佐賀県の小学校の先生・脇山真優さんが本の紹介文を書いてくれました。
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国語でも算数・数学でもそのほかの様々な授業でも、教師側は必ず「お隣さんとお話してごらん」という言葉を口にすると思います。このときの教師側のねらいとしては、生徒が自ら進んで学びを深めること、そして自分の考えをより深めたり広げたりすることだと思います。しかし、今の「学習会話」は、生徒たちの学習のためになる会話になっているでしょうか。ただ意見の発表をするだけの場となっていないでしょうか。
この「学習会話」をよりレベルアップさせるため方法を『学習会話を育む 誰かに伝えるために』が教えてくれます。
「生徒たち同士の会話はどのようにさせたらいいの?」
「学習会話を始めるための問いかけはどのようなものがいいの?」
「会話をさせるにあたって教師側はどのような手立てをしたらいいの?」
「会話を評価するにはどうしたらいい?」
このような疑問を持っている方こそ、ぜひ本書を読んでほしいです。
「会話は、学び手としての自覚を高めることに影響します。協力して考えをつくりあげる自由と考えを表現する方法が与えられれば、生徒は意識して学習におけるエイジェンシー(主体性)に取り組むようになります。」(「第1章 学習会話とは何か?」―7ページ)
目次を見てみると、その方法が「アクティビティー」という形でたくさん掲載されています。どれも生徒たちがわくわくするような仕掛けがたくさんあり、明日実践してみたいものばかりです。時間のない教師が、授業の引き出しを増やすのにもってこいの本だともいえるでしょう。
また、生徒たちの会話実例も多く掲載されており、生徒が会話によって考えを練り上げていく様子が手に取るようにわかります。生徒に繰り広げてほしい会話の例がそこにはあり、教師側も生徒の目指すべき会話のレベルが一目でわかるでしょう。
グループワークやペアワークには、生徒たちの思考の過程が詰まっています。これを評価に活用していくことも教師側は大切です。その評価方法や生徒への働きかけ方、評価ツールの例などが本書の第五章に記されています。会話を評価することへチャレンジしている人や、その方法に困っている人はこの章から読んでみるのもおすすめです。
現在、教育界で重要視されている「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、「学習会話」をすることが大切です。
お互い(会話に参加するすべてのパートナー)の頭の中にしっかりとした考えがつくりあげられるような手助けをすれば、生徒たちに自信とエイジェンシーの感覚が育まれます。つまり、自分がつくりだしたものを誇りに思い、自分のものだと思う感覚です。(「第2章 考えをつくりあげるための会話スキル」―102ページ)
本書を読むことで、生徒たちの会話を実りのある、意味のあるものにできるのではないかと考えます。そして、会話を通して生徒がつくりだしたものに誇りを持ち、自信を持ってもらえるような手助けをしたいものです。
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エイジェンシーは、学習会話でもキーワードです。
エイジェンシーに興味をもたれた方は、この姉妹プログで再三紹介してきました。https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=agency
そして、もう一つのブログでも・・・
https://thegiverisreborn.blogspot.com/search?q=%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B
エイジェンシー抜きの教育(それは、生徒のエイジェンシーだけでなく、教師自身のエイジェンシーも)はあり得ません!
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