居場所があることによって「リスト1」にある項目は高められ、その逆に、居場所が感じられない(自信をもって居場所があると思えない)と生徒たちは「リスト2」を経験してしまうからです(出典・『「居場所」のある学級・学校づくり』ローリー・バロン&パティ―・キニ―著、新評論の6ページと7ページ)。
リスト1が得られ、リスト2を排除できるのであれば、居場所づくりに取り組まない手はありません(大きな問題は、「いつ」です)!
それでは、「居場所があるという感覚」はどのようにすれば得られるのでしょうか?
この本では、次の三通りの方法が紹介されています。
①真の意味での思いやり、信頼感、仲間であるという感覚を、すべての生徒がもてる安心できる環境――教師やクラスメイトが自分のことを気にかけてくれる、自分のことを尊重してくれる、誰かから卑下されたり、恥ずかしい思いをさせられたり、排除されることがない。
②明確に伝えられ、一貫した公正な行動や学業に対する期待――学びに自らかかわる力、自己管理能力、感情のコントロール、対処能力、自分に内在する力を見極める力をつける。学校生活をより充実したものにするための他者とかかわる力、学ぶための能力、目標を設定、管理、達成する力をつける。
③個人的に意味のある学習への取り組みと主体的・自立的な参加体験――生徒は、自分の学校での学びを計画、実行、評価することに参加する。生徒には選択肢が与えられ、自分の考え、意見、フィードバックを提供する機会が与えられる。また、他者と協力して課題に取り組み、成果物をつくりあげ、そのプロセスで判断を下し、問題を解決し、危機に対処することも学ぶ(前掲『「居場所」のある学級・学校づくり』の8~9ページ)。
これら三つに関して、あなたはどのくらい実践できていますか?
これまでの日本でイメージされている「学級経営(クラスづくり)」は①が中心で、②の意識はあっても、それに費やす時間があまりないので、なかなか実現できていないのが実態ではないでしょうか。そして、③にいたっては、ほとんど視野にすら入っていない!?★
それは、「学級経営(クラスづくり)は授業以外でするもの」と捉えられていることが原因です。実際、学校の時間割のほとんどは授業であり、学級経営/クラスづくり用に振り分けられている時間はそう多くありません。
しかし、現実はその授業で子どもたちに居場所感覚がもてるようにしないと、いくら学級経営/クラスづくりで努力しても、多くの子どもは「この教室に自分の居場所はある」と思えず、リスト2の問題を抱えてしまうのです。
本書の第6~7章の、居場所がもてるようにするための具体的な授業の方法を参考にして実践してください★★。それは、多くの子どもの居場所感覚を育むとは言い難い一斉授業(http://projectbetterschool.blogspot.com/2022/10/blog-post_23.html)から、このブログや、姉妹ブログの「PLC便り(http://projectbetterschool.blogspot.com/)」で紹介している「生徒を惹きつける、生徒主体の授業」への転換を意味します。そうすれば、教室における居場所感覚は飛躍的に増すだけでなく、従来の「学級経営/クラスづくり」に費やしていた時間をさらに少なくすることができます。
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★ 本では、これら三つを、①については最初の3章で、②は第4~5章で、そして③は第6~7章で扱っています。
第1章 教師が信じ、準備をすれば居場所が育つ
第2章 居場所は信頼関係で育まれる
第3章 居場所は安心・安全な環境にある
第4章 居場所感覚は一貫性があってこそ
第5章 居場所感覚は、感情と社会性の能力(SEL)があってこそ
第6章 生徒を惹きつける、生徒主体の授業が居場所の原動力
第7章 生徒同士が協力することで育まれる居場所感覚
★★ この本で挙げられているのは、次のような具体的な授業の方法です。(そのほとんどは、「主体的・対話的で、深い学び」を実現する方法でもあります!)
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教師の説明・講義
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教師の実演
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話し合い
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二人組やグループでの活動
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生徒が探究する活動
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実験
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調査
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協同学習グループ
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学習センター★★★
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生徒同士の教えあい
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アクティブ・ラーニング(動きを伴う学習)
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発見を促す活動
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一人ひとりをいかす教え方
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ソクラテス・セミナーなどの創造的な活動
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高次の思考スキルを使った活動
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ティーム・ティーチング
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ブッククラブ
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教科横断の統合的な学習
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個別学習
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自主学習
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生徒が持っている電子機器(ノートパソコンなど)を使っての活動
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学習や行動の振り返り
★★★ 学習センターについての詳しい本が、来月に出ます! https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794812261
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