この本で紹介されている学校では、学期ごとに評価の週があり、「評価ポートフォリオ」もあります(282-283ページ)。
今日は評価ポートフォリオの中に含まれるWWとRWのそれぞれの自己評価シートを見ていて思ったことを、メモ書きで書きます。
特に今回、いいなと思ったのは以下の2点です。
- 子どもに自分の行ったことを観察させ、それを自己評価シートで言語化することで、自分のものにさせていること(284ページ)。
- RWについての自己評価の中でも、好きな本や詩などについて挙げさせるだけでなく、その本や詩のなかで、著者や詩人がしている技(つまり、優れた書き手がしている効果的な方法)に目を向けさせていること。(290-293ページ) (★ → この2点目は、好きだった本や詩を、自己評価シートで、批評家の目で見直させていることがいいと思いますし、自分で言語化することのもつ力も感じますし、かつ、読み書きのつながりも感じます。)
では以下、もう少しメモを紹介します。
● 学期の終わりには評価の週を取るのですが、自己評価シートを書くときの先生の説明がいいです。だいたい以下のような感じです(295ページより、抜粋してそれをざっと訳)。
「自己評価は、リサーチ・プロジェクトとして取り組むこと。リサーチの対象は自分--自分の成長と達成したこと。リサーチャーはデータを検証します。(注:ここに例えば「書き途中の作品ファイル」「完成作品ファイル」等々、それぞれが検証すべき材料が提示されています。)それらを検証しながら、次の3つの質問を考えてください。
「この学期に、何を達成したか? 何を学んだか? 次に何を達成したいか?」
● 自己評価シートは、RWとWWが1枚ずつ。それぞれ余分を1枚ずつ渡して、それにメモをとれるようにする。(295ページ)
● 自己評価シートの設問は毎学期登場するものと、その学期に学んだことに関わるものと両方ある。毎回登場するものとしては以下がある。
<ライティング>(284-286ページ)
1.この学期に完成した作品の数は?
その作品の(主な)ジャンルは?(6つ程度書けるようになっている。)
2.うまく書けたと思う作品を二つ挙げてください。 その理由は? その二つの作品それぞれに、作家としてどんな工夫をしたのか(つまりどんな作家の技を使ったのか)を箇条書きにしなさい。
★ ここで子どもが、自分の書いてきたものを見直し、自分の使った作家の技を観察して、箇条書きで言語化することで、自分のものにしていける(284ページ)
このあとの質問は、その学期に学んだ項目を中心に構成されています。ここもかなり充実しています。
● 最後は、次の学期の目標設定で終わる。目標設定は<ペース・量、綴り、言語事項、作家の技>などに分かれている。(286、290ページ)
<リーディング>(290~293ページ)
- この学期に読んだ冊数とそのジャンル(9つ程度かけるようになっている)
- その中でベストの本は? その本がベストである理由を、著者がどのようなことをしたからなのかを箇条書きしなさい
- この学期で読んだ詩からベストを2つ。そしてその詩人が行っていること(つまり詩人の技)をそれぞれ箇条書きしなさい。
- この学期における読み手としての成長
● 最後は来学期に向けての目標設定。<量・ペース、選書、著者やジャンル、レター・エッセイ(手紙形式で本についてノートに書く)、詩についての話し合いへの参加、本の紹介等>などに分かれています。(292、294ページ)
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★この本は、実際の子どもの書いた自己評価シートもありますし、随所に現場の教員向けの工夫がなされています。前の第2版も、何度読み返したかわかりませんが、この第3版も、きっと何度も読み返すことになりそうな気がします。
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