4~8年生(中2)を教えている教師192人に対して「書く指導」に関する電話インタビューを行った結果を入手しました。
質問は、以下の3つです。
1)あなたは、生徒同士のピア・フィードバックを活用していますか?
2)あなたは、カンファランスなどで頻繁に生徒にフィードバックをしていますか?
3)あなたは、評価基準表(ルーブリック)を使って生徒にフィードバックを提供していますか?
あなたの答えはどうですか?
1)カナダでは、94%の教師が生徒同士のピア・フィードバックを活用しています。
一人の教師が、すべての生徒たちに満遍なくフィードバックをし続けることは難しいですから、最も使われているのが、生徒同士のピア・カンファランス/ピア・フィードバックであることは理解できます。★
逆に、日本ではこの極めて効果的な方法が書く指導ではもちろん、読む指導でも、他の教科でもまだ活用されていないのではないでしょうか? (その理由は、教師が一斉指導の形でがんばりすぎることではないかと思います・・・★★)
生徒同士のピア・フィードバックは、する側もされる側も学べる方法ですから、とても有効です。
2)カナダでは、82%の教師がカンファランスなどを通じて、自分が直接生徒たちにフィードバックを頻繁にしているようです。
この数字で、カナダの教師もちゃんとがんばっていることがわかりますが、がんばり方が日本の教師とは違うようです。
3)生徒たち自身がそれを見れば何をどう直していけばいいのかがわかる評価基準表を使いこなせている教師は、43%です。上の1と2だけでも、「指導と評価の一体化」はかなり図れますが、評価基準表は基本的には成績のガラス張りを意味しますから、究極の「指導と評価の一体化」と言えるかもしれません。生徒たちにとっては、何をどうすればいい成績=いい作品になるのかの情報を事前に知らされている状況です。生徒と教師は、その実現のために協力して努力していきます。
電話インタビューの結果の出典は、Educational Leadership, September 2012, p.9, ASCD。
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★ 生徒同士のピア・カンファランス/ピア・フィードバックの具体的な方法として最も効果的なのは、「大切な友だち」です。(詳しくは、『作家の時間』の69~73ページを参照してください。)
具体的には、以下のステップで進めます。
1)
後でいい点や改善点を指摘できるように作品を読む
2)
読んでいてわからなかった点やハッキリしなかった点の質問を1つ、2つする。
3)
特にいいと思った点を2つ、3つ指摘する。
4)
直したり付け加えた方がいいと思った点について質問の形で2つ、3つ問いかける。
5)
3)か4)の中から一番伝えたいことを「愛を込めたメッセージ」として書いて渡す。
慣れないうちは、4)が難しいですが、要領を得ると小学校中学年以上ならかなりうまく質問できるようになります。
この進め方が世の中の基調になれば、世の中大きく変わると思います。現状は、いい点を具体的に指摘できず、すぐに悪い点を改善するための質問をするのではなく、指摘することが横行しているからです。「愛」がないので、いくら指摘したところで、指摘された側は変えられません。
★★ 残る確率としての数字を思い出してください。表2の●●● と ◆◆◆ は、何だと思われますか?
表1:老子の教え 表2:アメリカの研究者の数字
聞いたことは、忘れる。 聞いたことは、 10%
見たことは、覚える。 見たことは、 15%
したことは、わかる。 聞いて見たときは、20%
(見つけたことは、できる。) ●●●●●ときは、40%
体験した ときは、80%
◆◆◆◆◆ときは、90%
出典: 『効果10倍の教える技術』27~79ページ)
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