WWをやりはじめると、従来の作文よりははるかに書ける子は増えますが(量的にも、質的にも)、それでも数人の書かない子/書けない子には悩み続ける場合があります。
そこで、今回は「書かない子へのサポートの仕方」がテーマです。
2010年8月4日のブログですでに紹介したことのある『When WW Isn’t Working(WWがうまく行かない時の対処法)』(Mark Overmeyer著、Stenhouse, 2005年)の第2章で示されている6つの方法を紹介します。
① 書けないこと/書かないことを、書くことがないのではなく、たくさんある中から選べない問題と捉えると対処法が違ってくる。(→ RWの選書=本が読めない/読まないのではなく、自分にあった本が選べない問題と似ている)
「誕生日」一つとっても(あるいは、「夏休み」「水泳」をとっても)、書けることはありすぎる。たとえば、「ペット」で書きたいと言っても、逃げた、穴を掘る、おじいちゃんとの関係、ほえる/ほえないなどなど、いろいろあり得る。「友だち」の場合も、いじわる、親切、けんか、遊び、問題を起こしたときなどなど、いろいろな可能性があり過ぎる。選ぶ/絞る方法を、教師が実際に見せる。または一緒にやっていく。
② 書く題材を引き出すための教師によるインタビュー → カンファランスの醍醐味
もちろん、この応用として書けない子による書けている子や友だちへのインタビューや、書けている子による書けない子へのインタビュー(要するには、ピア・カンファランス)が考えられる。しっかりいいモデルを示した上でやると、教師がするのと同じぐらいか、それ以上の効果がある。
③ メンター・テキストを使って(ブログの2010年9月17日を参照)
たとえば、『月夜のみみずく』(お父さんとフクロウを見に行った楽しい思い出)や『てん』(絵を描けなかった私が描けるようになった話) ~ 具体的な事例でイメージがつきやすくする。本物の作家がしていることを事例として示す。
④ 「書き手、読み手、ジャンル、テーマ」を設定した上で書く
例: 書き手は生徒。読み手はテストや成績で脅迫する教師(または親)。ジャンルは手紙。テーマはテストか成績。
あるいは、葉っぱが散るのをいろいろなジャンルで書いてしまう、というのもオススメ。手紙や詩など、通常ではあまり書かないのがいい。
⑤ 自分のことについて書くことに乗り気じゃない生徒たちにとっては、ノンフィクションがいい。社会か理科の内容を使って。たとえば、恐竜、宇宙、虫など。
書く方法は、④を使ってもいい。
⑥ 写真や絵に描かれていることを書く
他の子たちには見られないように、一人ないしペアで描かれていることを書く。
写真を前に展示し、番号をつけ、それぞれ読まれる文章は何番の写真かを当てる。
読み手意識を持たせることになる。
写真や絵に代わりに、じゃがいもや石を使ってもできる。
自分は書き手という意識が持てれば、爆発できる。そうじゃないと、とどまり続ける(=嫌いなまま)
読み手意識も大切。
④以降のサポートの仕方は、何をどう書くかを指示してしまっている。自分で書き始められることに越したことはないが、それがなかなかできない子たちには最初のきっかけを与えてあげることは大切。
特に、④の例のように、多様なジャンルを知れる(体験できる)ことは、とても大切。自分がどのジャンルで輝けるかわからないから。(その意味でも、創作文=物語に固執しすぎるのはよくないというか、他のジャンルで書く機会をできるだけ提供する役割が教師にはある。世の中で生きていくのに、私たちが実際書くのは9割以上がノンフィクションです!)
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