2011年4月1日金曜日

詩はアボガドの中に隠れている

 今日のWW便りは、新学期のWWに向けてできることを、「詩」という観点から、2点書きた
いと思います。


1) 詩を読む時間の確保と自分のお気に入り詩を集める

 詩人でもあり、詩の教え方についての教員研修にも携わってきたジョージア・ハー
ド氏は、「他の人には、詩を読みましょうといいながら、自分は教えることや日常の雑
務に追われていて、
なかなか詩を読めない」と言っています。

 詩を読む時間を、毎週、どこかでしっかり取る必要がある、そしていったんそれを
取り始めると、それを続けることは難しくないとも言っています。

 新学期が始まると、忙しさには拍車がかかると思います。今のうちに「木曜日の通
勤時間は詩を読む」などと決めておいてもいいかもしれません。

 また、ハード氏は、自分の好きな詩を集めたノートをつくっているそうです。これ
もいいなと思います。

→ 私も昨日の通勤の帰り道は、詩集を読んでいました。少なくとも、木曜日の通勤
の片道は、詩を読もうかなと思っています。

→ また、新学期に向けて、好きな詩を集めたノートをつくりはじめました。とりあ
えず、いろいろな詩人の、大好きな詩を15、入力して、それを印刷して、ちょうどもらった小さめの
ノートがあったので、そのノートに貼り付けました。「私のお気に入り詩集」です。

 手書きがいいとは思いますが、長い詩も多いので、手書きしようと思っているいると時
間もかかりますから、
あまり形式にはこだわらず、スタートすることにしました。

 作り始めてみると、このノート、愛着が出て、とても大切なものに思えますから、不思議です。

 ちょっといい感じの、お気に入りのノートを使ってみるのもいいかもしれません。

 昨日、読んだ詩集からも、大好きな詩をいくつか見つけたので、さっそくそれら
も、加えたいと思います。ちなみに昨日、読んでいたのは、ラングストン・ヒューズ
The Dream Keeper and Other Poemsです。

 ラングストン・ヒューズのいくつかの詩集は邦訳されているようです。

 もし、社会で公民権や人種差別などのテーマを扱うことがあれば、彼の詩で使える
ものもあるかもしれません。

2) 詩の題材さがしのミニ・レッスンを、少し違った角度で行ってみる。

 詩について、気になっている言葉があります。有名な詩人でもあるウィリアム・
カーロス・ウィリアムズの言葉らしいのですが、このブログでも何度か紹介したアト
ウエル氏も、その著作の中で引用していることもあり、気になっています。

 その言葉は、"Say it, no ideas but in things." です。

 直訳すると、「言いなさい。考えでなくて、物の中で」という感じでしょ
うか。

 「孤独」という考え(?)を書く代わりに、具体的な事象や物(例えば、去っ
ていった人がうっかり残したものなど)を書く、
つまり、具体的な物や事象の中に、詩があるということかもしれません。

 このことは、詩の題材さがしを、少し違った角度で提示するミニ・レッスンでも、
教えられることが、アトウエル氏の著作から分かります。

 (詩を4月の最初に持ってくるのがよいのかどうかは、教室によると思います。た
だ、書けそうなことや書いてみたいいことをさがし、そのリストをつくる、という題材さが
しは、4月に必要なレッスンだと思います)。

 アトウエル氏は、詩についての一つの切り口と して面白いことを言っています。

 それは、自分が詩を書こうとするとき、母親であることについて、結婚について、
年をとっていくことについて、などの大きなトピックや感情を扱わなければいけない
という、誤解をもってしまう、しかし、その誤解に基づいて書くと、つまらない、あ
りふれた、一般的なものなってしまって、うまくいかない、どうも、自分の思いに共鳴してく
れるものにならない、というのです。

 自分の感情をうまく伝えてくれるもの書くためには、そういう大きなトピックや感
情を、実生活の中の小さいひとこま、ひとこまの中に置く必要があり、それは、自分
の思いに共鳴してくれる可能性のある詩につながるような、人、物、時間、場所に注
意を払う必要がある、ということなのです。

 そして、アトウエル氏は、そういう説明を生徒にします。

 それから、自分にとって「詩が隠れていそうな場所」のリストをつ
くり、それを生徒に見せ、生徒もそういうリストを作っています。

 ちなみに生徒のつくったリストの中には、「私の古いランニング・シューズ」とい
うのもありました。たしかに、これは詩が隠れていそうな気がします。

 アトウエル氏のリストも、生徒のリストも多岐に渡るのですが、アトウエル氏のリ
ストの中の一つが「アボガド、アーティチョーク、アスパラガス」という3つの野菜
でした。

 アボガドの中にも、自分の思いに共鳴してくれるような詩が書ける可能性が隠れているよう
です。

出典など:
ジョージア・ハード氏がお気に入りの詩を集めることと、詩を読む時間については、
それぞれ、以下の本の2ページと3ページです。

Georgia Heard, For the Good of the Earth and Sun, Heinemann, 1989.

アトウエル氏の上のミニ・レッスンは、以下の本の、17-19ページに詳しく載っ
ています。

Nancie Atwell, Lessons That Change Writers, Heinemann, 2002.

上で紹介したラングストン・ヒューズの詩集は以下です。
Langston Hughes, The Dream Keeper and Other Poems, illustrated by Brian Pinkney,
Knopf, 1994. (詩自体の最初のコピーライトは1932年のようです)。

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