大阪府にある中高一貫校、関西大倉中学校高等学校で国語を教えている堀内誠太郎先生が実践紹介をしてくれました。かんくらでは中学1・2年生を対象に「作家の時間」「読書家の時間」を実践しているそうです。堀内先生は今年度は高2学年の所属ですが、中学の「読書家の時間」も4クラス受け持っています。
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本校では「作家の時間」は文章のジャンルを指定する形で進めています。1学期は詩と小説、2学期はエッセイと弁論大会の原稿、そして3学期は集大成として「かんくら文学賞」に応募する作品の執筆です。
「かんくら文学賞」とは、我々が創設した校内の文学コンクールです。出版の機会を作り出し、生徒たちが書き手として(読み手として)他者とつながることを目的として設けました。この文学賞には「詩歌」「小説」「エッセイ」の3部門があり、生徒はどの部門の作品を書くかを選ぶことができます。多くの生徒が意欲的に取り組んでいますが、「短くて楽そうだから」という理由で詩歌部門に流れてしまう生徒が一定数いるのは毎年悩みの種です。3学期をまるまる使って俳句を一つ書いただけで終わってしまう生徒もいます。次年度に向けて、「詩歌の場合は3学期の間に5つ以上書く」というような条件をつけることも検討しています。
作品に与えられる賞は作家大賞、編集者大賞、先輩大賞、天川賞の4種類です。作家大賞は、同じ作家仲間である中学1・2年生の生徒の投票により選出されます。この賞があることが、互いの作品を共有する役割を果たしています。生徒たちには選んだ作品に対するファンレターを書いてもらい、それらは全て作品と併せて成果冊子に載せます。
編集者大賞は、「作家の時間」を担当する数名の教員が選考会を開いて選出します。中学生からはなかなか票が集まらないけれど大人の目から見て素晴らしい作品を評価するためのものです。教員は選評を書き、それも成果冊子に掲載されます。
先輩大賞は、「作家の時間」を修了した中学3年生の有志が選考会を開いて選出します。本校では中学1~2年生の2年間しか「作家の時間」は行っていません。執筆から遠ざかってしまう3年生に選考に加わってもらうことで、「作家の時間」での学びを継続してもらいたいという狙いがあります。選考会で議論することで、3年生の読む力を向上させたいというのも狙いの一つです。3年生にも選評を書いてもらい、これも成果冊子に掲載します。
「天川賞」はプロの小説家である天川栄人先生が選ぶ賞です。本校で文章教室を開いていただいたときにお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。プロの作家さんが選考に加わってくださるということで、生徒たちの意欲も俄然高まります。天川先生はすべてのノミネート作品に対して良いところを見つけてコメントをくださるので、生徒たちの大きな励みになっています。
応募締め切りの後、教員たちは自分の担当クラスから「詩歌」「小説」「エッセイ」部門それぞれのノミネート作品を1作ずつ選び出します。まずは「作家大賞」、「先輩大賞」、「編集者大賞」の順に選考していき、一人でも多くの生徒に受賞の喜びを味わってもらうため、各賞がそれぞれ別の作品に与えられるようにしています。(ただし天川賞だけは別で、他の賞と重なってもいいことにしています。)
受賞作品とノミネート作品を併せて製本します。製本が完成する頃には彼らは次の学年に進んでおり、新たな作家となる新入生が入ってきています。新入生に先輩たちの書いた受賞作品を読んでもらい、ファンレターを書いてもらいます。「先輩大賞」の存在と、新入生からのファンレターによって、この文学賞が縦のつながりを生み出す装置になるように工夫しています。
今年度の実施に向けて今検討しているのは、テーマを設けるか否かです。今は特にテーマを設けずどんな内容を書いてもいいことにしていますが、あまりに自由すぎると書くことを見つけにくい生徒もいるように感じます。「道」「手」「生」といったような、多義的な漢字一字で毎年テーマを決めるのもいいかもしれません。書きたいことがある生徒の邪魔にはならず、書きたいことが見つからない生徒にとっかかりを与えてくれるような、そんなテーマを模索しています。
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