したり、一つか二つのテーマを中心に話したりします。
(詳しくは『リーディング・ワークショップ』142ページの「最初は」と「時間の経過とともに」の表を参照してください)
これが、ブッククラブの学びにもつながっていきます(「ブッククラブの成功ために」229-239ページに、詳しく載っています)。
カルキンズの場合、カンファランスのために観察したあとに、次のような方向のどれかで、ブッククラブをサポートすることが多いそうです(236-238ページ)。あくまでのブッククラブの事例ですが、具体例を変えることで、他の科目にも応用可能な部分もありそうです。
1)子どもたちの話し合いを違うやり方でもう一度やってみるように言う。
2)ある効果的な方法を試してみるように提案する。
3)子どもたちが直面している問題を明らかにして、自分たちで改善策を考えて、解決できるようにする。
4)誰かがすでにしていること(あるいは、ほぼできていること)を指摘し、ほかの子どもたちにそれをやってみるように言う。
5)話し合いの中で、特定の子どもにささやく形でアドバイスをする。
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このような学びの価値をカルキンズは以下のように締めくくっています。
「… 子どもたちはほかの子どもと一緒に考えたことについて語り、自分の考えを変え、意見をしっかりともち、人の話を聞き、学ぶことができるという人生を歩んでいくのです。今日の社会では、このようなことを学ぶことに大きな価値があるのです」(239ページ)
冒頭で紹介した『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』を持ってきた教員の思いと共鳴する部分、そして話すことの価値を感じます。