4月23日の投稿「2014年と2022年 〜読書家の時間/リーディング・ワークショップ8年間の実践で変わったこと・変わらないこと」でお知らせしたように、2014年に刊行された『読書家の時間』(プロジェクト・ワークショップ編、新評論)の改訂版が、今月末に出版されることになりました。
改訂版ではいくつか新しい章が加わっています。まず、2014年版では含まれていなかった中学校での実践(9章)が入りました。それに伴い、中学生向けの本リストを加えることになり、中学校での教職経験のある先生や司書の方から、多くの本を教えていただきました。5月14日の投稿「(副題も含めた)題名のミニ・レッスン」で紹介した本は全て、中学生向けの本リストとして教えていただいた本です。多くの本を教えていただいたおかげで、中学生向けリストは、フィクション、ノンフィクションに分けて、150冊強の本を含めることができました。(後述するように、紙幅の関係で、このリストはオンラインとなっています。)
改訂版に初めて登場する中学校の実践(9章)では、4月23日の投稿で紹介したように、ICT機器やGIGAを追い風にして、子どもたちの学びをしっかり後押しできることもわかり、時代の変化を感じます。でも、「ICT機器を使うこと」が「目的」ではありません。9章の章題は「子どもの『伴走者』募集中! ーー子どもが自走できるように隣で走りませんか?」です。 この題名からわかるように、教師が大切にしたいことが土台にあるから、ICT機器などの見た目の新しさに翻弄されないのだろうと思います。
もちろん、「新しいものに翻弄されない」ことイコール「教師は変わらない」ということではありません。子どもの伴走者になるということを大切にしているこの教師も、以前は、教師とは「壇上の賢者」だと思っていたそうです。『イン・ザ・ミドル』の著者アトウェル氏だって、「以前は教卓の向こう側から一方的に教えていた」(『イン・ザ・ミドル』17ページ)教師でした。
改訂版10章「当たり前は変わるーーある中学校教師の歩み」からも、『イン・ザ・ミドル』の第1章「教師としての私の物語」(『イン・ザ・ミドル』18~38ページ)からも、一人ひとりの教師にそれぞれのストーリーがあり、教職とは、自分に問いかけながら、一生かけて学んでいく仕事であることを感じます。
自分で選んだ本や友達や先生に選書をサポートしてもらって選んだ本をふんだんに読むこと。これは、2014年版でも、改訂版でも、変わらずに大切にされていることの一つです。改訂版で新しく加わった8章「一つの教室から校内に広がる『読む文化』」では、国語の時間と読む時間が融合されていること、つまり読むことが国語の時間の中心にあることが、改めて確認できます。
8年前の執筆メンバーの一人は、現在は校長となりました。「校長室からのチャレンジ」ということで、改訂版に捧げるコラム「子どもの学びと教師の学びはつながっている」を寄稿してくれました。
この校長が書いているように、子どもの学びも、教師の学びも、管理職の学びもつながっているように思います。
今回、改訂版の中心となってまとめてくれた冨田先生が書いた「はじめに」では、冨田先生は「主体的・対話的で深い学び」にかかわり、「ほかの誰かに強制されることなく、相互にかかわりあいながら自らの意志や判断で学習を進める子ども」を育てることについて思いを巡らしています。そして、「先生たちが統制力の強い、効率化を重んじる学校に身を置いている状態で、子どもたちだけが主体的で対話的な学習姿勢を身につけることができるでしょうか」と問うています。
冨田先生は次のようにも書いています。
「失敗を繰り返しながら主体者意識をもって学ぶ子どもたち、試行錯誤を繰り返しながらお互いの価値観を感じあう子どもたちを育てることを大切にし、私たち教師もそうあるべきだと確信し、学校や大人の社会もそうあるべきだと、多くの人に気づいてもらいたいと思っています」
そんな思いを持って、改訂版では、3つの章とコラムが新たに加わりました。2014年版に掲載されていた章については、改訂版でもその内容に大きな変更はありません。
なお、紙幅を抑えるために2014年版の3つの章と中学生向け本リストをオンライン版としています。こちらは、TOMMY'S IDEA ROOM(https://tommyidearoom.com/)でダウンロードできます。
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